大阪に警視庁がやってきた
先日書いた、手品用に硬貨に穴を開けた業者を警視庁が逮捕した件。いろいろ興味ある問題を含んでいますが、私が疑問に思ったのは、大阪市内の業者を、「警視庁」が逮捕にきたという点です。「大阪府警」ではなく。まずは誰しも聞いたことがあるはずの「警視庁」って何か、という点について。たとえば大阪府には「大阪府警」(大阪府警察本部の略)があり、隣の奈良県には「奈良県警」がある。では東京都はどうだというと、「東京都警」などという言葉を、皆さんは聞いたことがないと思います。犯罪も多いはずの東京に都道府県警察が置かれていないのかというと、もちろんそうではありません。上記の「警視庁」が「東京都の都道府県警察」にあたります。どうして「東京都警」と言わないかというと、いわれは色々あるようですが、要するに「首都の警察はちょっと違うぜ」という意識が、警察制度を作る側に働いたのだと思います。そして、これら各都道府県の警察の上に、全国の警察を統べる「警察庁」という省庁があります。ついでにいうと、警察の中でいちばん偉い人は誰かというと「警察庁長官」です。よく聞く「警視総監」とは何かというと、「警視庁」のトップであるにすぎません。会社でいうと、警察庁長官は社長。警視総監はというと、東京支店の支店長にすぎないのです(たしか過去に警視総監に就いた人がそう言ってた)。さて冒頭の事件。大阪の業者を、東京都の警察たる警視庁が逮捕にやってきた。普通、犯人はその「所轄」の署が捕まえます。「所轄」はどうやって決まるかというと、犯罪が起こった場所を担当している警察署がそれにあたります。たとえば殺人なら殺人現場、詐欺なら金品を騙し取った場所が、これにあたります。本件は、大阪の業者がわざわざ東京に行って硬貨に穴を開けていた、というような事情もなさそうだし。警察内部の職制とか権限配分とかはよく知りませんが、マイナーな法律を適用しないといけない難しい案件なので、「東京支店」のスタッフが大阪に乗り込んできたのか。この点は新聞にも書かれていませんので、何ともいいようがありません。事案自体は、わざわざ東京からお出ましになるようなものでもないとは思うのですが・・。