トイレの床は細かいタイルがビッシリ詰まった、そんな日本家屋。
縁側の先に広がる庭には、サラサラの白砂。海が近いせい。
柱時計が昼の12時を知らせた頃
七回忌の法事のために呼ばれた身内やごく周辺の人たちが訪れはじめる。
最近会話もあやふやな寝たきりのおばあちゃんのこの呼びかけに
父母の到着の遅れる中、久々に顔を合わせた孫たちは―
数年前、数時間前に過ごしたアノ時間はゆっくりだったけか、それとも一瞬のコトか?
時間の流れる速さは同じはずなのに、その感じかたってみんなバラバラ。
自分の身の周りで起きているコトなんて本当にちっちゃなモノなんて事、みんな知ってるけど
自分のコト大事だし、自分なりに一生懸命。
けど、表面には出さくても、頑張って乗り越えてる事もみんながちゃんと知ってるから
他人にもやさしくできるんじゃなかろうか?
な~んて、思いに耽っていると
ボォォ~ン。
柱時計が1回鳴って。
知らない間にもやっぱり時間は流れているようです(笑)
共有したであろうあの同じ時間と空間の匂いや出来事も、その想いは十人十色。
どれも正解。どれも大切な思い出。
あの時通り抜けた風の感触を、あの姉妹はどう感じたんだろう?
『同じ空を見てるのに、こっちはこんな青空でも
他のどこかの人たちの空は台風なんだなぁ、って考えるとなんか不思議じゃない?』