テーマ:おすすめ映画(4052)
カテゴリ:日本映画(~1959年)
(*注
今日はネタバレ事項があるので、楽天で映画ブログを書いていらっしゃるひろちゃん★510さんの手法をマネさせてもらいます。 ネタバレ事項は白で書き、マークで囲みますので、読むためにはそこをドラッグして反転させてください。) 以前書いた通り今回の帰省中は義母の予定外の入院もあって不安と疲れに襲われた日もあったのだけど、「未知空間の恐怖/光る目」(1960)のDVDを観た時に、映画を観る事がとてもとても気分転換になると今さらだけど再確認したので、その翌日も何かしら観たいなと思った。 しかも日本語に飢えていたので、主人が我が家から持ってきたDVDから黒澤明の「生きる」(1952)を選んだ。 現実を忘れられる様な圧巻的なシーンもあるし、前向きな映画だし。 なのに、なぜか義母宅のプレイヤーだと音が出ないので断念。 主人は溝口健二の「祇園囃子」(1953)を勧めてきたけれど、どうしても観る気になれなかった。 私は時々「溝口監督の作品」というカテゴリーに尻込みする。 理由はくだらなくて幼稚なものばかり。(自分でも分かってる。) 悲しい立場の女性を描くものが多いから。 それを見ると疲れる事があるから。 そういった女性の姿を描きつつ、私生活では逆の立場にあったのではないかと思われる監督のスタンスがよくつかめないから。 (本でも読んで調べればいいのだけど、その気力なし。) あと(本作品には関係ないけど)頻出する田中絹代の良さが分からないから。 「お遊さま」(1951)の有名な長回しなんかには圧巻されたクセに、溝口監督をなんとなく後ろ回しにしてしまう傾向が、私にはある・・・。 DVDで観た「祇園囃子」は何故か特に私の気に入らず、「不条理な舞妓の世界を描いたお話だ」「最後はキレイごとで終わる」というイメージしかない。 思い出せる良かった点といえば、その名の通り若き若尾文子が可愛らしかった事ぐらい。 なのになのに・・・・・DVD鑑賞を諦めて不貞腐れる私を放って、主人が「祇園囃子」を鑑賞し始めたのを私も途中からちょろっと見てみたら、もう止まらなくなってしまった。 そして、3年ほど前に観た時と全く違う感触にびっくり。 なんと美しい映画!! はんなりとした京都弁が日本語に飢えている私の耳に優しく響く。 3年前の私は、おばかでした、認めます。 とにかくとにかく・・・これは小津監督の「東京物語」と同じくらい画面に吸い込まれる、いつまででも何度でも観れる作品じゃないか。 観出した時点で深夜だったのでその日は泣く泣く途中でDVDを止めたけど、翌日に最後まで観た後は、ついDVDのチャプターを1つ前に戻してもう1度、いや、もう2度、ラストシーンを鑑賞してしまった。 だってそれだけの価値のある映画だし、主演の2人を1人ずつじっくりと見たかったから。 これもこの間の「未知空間の恐怖/光る目」と同じく「なりゆき」で観た訳だけれど、前回以上に幸福な偶然だった。 3年前にこの作品を観た時の私の目って、一体どれだけ節穴だったのだろう。 (その時は論文準備もあって台詞と字幕との比較に集中しすぎていたのかもしれないけど、それにしても。) それにあの時は 「若くて役柄上衣装も華やかな若尾文子の横だと、小暮実千代は損な役回りだな」 なんて思っていたのが、今では信じられない!! 今回は小暮実千代の色香の方に心を奪われたのだから。 (去年の増村保造特集で何度も見た若尾文子よりも新鮮に感じられたというのもあるのだろうけど。もちろん若尾文子の可愛らしさと華やかさは凄いし。) この映画、1粒で2倍美味しいわ! ストーリーに関しても、前回は小暮実千代演じる「千代春」もまぁ、若尾文子演じる「千代栄」のおかげで大変な目に遭っているなぁ、なんていううがった見方しかできていなかったし、最後に小暮実千代がこれからも若尾文子の操を守ると宣言するシーンでは 「偽善的な映画だなぁ、無理だから無意味なんじゃないのかなぁ」 なんて斜に構えていたけれど、今回は 「小暮実千代がそう言えるまでになっただけでもすごいことだ」 と思えたり、2人の相手を思い合う気持ちに感心したり・・・本当に前回とは違う気持ちで鑑賞できた。 本当に本当に、何重にも感激させられたこの作品。 ただ、最後のシーンを3回観てから最初に戻って主演の2人が出会うシーンを観たら、小暮実千代のキャラクターが最初の数分とそれ以降で、かなーり違う様に見えた。 初めからきちっと観ていたら、彼女のこの変わり具合にも納得がいく様にできているのかな? 何はともあれ、映画再見の重要さをまたも感じた出来事でした。 投票(をクリック)していただけると嬉しいです。 人気ブログランキングへ いつか私でも、田中絹代の良さが分かる様になるのかなぁ?ぼそっ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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