漫才コンビ「麒麟」の田村裕著「ホームレス中学生」を読みました。
中学2年生の時に自宅が差し押さえられ、お父さんが「解散!」宣言をしてから、
高校卒業間際にNSC(吉本総合芸能学院)に入学し、相方・川島と出会うまでの
辛くて切ない、チョッピリ笑える人生ストーリーでした。
無責任な父親が姿を消し、住むところもなくなった3人兄弟は
それぞれ公園での生活を余儀なくされます。
ところが近隣の人たちが彼らに救いの手をさしのべ、
その方達のお陰で、兄弟3人がまた一つ屋根の下で暮らせるようになります。
バブル期に生まれ育ち、物余りの中、なに不自由なく育ったこの世代が、
いつも空腹で、お腹が満たされることがない毎日は、どんなに辛いものだったでしょう。
それでも田村クンはいつも明るく、みんなの人気者だった。
そんな人柄が近隣の人々や学校の先生方にも愛され、貧乏でも決して不幸ではなかった。
最近の若者は「我慢が足りない」などといわれますが、
あのバブル期が災いしたのかも知れない。
私が500円玉を貯めている「10万円貯まる本」の中にも
"子供を不幸にする確実な方法は、いつでも何でも手に入れられるようにすることである【ルソー】~我慢を知らずに育った大人を想像すると怖い気がします。"という言葉があります。
その点田村クンは幸せのハードルを下げ、ギリギリの生活を余儀なくされたこの体験は、
当時は辛かったと思うけれど、今後の人生をいきぬいていく上で、
大変貴重な人生経験だったのでは、と思います。
今は人気絶頂の漫才コンビですが、たとえ今後人気が斜陽したとしても、
彼ならきっとたくましく生き抜いていけるだろうと思います。