テーマ:DVD映画鑑賞(14218)
カテゴリ:映画
DVDで映画「間宮兄弟」を観た。
今さら言うのもナンだが、やはり森田芳光監督という人は えらく感性が鋭く、えらく頭のイイ人だと思う。 特にこの作品のように、何気ない日常の場面を極めて非日常的な角度で 切り取って見せる、という才能は素晴らしい。 この作品にしても正直に言って、とくに大きなストーリー展開などはない。 まるで子供同士のように(気味が悪いくらいに)仲の良い二人の兄弟を中心に、 物語は静かに進んでいくのだが、かと言って起こる様々な出来事を通して 彼らの成長を描く、というわけでもない。 ただただ、淡々と平凡な日常が綴られるのみなのである。 しかし、そうした物語を森田監督の鋭敏な手法で描くことによって ほのぼのとした中にも、緊張感の漂う独特の世界をきっちり成立させている。 最近の日本映画に多く見られる“押し付けがましいテーマ”などは 一切ないにもかかわらず、だ。 これは結構スゴイことだと思う。 そうした作品ゆえに、主役の二人をはじめとした登場人物たちは、 劇中において大きく個々をアピールする事もなく、あたかも巨大な絵画の 一部分であるかのようにそこに存在する。 その事によって映像と現実の距離がグッと縮まり、オレには映画の中のエピソードが 全て目の前で本当に起こった出来事のように感じられてしまった。 見終わった後には、まるで登場人物たちと知り合いになったかのような 不思議な感覚にもとらわれたほどである。 特にオレが驚いたのは、常盤貴子の演技というか、佇まいである。 彼女が演じているのは、さえない小学校の先生・葛原依子という役なのだが、 意外なぐらいにそれがはまっていた。 ポツン、と“ただそこにいる”という雰囲気がイイ。 ヘンな言い回しだが、今までテレビや映画、舞台等で見てきたどの作品よりも “常盤貴子”を感じなかった。 長年のファンであるオレにそう思わせるほどに、 この映画の中で彼女はひっそりと、それでいてリアルに存在していた。 これまたヘンな言い回しで誤解を受けそうなのだが、 松嶋菜々子ならば、決してこんな役は引き受けなかったであろう。 しかし、たとえそんな微妙で地味なワキ役でもイキイキと演じ、 見事にそこに生命を吹き込む女優、それが常盤貴子なのだ。 正直、オレにとっては今回それが一番の収穫であった。 だからこの映画は、森田芳光という天才監督によって斜めに切り取られた “すぐそこにある日常”を楽しむ作品であるのはもちろんのこと、 常盤貴子という女優の、役者としての才能を再認識するための作品でもある。 独断と偏見に満ちていることは承知で、オレはここでそう断言する。 (画像をクリックすると、映画「間宮兄弟」公式サイトに飛びます♪) 間宮兄弟 スペシャル・エディション【初回限定生産2枚組】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.12.13 21:11:13
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