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夢先生の玉手箱-annex

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2008年04月17日
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カテゴリ:子供の気持ち
5年生のDちゃんが私の教室に編入したのは3年生の時
とても3年生とは思えないほど、すべての行動が年齢より幼く、
友達との関係がウェイトを占め始める年齢にもかかわらず
お母さん、お母さんと甘えていた。
その様子は、幼児のようでもあった。
もちろん学習習慣もついておらず、
担当講師は、彼女をレッスンに集中させる為に苦労をしていた。
そんな彼女が、1、2年生と一緒に
宿泊研修に初めて参加することになった。
お母さんから参加申し込みの際に
この子は、私と離れて寝たことがないので、
ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします。
と聞かされた担当講師は、不安な面持ちで私に報告をしてきた。

集合の時も遠足気分で盛り上がっている1、2年生の横で、
同じクラスの生徒と話すこともなく
お母さんと手をつないで不安そうに出発を待っている。
「がんばってね」と見送るお母さんの顔も心配顔だった。

案の定、研修所に着いてお昼ごはんを食べ、勉強をしていると
頭が痛いといってべそをかき始めた。
「病院に行こうか?」
「ううん、家に帰りたい。おかあさんのところに帰りたい。」
かなり本泣きになる。
「わかった。わかった。とにかく、頭が痛いのなら少し寝たら?」
「うん」
隣の部屋に布団をひき、彼女を寝かせる。
隣にぬいぐるみを置いてあげると、
しばらくして、泣きながら眠り始めた。
ここでお母さんに迎えに来てもらい、
彼女をこの研修から脱落させてしまえば
彼女に「できない経験」を作ってしまう。
私の頭の中、お母さんを呼ぶということは考えていなかった。
彼女が目覚めて、他の生徒たちにどのような影響を与え
どのような状況になるかわからないが
とににかくお母さんと離れて寝ることができた、
他の参加者と同じように一人でできた、という自信を
学校の宿泊研修が行われる前に彼女につけてあげたいと考えた。

2時間ほどして彼女は、目覚め、布団の中でめそめそし始めたが
あえて私たち講師は、彼女を放っておき、様子を見ることにし、
生徒達に夕食の準備をさせていた。
すると、彼女が起きたことに気がついた一人の1年生の女の子が
べそをかいている彼女のもとに行き、
「大丈夫だよ。私もがんばってるよ」と言って布団から出ている頭を撫で始めた。
「どうする?少しみんなと一緒にやってみる?」
後ろから声をかけた。
1年生の女の子の「一緒にやろう」という声に、
布団からおきあがり、みんなのいる部屋へと1年生と一緒に入っていった。
夜、また寂しくてべそをかいていたそうだが、
翌朝、髪の毛をくしゃくしゃにして苦労しながら寝袋をたたむ彼女の顔は、
昨日までと異なり、自信に輝いていた。

この研修から、Dの様子が変わり、
学校でも仲の良い友達ができ、勉強にも積極的になりました。
これからはDを信じて、いろいろ経験させようと思います。と、
お母さんから、嬉しい報告があった。

ほんのささいなきかっけが、良くも悪くも子どもを大きく変える。
勉強させることだけが、子どもの学力を伸ばすとはかぎらない。
小さな自信を持たせてあげることで、
自分の可能性を感じて、自分の力で伸びようとする。
幼児までなら、お母さんが褒めることで
子どもは自分に自信を持つことでできるが、
小学生になれば、できない、できるとは思わないことを
出来るようになった経験をすることでしか、自分に自信を持つことができない。
この研修での経験で自分にチャレンジする自信を持ち、
人間関係や英語に積極的に取り組むようになったDちゃんを見ていると
自信を持たせてあげるきっけ作りも
私たち小学生を預かる講師の大切な仕事だと思う。
そして、小学生を持つお母さん方も
勉強でなくても、スポーツや習い事で、
一人でできた、というきっかけ作りの機会を積極的に与えてあげて欲しい。






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最終更新日  2008年04月17日 12時14分09秒
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