〈原作〉 恩田陸
〈脚本〉 四方田祐輔
〈演出〉 西川信廣
木野しのぶ
水野千夏
今本洋子
鬼澤みどり
弓場沙織
『 重松時子さんの家に集う皆様へ
皆様の罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花を捧げます。
フジシロチヒロ 』
真っ白いカサブランカの花束と共に届いたメッセージカード。
…フジシロチヒロ。差出人の名前にふと気付き、慄く。
四年前に薬物死した天才小説家・重松時子の小説に出てくる主人公と同名。
自殺で落着した彼女の死が、他殺の臭いを漂わせ始める。
『私が時子さんを殺したんだわ。』
毎年一度、彼女が住んでいた家に集う五人の女。
各々の彼女への想いと思惑の中時間は流れ、やがて迎える木曜の日。
ぐいぐいと、これでもかってくらい引き込まれました!
結末へ向けて猛烈に加速するスピード感。
物語が進むにつれ、暗転の間隔も短くなっていって(最後の方なんて、それこそ分刻み)
ここまでの感覚を味わったのは、ホント久しぶりかも。
5人それぞれが「モノを書く」ことに携わっている人たちで
彼女たちのすべての発言が、下手な推理ではなく極上の憶測。
劇の中に、いくつもの小説を見れた感じでお得な気分でした(笑)
追詰める(られる)感もなくて、「本当はね」みたいに明かされていく謎解きも気持ちイイ!
そして、待っているのは「どんでん」と「大どんでん」。
何とも言えない清々しさっ!面白いっ!
原作読んでないので、”作品自体の雰囲気が”的な事は自分には分からないけど
「Mas que nada」(むかしナイキのCMで使ってた曲)が流れ
これが恐ろしく似合う、とてもお洒落な舞台に仕上がっていました。
んで、読んだのはコッチ↓
『猫と針』恩田陸著 (新潮社)
”人は、その場にいない人の話をする。”
学生時代の友人に呼び出され、久しぶりに顔を会わせる5人のメンバー。
それぞれ、噂ではお互いの状況を知っていて
その人物が席を外すと、残ったメンバーは噂の真相を探り合う。
偶然にも共通の旧友の葬式が重なったこの日、彼の話と絡んで憶測に拍車が掛かり
噂と憶測がある程度のカタチを見せたとき、この集まりの意図が明かされる。
んんっ?!
思いも寄らないところに着地したので、ちょっと戸惑いました。
こういう時はタイトル見れば何かしらヒントがあるはずっ、なのに余計に混乱(泣)
100%受け身で読んで楽しめるって訳には、ちぃとばかしいかないのかも。
あ、いや、純粋に面白いです!
「針」について、自分なりに考えてみました。
いろいろ考えたら、そりゃ考え過ぎだろってとこまで行ってしまったので、ここはシンプルに針。
ほつれ直したり、穴開いたとこ塞いだり、いろんな生地を縫い合わせて1つのモノを作るアノ針。
ちょっと(?)進めて、心の穴埋めたり、対人間・対社会と自己を繋ぎ合わせる接点みたいな…。
う~ん。やっぱ飛躍し過ぎてるよなぁ。
これだったら、針じゃなく別の言葉使ったほうが絶対いいし。
まだまだ、しばらくは楽しめそうです!!