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カテゴリ:合作映画
いつのまにか、
黄色いボールを追っていた。 あっちへ、こっちへ。 手前から、向こうへ、また、その逆。 ウィンブルドン イギリスにある「テニスの聖地」。 この地で毎年6月の最終週から7月の第1週にかけて グランドスラムの一つである 全英オープンが開催されるという。 そのグランドスラムの中で唯一、 芝生のグリーンが美しいグラスコートで開催されることが 歴史と伝統あるウィンブルドンが 多くの人に愛される理由になっているようである。 だからこそ、Woking Title Firmが いつものキレのいいラブコメを作ってくれたことに、 思わず快哉を叫びたくなるのである。 それも、キャストが嬉しい。 ポール・ベタニー&キルスティン・ダンスト 第二の人生を考えていたベテラン選手ピーターが 優勝候補として注目の若手リジーに出会うのは、 「ホテルのフロントがルームナンバーを間違えたから」 という、なんともベタな設定だったりする。 二人の俳優はWoking Title Firmの他の映画のように、 たちまち恋に落ちてしまうのである。 ポールはずっと弱気に呟いている。 ワイルドカードで出場できたウィンブルドンだが、 マスコミの注目も優勝もほど遠いところにいて、 この試合が終わったら引退して、 テニスクラブでマダムたちのお相手をすることになっている。 オレの人生これでいいのかよ、的な気持ちが アリアリと顔に出ているのにとてもじゃないが、 華やかな一流のテニス選手に慣れる年齢じゃなくなっている。 ずっと、ポールは呟いている。 若い選手がマスコミの注目を浴びるのを見たり、 試合中だって、道を歩いていたってずっと。 リジーと出会うまで彼はたぶん、 そこそこの才能で記録は残せただろうが、 一流にはなれなかった負け犬だと思っているように見えた。 リジーはずっと、獣のように吼えている。 プレイスタイルもまた荒々しくて攻撃的で、 自信たっぷりで勝つことしか考えていない。 父親と二人三脚でウィンブルドンにやってきた優勝候補 上だけを見てズンズン昇ってきたしなやかな獣。 だが少しばかり何かが欠けているようにも見えた。 ポールとリジー、二人は恋に落ちている。 だがスポーツ選手であることが二人の障害になっている。 リジーの父親は恋は集中力が落ちるからと、 娘に男を近づけないようにしている。 試合のためにポールと距離をおこうとするリジー、 リジーと出会ったことで試合に勝ち進むポール、 だが顔を合わせば二人はやはり恋に落ちているのだけれども。 試合が二人を引き裂く。 緑の美しいグリーンコートに黄色いボール。 俳優たちは見事なプレイスタイルで一流の選手を演じる。 ポール・ベタニーのピーターは、 自らの心の内を語るナレーションとピッタリあった、 迷いながら自分を見つけていくような動きをする。 キルスティン・ダンストのリジーは、 勝てば全身で歓び、負ければ全身で落胆する。 俳優がスポーツ選手を演じれば そのプレイスタイルまでもが演技になるようだ。 行ったり来たりするボール。 ポールもリジーも勝ち進んでいくが、 二人ともそれぞれに 試合と恋愛のバランスがとれなくなってくる。 リジーは試合に敗退し、 イギリス人の決勝進出者としてポールは マスコミの注目を浴び始めている。 だがリジーは彼が 試合のために自分を利用したのでは、と思い始めていた。 ポール・ベタニー&キルスティン・ダンスト 二人の俳優は人間の欠点を上手く表現する。 弱気なポールと強引なリジー、 欠点のある人間が出会い恋をすることで変わっていく。 スポーツ、しかも舞台はウィンブルドンである、 主演二人の妙味とラブコメのWoking Title Firm それに、最高の舞台と三拍子そろい、 スポーツ作品の醍醐味も十分味わえる。 ギャラの高い俳優や多額な制作費、大規模なセットもいいが、 (この作品も試合のシーンなどに時間も費用もかかっているだろうが) 映画はアンサンブルなのである、 だからこそ要素の詰まったこの作品は十分、豪華だ。 いつのまにか、黄色いボールを追っている。 いつのまにか、ポールとリジーを追っている。 どんな結末なのかなんとなくわかっても、 映画はアンサンブルなのである、 いつのまにかストーリーを追いキャストを追い、 上映時間を楽しむことが出来れば十分な満足が得られる。 「映画を観て満足をする」 それは、とても楽しいことだと思うのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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