カテゴリ:日本映画(80&90年代)
ポンピドゥー・センターの吉田喜重特集にて『吉田喜重が語る小津さんの映画』を 観てきました。 (日記の日付がズレてます、ごめんなさい。) 小津安二郎は謎が多くてよく分からないながらも大好きな監督だし、何とも贅沢な事に 上映前には監督と岡田茉莉子夫人の挨拶があるので、これは見逃せなかったのです! ワクワクしながら待っていると、お2人と関係者数人が入場。 「どれどれ」 と思ったところで・・・私は、珍しくもメガネで来てしまった事を後悔しました。 外出時はほとんどいつもコンタクトなのですっかり忘れていたけれど、 そういえば私のメガネって「室内用」として作ったから度が緩めなのだった!! おかげで、そう遠くない場所に居るお2人の表情がなんとなくしか見えません。 今のこの瞬間ほど、目の前の光景をじっくり眺めたい事なんてなかなか無いのに~!! ミーハーな私はがっかりです。 どうしてこういう時に限ってメガネで来ちゃったのでしょうね・・・。 ・・という事情があったので私は監督も岡田茉莉子さんもよく見えない状態だったのだけれど お2人の柔らかい雰囲気は伝わって来ました。 どちらもゆったりとした語り口がとても素敵で、いつもかなりの早口で喋っている私は 少し反省してしまったくらい。 それぞれ小津監督との思い出を話してくださり、その中には『小津安二郎 新発見』で既に 読んだものも混じってはいたけれど お2人の敬愛ぶりを見て、小津安二郎の映画を偲ぶ作品を観る前の心づもりがしっかりできました。 『吉田喜重が語る小津さんの映画』は小津監督の映画シーンを多量に引用していました。 私が覚えている範囲内で挙げてみると『東京の合唱』(1931)、『生まれてはみたけれど』(1932)、 『一人息子』(1936)、『父ありき』(1942)、『風の中の牝鳥』(1948)、 『晩春』(1949)、もちろん『東京物語』(1953)、『秋刀魚の味』(1962)かな。 小津作品の抜粋を観ながら、「反復とズレ」や「物が人間を見ている」など 吉田喜重の解釈を聞けるので非常に分かりやすかったです。 私は最初「小津さんは映画のまやかしを信じなかった」(だったかな?)という文章の意味が ピンと来なかったのだけど、それも何度も繰り返されるので最後にはやっと納得できました。 小津監督の残した映像と映像の間に時おり、吉田監督が撮影した風景も挟まっていたので いいアクセントになっていたと思います。 幼い頃親に連れて行ってもらった『父ありき』の釣りのシーンが心から離れなかったという 吉田監督が、小津安二郎の生誕90周年及び没後30周年を記念して製作したこの作品は 観客である私達に、小津監督への尊敬と映画を信じる静かな情熱を伝えてくるものでした。 ポンピドゥー・センターではこの前年に作られた『吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界』の 上映も控えているので今から楽しみでなりません。 (1番上の写真はポンピドゥー・センターの「第2上映室」前のロビーです。) ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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