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さてもさても

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2008年04月20日
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カテゴリ:演劇

hari.JPG

『あの病院での事件のことを...。』『あの男のことを...。』
雑踏に紛れてインタビュアーの声。帰ってくる声は『悪魔。』『悪魔。』『悪魔。』
無作為に伸びる縮れた髪、ただれて変色仕切った顔面、奇妙な方向を向く片足のせいで
歩行もままならず片杖をつく背虫男、渋谷エビス。―醜い悪魔、呪われた神の子。
そんな容姿ゆえに芽生えた暴力という屈折した正義と、それに賛同した畜生たちの叫び。
悪魔と呼ばれた男の”反逆”の意味とは―。

一人インタビューの答えに躊躇する男の証言。


渋谷エビスの極悪非道ぶりを、まるで楽しんで演じていられたのは尾上松緑さん。
去年演じられた新歌舞伎の中で、1番印象に残っているのは【泥棒と若殿】。
中でも松緑さんの演じられた、泥棒に入ったくせに世間知らずで頼りない男に
ニコニコしながら世話、つーかおもてなしをしてしまう伝九朗の姿は鮮明に記憶に残ってます。
「ぜひぜひ、演劇のほうにも出演して欲しいなぁ。」なんて思ってはいたんですけど
まさかこんなに早くその機会が来るとは!しかも、こんな小劇場でっ!!
有り難い話っす、ホントに(泣)

伝九朗は絶対ハマリ役と確信していたんですが、プログラムに

『俺は負けると分かっている戦いに、命をかけて突っ込んでいく奴が好きなんだ。』
この言葉を聞いた時に、この主人公は生まれた。

だそうで、自分が勝手に思い描いていたイメージとはだいぶ違う方のようです。
この日のソワレは、松緑さんと主宰の西森英行さんのポストパフォーマンストーク付きで
そう言えば着替え終わって登場した松緑さんのいでたちは
キャップのツバを後ろに被り、ジーンズに先の尖ったブーツ。がたいもイイから少しコワッ!
だいぶ以前から親交のある西森さんもワルのイメージらしく、松緑さんご自身も
『オレがイイ人やってもねぇ、やっぱワルでしょ。』だって。そ、そうなんだ。

その後、『歌舞伎の稽古は通しでやるのに、こういう芝居の稽古は場面づつだから苦労した。
前の場面で怒るキッカケがあるのに、それ抜きで怒れって言われてもできないから!』
など、畑の違うお互いから見た関心した事や苦労した話が続きまして
最後は松緑さんへ、今回の役について

『あらゆるエネルギーに反発してでも、最後には自分一人が立っていられる―。』

『孤高でありたい。』

歌舞伎で見せるあのドでかい見得は、そんな意気立った内面から出てくるんですね。
松緑さんという人が少し解りました。
お話聞けて本当に良かったです!






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最終更新日  2008年04月21日 07時55分49秒



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