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2021年12月01日
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カテゴリ:松尾芭蕉資料室
芭蕉終焉記(1)花屋日記(芭蕉翁反故) 
肥後八代 僧文暁著
浪速   花屋庵奇淵校
九月二十一日(元禄七年 1694) 
泥足が案内にて、清水布浮瀬の茶店に勝遊し給ふ。
茶店の主が求めに短尺杯書きて打興じたまう。
泥足こゝろに願うことあるによりて、
発句を請いければ
所思
  此道やゆく人なしに秋のくれ   翁
   峡の畠の木にかゝる蔦     泥足
    
〔歌仙一折有略〕
連衆十人なり。短日ゆえ歌仙一折にて止む。
今度はしのびて西国へと思ひたち給いしかど、
何となくものわびしく、
世のはかなき事思いつゞけ給いけるにや。
此句につきて、ひそかに惟然に物がたりしたまひけり。
   
旅 懐
  此秋は何でとしよる雲に鳥   翁
 
幽玄きはまりなし。奇にして神なるといはん。
人間世の作にあらず。
其夜より思念ふかく、自失せし人の如し。
実に鳥の五文字、古今未曾有なり。(惟然記)
 
九月廿六日 
園女亭也。山海の珍味をもて腸謳す。
婦人ながら礼をただし、敬屈の法を守る、
貞潔閃雅の婦人なや。
實は伊勢松坂の人とぞ。
風雁は何某に学びたりといふ事をしらず。
岡西惟中が備前より浪華にのぼりし時、惟中が妻となる。
その時より風雅の名益々高し。
惟中が死後、汀戸にくだりて、其角(宝井)が門人となる。
白菊の目にたてゝ見る塵もなし   翁
    紅葉に水を流す朝月       園女
連衆九人、歌仙あり。別記。(惟然記)
 九月廿九日 
芝拍亭に一集すべき約諾なりしが、
数日打続て重食し給いし故か、労りありて、出席なし。
発句おくらる。
    
秋ふかき隣はなにをする人ぞ   翁
 
この夜より、翁腹痛の気味にて、排瀉四・五行なり。
尋常の瀉ならんと思いて、
薬店の胃苓湯を服したまひけれど、
驗なく、晦日・朔日・二日と押移りしが、
次第に度敷重りて、終りにかゝる愁いとはなりにけり。
惟然・支考内議して、
いかなる良医なりとも招き候はんと申ければ、
師曰く、我元々虚弱なり。
心得ぬ医者にみせ侍りて、薬方いかゞあらん。
我性は木節ならでしるものなし。
願くは本節を急に呼びて見せ侍らん。
去来も一同に呼よせ、
談ずべきこともあんなれば、
早く消息をおくるべしと也。
それより両人消息をしたゝめ、
京・大津へぞ遣わしける。
しかるに之道の亭は狭くして、外に間所もなく、
多人数人こみて保養介抱もなるまじくとて、
その所この所とたちまはり、我知る人ありて、
御堂前南久太郎町花屋仁左衛門と云者の、
奥座敷を借り受けり。
間所も数ありて、亭主が物数奇に奇麗なり。
諸事勝手よろし。
その夜、すぐに御介抱申して、花屋に移り給いけり。
此時十月三日仇。(次郎兵衛記)





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最終更新日  2021年12月01日 05時53分36秒
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