こんな悲しい笑い声を、聞いたことがありませんっ!!
”至高の芸”なんて陳腐な言葉で片付けてしまうのは申し訳なく
じゃあ、何だ?と言われちゃうと、…何でしょう(笑)
芝翫さん!芝翫さんっ!!芝翫さんっっ!!!
ご自身で子供産んだ事あるんじゃなかろか、ってくらい何処をとっても女性そのもの。
髪を直す仕草。着物を整える仕草。涙を拭く仕草。
「ん、もしかして?」と気になることがあって、後日幕見で確かめに行きました。
「本当にそうだとしたら、スゴ過ぎだな。」なんて思ってた自分。
馬鹿でした。浅はかでした。ゴメンナサイ、もっとずぅ~とずぅ~と奥深かったです。
でも、自分にはとても演技とは思えないのですっ。
でも芝居です。訳分かりません。鳥肌立ちました。怖くなりました。
いまさらながら芝翫さんの凄さに圧倒されて、もう書くことなんてないんだけれど
『左衛門に限りに道ならぬ悪事をせぬ心は、この母が知ってある。』
で、胸をポンッとたたく。
コクーンでの勘太郎さんのお辰の見せた仕草と重なって、個人的に印象に残りました。
意味は違うけど、女性が見せるこの仕草って一層心強く見えます。
そんな頼れる女性も、さすがに我が子の死を知り冷静さを失い、取り乱す。
この時の芝翫さんがこれまた…なんてことはもう馬鹿馬鹿しいので書きませんが
こんな出来る女房を操縦できるのは、きっと幸四郎さんのような兵衛なんだろうなぁ。
さてさて、この日は1階席を確保しました。
なぜなら、どう考えても吉右衛門さんのハマリ役としか思えなかったからっ!!
始めて見る演目なので、言ってみれば無謀な賭け。が、これが予想的中!
さすがに2ヶ月連続で1階席で見るのは、懐的にかなりしんどいッ(汗)
でもでも、1階でエガッタ~。
(「詮議」で)軽く拳を握りスラリと座る兵衛とは対照的に、やや控えめに構える伊賀守。
そして、顔も見たくないとまで思われてる梅の方の待つ奥書院へやっとの事で辿り着く。
当然ながらハンパなく重い空気。ビビリなら(例えば自分)逃げ出す場面だったいうのに―
『さて奥方―』
そんな男が最後の最後で、誰よりも大きく鳴動させる渾身の笑い声。
計算されてのことなんでしょうね。スゲェな。
なんか今日は書く手が止まらん。
「花見」の事とか富十郎さん!の事とかいっぱいあるけど
書き留めておかなくても大丈夫な気がする。そんな事しなくてもきっと忘れないと思うから。
ありがとうございました。