テーマ:レンタル映画(818)
カテゴリ:フランス映画
純白の肢体に金色の衣裳、
ほとんど半裸のコスチューム。 ロザリンは五頭のライオンを背にして、 観客の声援に応えている。 百獣の王の猛る視線と戦いながら、 繰り広げられる演目、 生命というものが、 華々しく檻の中で火花を散らす。 女神と死神とライオンがいる。 若い二人の猛獣使いが自らの意志で演じたのは、 見せ物というよりは芸術である。 しなやかな茶褐色の獣は、 毒々しいロザリンの命令に従うが、 その目には凶暴さを讃えている。 人間よ、 その命の営みを知れ、 一瞬の気の弛みにつけ込むのは、 薔薇を持った死神というところだろう。 ジャン=ジャック・ベネックス監督作品。 ラストシーンに昇華するのは、 死と隣り合わせの生命。 それはロザリンの肢体に宿る、 官能と重なり合う。 不思議にもこの作品は、 前半、さわやかな印象さえ受ける。 猛獣使いを志すロザリンとティエリー、 バイクで二人乗りをして放浪の旅にである。 語り部であり二人を応援するのは、 飄々として英語の先生である。 だが、下働きばかりさせられて、 思うような仕事をさせてもらえない。 そんな二人に興味を示したのは、 ドイツ最大のケニヒ・サーカス団。 五頭もの虎を与えられるが、 経験の乏しい二人にはそれも苦難の道だった。 調教を任されたティエリーの負傷と、 虎の猛獣使いが自己を喪失し、虎の前で自殺する。 猛獣使いに魅せられた二人が、 猛獣と向き合うことの危うさに気づいたとき、 サーカス団のためではなく、 自分たちのためのショーへ結実していく。 女神と死神とライオン。 生命の中身が剥き出しにされる。 美しく幻想的なラストシーン。 最後に。 コミカルな役柄を受け持つ英語教師が、 二人を力づけた言葉を引用しておこう。 「二点間の最短距離は直線ではなく夢である」 結論はそんなに単純ではなく、 自らで作り上げるものなのかも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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