愛すべきものすべてに

いったい人は、一生のうちで何度本気の恋ができるのだろうか？

“何をしていても、どこにいてもその人の事ばかりを考えてしまう・・・・。”
“周りが見えなくなるほどに、その人にのめり込む・・・・。”

そんな風に思える相手には、そう何度も巡り合うものではないと思う。
（もちろん個人差はあると思うが。）
映画「恋空」を見終わって、まずはそんな事を考えてしまった。
それくらいこの映画は、主人公のまっすぐで純粋な恋心に満ち溢れている。



新垣結衣演じる主人公・美嘉と三浦春馬演じるヒロの出会い、
恋の芽生え、新しい恋、そして別れまでを描いた本作品には、
長編である原作から多くのエピソードが盛り込まれている。
そのため、まるで１クール分１２話のテレビドラマをギュッと凝縮した、
２時間の特別編集番組を見ているような錯覚に陥るほどに
めまぐるしく次々と事態が動いてゆく。

しかし、その事は決して悪い方向には向かっていない。
ラブストーリーであるのに、アクション映画さながらのハイテンポな
展開によって、否が応にもスクリーンに引き込まれてしまうからだ。
本当に２時間があっという間である。

また、哀切なストーリーにもかかわらず、見終わった後には
悲しさやせつなさよりもどこか清清しいイメージが残る。
これは要所要所にこだわりをみせた、今井夏木監督の演出の
美しさもさる事ながら、全編が主人公のストレートで献身的な
恋心に貫かれているせいでもあろう。

“今日という日を懸命に生きていなければ、輝かしい明日はやってこない。”
マンガ「あしたのジョー」に、確かそんなセリフがあった。
明日の事を考えて今を決断するのではなく、今自分がしたい事、
今自分に出来る事を精一杯やる。
後悔しない生き方とは、そういうものかもしれない。
もしかするとこの映画は、人生に迷っている人への道標にもなるのではないか。

恋をしている人、恋に破れた人、恋に恋してる人、そして今、道に迷っている人・・・・。
とにもかくにも映画館へ行くべし！　そして「恋空」に泣くべし！


(画像をクリックすると映画「恋空」公式サイトに飛びます♪）