テーマ:最近観た映画。(40132)
カテゴリ:日本映画(~1959年)
『祇園の姉妹』(1936)を鑑賞。 最初の数分をあるハプニングのせいでほとんど観れなかったし 初見なので断言できない事ばかりなのだけど、なんとなく感じた事を書いてみたい。 まず、年明けに再見した『祇園囃子』(1953)をイメージしつつ観に行ったため 違いに驚いた。 各作品で妹分にあたる女性達 (演じているのは『祇園姉妹』では山田五十鈴、『祇園囃子』では若尾文子) の気性が違うのは知っていたから、カラーの異なる映画なのだろうなと思ってはいたけれど、 どちらも白黒映画なのにまさに「色」も違っていた。 『祇園囃子』は初夏のイメージ。(題名通りだけど。) もちろんシーンによって違いはあるけれど、光がいっぱいの画面は白っぽかった気がする。 それに反して、この『祇園の姉妹』はニュー・プリントのフィルムがたまたまそうなってしまったのか、 それとも本当に元々そうなのか(室内シーンが多いし)かは分からないが、 全体的に黒の効いた絵だった様に思う。 作品全体を覆う静けさの中に、男を信じずただ利用だけしたいと思っている「おもちゃ」 (=山田五十鈴)の早口言葉が景気よく響く作品だった。 『祇園囃子』の小暮実千代・若尾文子コンビがあまりに優美だったため 今回の梅村蓉子・山田五十鈴の姉妹にももう少しの甘さが欲しかった気もするけれど、 時代の違いも影響しているのかな、なんてぼんやり思ったり。 (この辺、どうなんでしょう?) 山田五十鈴と言って私に真っ先に思い浮かぶのは 『東京暮色』(小津、1957年) のうらぶれたマージャン屋のおかみさんと、 『蜘蛛の巣城』(黒澤、なんと同年!) で三船敏郎演じる武将(だったかな?)までも 説得してしまう迫力溢れる妻。 今回の映画ほどフレッシュな時代の彼女を知らなかったので楽しみにしていた。 いざ観てみたら若いだけあって華奢で可憐な女優さんだった・・・と書きたいのだけど この作品はなぜか遠くからの絵が多く、アップがほとんど無かった様な (最初の数分については知りませんが)・・・それが残念でした。 主人も指摘していたけれどどうも家屋の壁や床をフィルムの端に収め、 人物達を枠の中に囲っている感じの構図が多かった。 これも時代か?と思ったものの、たとえば同年の小津作品『一人息子』なんて 普通にアップがあったはず。 この前後5年の溝口作品を観た事がないので謎は深まる一方であった・・・けれど、 観れて満足な作品。 ちなみに山田五十鈴の演技の方はというと既に抜群で、そのあまりのちゃっかり具合に 観ていて少しイラッとしてしまったほどでした。 ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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