テーマ:最近観た映画。(40112)
カテゴリ:その他の映画(今世紀)
先日「ブラッスリー・バルザール」で食事をした後、コッポラの10年ぶりの新作「ユース・ウィズアウト・ユース(注)」を観てきました。 (*注 日本公開は未定らしいので原題を引用しています。)
ルーマニアの作家ミルチャ・エリアーデ原作のこの映画は、研究熱心な老教授がある日永遠の若さを手に入れるところから始まります。 彼を研究材料にしたいとナチスに狙われたり、運命の女性と学問の狭間で苦悩したり・・・というのがストーリーのメインなのですが、これがどうもただの冒険活劇ではないのです。 難解で分かりにくい箇所もあるこの作品は、コッポラ本人の勧めている通り2回は見た方がいいみたい。 観てから数日経ってしまうと自分がどのシーンを理解しきれなかったのかすら思い出せず、逆に自分の納得できたところだけが印象に残っているのが不思議ですが・・・。
この映画について書くのは難しいので、帰りのメトロで主人と話した事だけ記そうと思います。 私はこの作品「ロマンチック」だなぁと思いました。 ネタバレしたくないので作品内で何が起きたのかは書けませんが、主人公と運命の女性の間の出来事を見ていると 「もしかして自分たち夫婦が会った時から意気投合できたのは、こんな縁があったからじゃないかしら?」 と思ってしまう箇所があるからです。 (いかにも女性の視点、ですが・・・。)
私がディノにそう言うと 「ぼくも『romantique』な映画だと思ったよ」 という返事が返ってきたけれど、彼の言う「romantique」は、私の言う「ロマンチック」とは違うのです。 もう何年も前に2人で話し合って知っている事ですが、彼にとって「romantique」とは、ゲーテなどに代表される「ロマン主義」に関連のある言葉。 どうやら人間が苦しんだり悩んだりする様を指すらしい??? (私はよく知りませんが。) 私にとっての「ロマンチック」はもちろん、たとえば「クリスマスにすてきな夜景のレストランで食事 」などの事なので大違いです。 ディノの解釈の方が歴史的には先に存在しているのは知っていますが、なんだか違和感を感じる・・・。
さてコッポラの新作ですが、ティム・ロス演じる主人公は確かに散々悩み苦しむので、ディノの「ロマンチック」の定義も当てはまります。 奥の深い映画も、歴史のある言葉も、どちらも何通りにも解釈できる見本の様なお話でした。
ちなみにこちらで映画の予告編が見られます。 (英語版に、仏語の字幕がついています。) http://www.allocine.fr/video/player_gen_cmedia=18761231&cfilm=108952.html
11月14日にフランスで公開されたばかりのこの映画、今週からはパリではたった一つの映画館でしか上映されていません・・・・コッポラなのに!? 確かに私も一人だったら観ていないと思うし、最初の方少しねむかったし(先日友人達を家に招待して以来寝不足だったのです)、理解が追いつかないところもあるしで、今までのコッポラの作品に比べると万人ウケしないのは明らかなのだけど、分からないところはそのままでも十分楽しめて心に何かが残る作品なので残念に思います。
(上の写真は映画とは関係なく、シャンゼリゼにある超有名カフェ「Fouquet’s」のクリスマスデコレーションです。手元のガイドブックによればこのカフェは「フーケッツ(英語読み)」が正式名称の様ですが、どこかで「フーケ(フランス語読み)」と聞いた事もある気がします。ここのショコラは絶品。) 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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