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夢先生の玉手箱-annex

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カテゴリ:子供の気持ち
一言言えば、10言くらい返ってくる中学生の女の子に比べ、
何を言っても「は~。」「ん~。」「わっかってるよ」と
聞いてるのか、聞いてないのか、
中学に入るころから殆ど言葉を発さない息子を
何を考えているのかわからない、
と、嘆かれるお母さんは多い。

T君は、小学校5年生になるまでは、大手の英語教室で英語を習っていたが、
すべての習い事を辞めて、受験に専念させる
近所でも生徒を絞ることで有名な小さな進学塾の方針で英語教室を辞め
私大の付属中学に入学後の7月に、私の教室に入りたいとお母さんから電話があった。
「本人が来る前に先生にお話したいことがございます。」
ということだったので、本人抜きでお母さんと会うことに。

「なんといいますが、お恥ずかしいのですが、
 息子は、かなり変わっておりまして…」
「?」
「先生を困らせるようなことをして
 ご迷惑をおかけすることがあると思います。
 それでも、入れていただけるのでしょうか?」
謙遜して「ご迷惑をおかけするかもしれない」と笑顔で言うお母さんとは違い
真剣な顔というより思いつめた表情だ。
「他の生徒に迷惑をかけるようなことがなければ、
 中学生ですし、問題はないと思います。」
「家で私に口をきくことは、ほとんどございませんので、
 先生方にどのようなことを言い出すのか、不安ではございますが、
 どうぞ宜しくお願いいたします。」
と、お母さんは、深々と頭を下げ、お子さんのレベルチェックをしてから、
というスタッフに、入会させていただけるなのであれば、
どのクラスでもかまわないと、入会手続きを済ませて帰って行った。
「先生、どんな子なんでしょうね」
「さぁ。どんな子なんだろうね。」

2日後、Tが教室へ一人でやってきた。
外見は、どこにでもいる普通の中学1年生の男の子。
レベルチェックの問題を渡し、30分でやるように伝えると、
「はい」ときちんと返事をした。
30分後「終わった?」と教室に入ると
返事はなく、下を向き首を振りテストを隠すようにする。
「いいから見せないさいって。テストは今の英語力をみるためで
 できる、できないに関して何かを言うわけじゃない。」
「ほんと?」
「まだ教えてもいないのに、何も言うわけないでしょ?」

中1の一学期用の最も簡単なまとめのテストだったが、空欄ばかりだ。
勉強をしていないどころか、ほとんどまともに授業も聞いていないのだろう。
「わかった。じゃぁ、レッスンを始めようか?」
「今日は、テストだけじゃないの?」
「まだ、30分あるし」
「今日は、いいよ。」
「…なに?」
「テスト終わったんでしょ、帰る」
「勉強しないの?」
「今日はいい。」
「そっ。もうあなた来なくていいわ。
 他の教室に行きなさい。」
「?」
「あのね。中学1年生にもなって勉強したい、って思わない子を教えるほど
 先生、ヒマじゃないの。」
「だって、お母さんが行きなさいって。
 手続きをしたからって。」
「ご心配なく。お金はお返しするから。
 英語を教えてくれるところは、ここだけでじゃないでしょ。?
 あなたの家からここに来るまでだって、5箇所以上あるでしょ。
 あなたに教室を選ぶ権利があるように、私にだって生徒を選ぶ権利があるの。」
 私の時間もあなと同じ、一日24時間しかない。
 教えられる生徒は限られてる。
 自分から勉強しようという気のないあなたを教えるための時間がもったいないの。
 できなくても、自分からできるようになりたい、という気持ちのある子に
 力を貸したいの。
 さぁ、帰りなさい。帰りたいんでしょ?」
固まっている彼のカバンを私は、教室の外へ置き、私も教室を出た。

時間になっても彼は教室から出てこない。
次の時間のレッスンが始まる時間になり、
次のクラスの生徒たちが教室の外で待っている。

「次のクラスの子どもたちが待っているから、
 早く帰ってくれない?」
彼は、立ち上がって教室の外に出たものの、
ロビーのソファに座って、うつむき動こうとしない。
「帰らないの?
 お母さんにおこられる事を心配しているなら
 先生からちゃんと事情を説明すれば怒られないと思うよ」
「…、先生、僕、ここで英語を勉強したい。」
消え入るような小さな声で彼が言った。
「うん?」
「できないことを怒らない先生もいるんだね」
彼は、進学塾で先生、大人への不信感を彼なりにつのらせていたのだ。
「できない事は起こらないけど、やらないと怒るよ。
 だから、よく考えなさい。
 教え始めてから、辞められると悲しいからね。」
「悲しい?」
「そりゃそうでしょ。
 先生だって毎週、会うのを楽しみにしてるんだから。」
「そうなの?」
「どの先生だって、みんなそうだよ。
 はい、もう時間だから帰って、自分で勉強したい、って思うなら、
 来週、この時間に来ればいい。
 他の教室に行きたければ、お母さんにそう言って、
 お支払いいただいたお金はお返しすると先生が言っていたと伝えなさい。」

彼が通い初めて5年がたち、
高校生になったある夜のレッスン中に突然、
「先生、なんか俺、ここで昔、ショックなことがあったような気がするんだけど
 何があったのかな?」
彼が座っていた席は、まさに彼が初めて教室に来てテストを受けた
あの場所だったのだ。

糠に釘、豆腐に鎹- 意見をしても、少しの手応えもなく、ききめのないことのたとえ
その反応とはうらはらに、心にはしっかりと響いていると私は感じる。
手応えのない反応に、これでもか、これでもか、と言うことは、
かえって「自己防衛」という逆効果を生むのではないかと
他人である私たちには、きちんと反応し答える男の子たちを見ていると
心配になる。






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最終更新日  2008年07月05日 08時46分05秒
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