テーマ:『義経』(332)
カテゴリ:テレビ番組作品
義経と行家が対峙する。
何もかも真逆の精神を持ちながらも。 火種を嗅ぎ分けるのは源行家、 彼に備わった本能はこれまで通り正確無比、 負け戦ばかりに続いた末に、 最後の負け戦は義経と共にある運命。 されど、義朝に従軍して以後、 奇跡のように生き長らえたのは、 獣のような臭覚の所以だと言えなくもない。 鎌倉はいつも駆け引きの舞台。 頼朝の前に座する御家人たちの様子も様々、 北条政子は夫に見せる顔とは別に、 父、時政には「北条」の顔を見せる。 頼朝と義経を引き離そうとせんがために、 彼女の暗躍が始まろうとしているのか。 京に派遣されるのは、梶原景時、 後白河法皇からの無断任官で、 義経が伊予の所領を得たと知ったため。 顔を会わずことなく猜疑心だけ募らせて、 頼朝は鎌倉から動かない。 だが頼朝は駆け引きの舞台の中心にいて、 ぐるり、と世界を見渡している。 ぐるり、見渡す世界。 まだこの国に諍いの種はくすぶっている。 情を欲する義経という存在、 その存在を利用しようとする法皇。 見渡せば、まだまだくすぶっているのだ。 だというのに。 源義経は一人、庭で刃をふるう。 そして義経。 郎党の静や萌とともにいる。 鎌倉の見えぬ義経、 世界を見渡せず、ただ空を観る。 飛び立てぬままに。 夫を地震で亡くしたのは、うつぼ。 身も心もぼろぼろに傷ついた彼女は今こそ、 一人で生きていく術を得ようとしていた。 検非違使として義経主従は貢献したが、 京の町は地震で荒れ果てて呻いていた。 まさに、荒れ狂う海、 それでも、生きていかねばならぬのだ。 ぐるり、見渡し情勢を窺う。 後白河法皇は相も変わらず、御簾の中。 されど、変わらず世界を見渡す。 再び荒れ狂うこの国で生き抜く術を知り抜いている。 義経贔屓を鎌倉に見せつけて、この先も 頼朝にへつらうことなく生き抜いているのである。 行家からもたらされるは、 源義経がいま、どこにいるかどうか、だ。 己の覚悟のみが、確たる世界。 空は広い、海は大きい。 だが彼は鎌倉を知らず、政事を知らない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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