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カテゴリ:イギリス映画
「今脱がなかったら、いつ脱ぐの」
イギリス・ヨークシャーの田舎町ネイプリー。 そこの婦人会主催のイベントと言えば、 ケーキ大会や「ブロッコリーの作り方」などの講義。 退屈そうに顔を見合わせるクリスとアニー。 毎年恒例のカレンダー作りの企画も、 去年までとそう変わりがない。 夫がいて子供がいて、 家事をして、働いて、趣味をして。 そんなに、変わらない毎日が続いていた。 大切な毎日ではあったが、 退屈な毎日になりかけていた。 最愛の夫ジョンを亡くしたアニーを、 元気づけようとしてクリスが考えたのは、 婦人会のカレンダーの収益で ジョンのいた病院に寄付をすることだった。 けれども今までの企画だと収益が見込めない。 「ヌードカレンダーを作ろう」 クリスは猛烈な勢いで行動を始めた。 私は55才よ。 今脱がなかったら、いつ脱ぐの。 婦人会でオルガンを弾いていた女性が言う。 はじめは戸惑っていた女性達も、 次々と賛同を始めた。 “今やらなかったら、いつやるの” 年齢の数字が問題じゃない。 やろうと思ったことを、 今やり逃せば、今度いつ出来るかわからない。 どんなことも何もかも、 必ずできるとは限らない。 ジョンの友達のカメラマン、ローレンスは、 彼女たちの日常を撮ろうと提案する。 花に水とやっている、料理している、 編み物、オルガン・・・、 イキイキとした表情と微笑ましい仕草、 ヌードといっても、ほとんど隠れているが、 彼女たちの「裸」の姿が カレンダーになってゆく。 細身の身体で誰よりもエネルギッシュに、 ヘレン・ミレンの演じるクリスは突っ走る。 デザインや印刷の発注、 記者会見の手配もこなしている。 目的をしっかりと持っているから、 達成するために何をしたらいいかわかってる。 有能に働く彼女を 夫も息子も止められない。 カレンダーは反響を呼び、収益をあげ、 彼女も夫や息子のことを、 考える時間がなくなっていった。 全てを上手くやるのはとても難しい。 クリスの成功が息子を孤独にし、 夫はあらぬ詮索を人から浴びせられることに。 カレンダーに参加した妻を持つ男性陣も、 集まって複雑な表情をせざるを得ない。 もちろん、女性の中にも 反対する人がいる。 「今脱がなかったら、いつ脱ぐの」 行動する勇気は、 考えすぎると萎えてくる。 だからこそ、行動した彼女たちの明るさが、 動けなくなった心を照らしてくれる。 太陽に向かって咲くひまわりが とても、良く、似合っている女性たち。 “ヨークシャーの女性たちは 花に似ている。 満開の時が最も美しい” アニーの最愛の夫ジョンの言葉。 本当に美しいカレンダーが仕上がった。 彼女たちの「裸」の姿、 年齢を刻む数字など問題じゃない。 ひと騒動の後、女性達集まって、 ヨークシャーで太極拳をしているようだ。 ゆったりとした動きをしながら、 いままでの自分を見直しているように見える。 家事をして、働いて、趣味をして。 そんなに変わらない毎日と、 今やれることを思い切りやって、 満開の花を咲かせた時間の中にいる自分を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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