海水浴
海水浴 南風一 海は近かったけれどそこに到達するには峠を越えるかトンネルを通るしかなかったそんなものだから海に行くのは1年に1回近所の老若男女一同がバスに乗って8月の初旬に海水浴に出かけるのが定番であった私が子どもの頃は海に泳ぎに行くのは近所の人たちと大勢でというのが相場であったから不思議とも何とも思わなかった半世紀が過ぎて実家のあたりではもう近所の人たちが集って海水浴へ出かけるという行事もなくなったようだ地域の人たちのつながりが薄れて海水浴へ行こうと音頭を取る人もいなくなったのかも知れない子どもたちは一日中真っ黒になって海で泳いでいたけれどお母さんやお年寄りは松林の下でひたすらだべりingオジサンたちは酒をひっかけて管を巻いていた太陽が西空に傾きかけた頃ゴザを畳んでバスに乗り込み家路に着く家に帰ってもまだ辺りは明るかった海水浴から帰った日の風呂は苦手だった塩を塗られて真夏の太陽に焦がされた肌は温水に浸かるとヒリヒリして痛かったそれから1週間くらいは墨を塗ったような顔をしていた (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング