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カテゴリ:ヨーロッパの映画
加害者のロープが
被害者の首に巻き付いている。 締め上げられる。 被害者はまだ息をしていたので、 加害者は大きな石で頭を幾度も強打した。 饒舌な陰翳、 完璧なコンポジション。 1987年、冬のワルシャワ。 乾いた空気はそのまま 映像に凝縮される。 クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品。 加害者はまだ21歳の青年ではあるが、 あてのないまま、町をふらついていた。 歩道橋の上から石を落とす、 そんな悪戯を無表情に行っている。 被害者はタクシーの運転手。 乗車拒否をしたりしている。 なんだか嫌みたらしい奴ではあるが、 殺されるほど凶悪な人間ではないようだ。 後に加害者の弁護士となる若い青年は、 正義感に燃えているようだった。 彼は、反抗前の加害者と、 カフェで同じ時間を過ごしていた。 その時彼は共にいた女性から、 幸せな未来を予言されていた。 が、 同時に加害者の青年は、 凶器となるロープを手に巻いて、 グルグル巻きに巻いて、 殺人を犯し、 裁判で死刑判決になり、 最後の煙草を与えられ、 逃げようともがくが逃げられず、 目隠しされ首にロープを巻かれて、 絞首刑が執行される。 滴り落ちる尿は最後の彼の命、 だが担当医は既に死亡証明証にサインをしていた。 起 承 転 結 殺人を犯した青年が死刑になる。 その一連のプロセスが映し出される。 ヤツェック、 加害者の青年は、 弁護士のピョートルに名を呼ばれ、 やっと自分の起承転結を認識するが、 もう、変えられない。 ヤツェックの人生は終わっている。 罪を犯すということはこういうことなのだ。 饒舌な陰翳、 完璧なコンポジション。 正確で明解な解答というのは、 乾いた空気の中、美しくも怜悧である。 殺人に関する短いフィルム お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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