ありがたやぁ~。
去年、都合が合わなくって見に行けなかったんです。
新作だっていうのに、早くも再演。うれしい限り!
高安道俊は正妻をなくし、その侍女だった玉手を後妻としていた。
道俊の後継者には先妻の子俊徳丸と、すでに亡くなった側室の子次郎丸がいたが
妾腹のため家督を継げない次郎丸は、年下の俊徳丸を妬み陰謀を計る。
それを知った玉手御前はある考えから、俊徳丸に恋慕し毒酒を飲ませる。
顔の皮膚はただれ失明した俊徳丸はそれを悲観し、婚約者の浅香姫と家を飛び出す。
玉手の実家にかくまわれていた2人と、なんとか再会した玉手だったが
親の前でも義理の息子に言寄る娘の姿に、父合邦は激怒し斬り殺してしまう。
息も絶え絶えの中、玉手の口からその意図が語られる。
長々と書きましたが、一発で片付けるなら「合邦庵室の場」。
…なんですけどぉ~、それを踏まえて!
『今日のお芝居、ストーリーありましたぁ?』
と、アフタートークで構成・演出の安田さん自身が言ってしまうくらい
具象と抽象、現実と非現実のくっついたり離れたりするカタマリがどぉ~っと押し寄せてきます。
机の引き出しから取り出される切断された人間の片腕。
ハンコを求める呼鈴。無心に踊り狂う主婦。シャンプーし始める男。ピアノの音。
顔面にコロモをつけられ油で揚げられる男。それを愛撫する女。
手紙を書く女。取り憑かれたかのように女を抱きまくる男。
手元にあるのがまだ解けてないのに、難解な知恵の輪を次から次へと手渡され
なんと心地よい思考回路のオーバーヒート(笑)
一見、エロくてグロくてある意味ナンセンスなこの寓話も
じっと見れば、どんなに時代が変わってもその社会システムに翻弄される人々を描いた群像劇。
笑ってはいるものの、どこかで恐怖を感じてしまう。
この作品を完成させるのはあなたです、と作品に言われた感じです。