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映画大好き夫婦のパリ新婚日記

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2008.10.20
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一生観れないのかも、なんて思っていた
勅使河原宏の『他人の顔』を観る機会に恵まれた!!

これは絶対に見逃せない、と意気込んで観始めたものの
今から6年前にレポート作成の為に繰り返し鑑賞した
同監督の『砂の女』とは、
原作との関係が全く逆だったのでとまどいを覚えてしまった。

(『砂の女』の映画版も原作もだんだん頭から抜けてきているし、
『他人の顔』の原作についてはあまり覚えていないので、
勘違いがあるかもしれません。)




映画版『砂の女』が素晴らしいのはまず、
阿部公房の原作に忠実である事。

映画を観てから小説を読んだから余計そう感じるところも
あるのだろうけど、
ストーリーも小説と同じなら、
台詞よりも主人公のモノローグが圧倒的に多い点も同じ。

もちろん小説を映画化する際には
原作がよほどの短編でない限り
時間的制約のためにどこかを端折らざるを得ない事が多いけど、
この「はしょり」もうまくやってのけていたと思う。

たとえば原作では主人公の愛人(?)との関係が
回想の様な形で何度か出てくるけど、
映画では冒頭の方で
女の姿が砂漠にオーバーラップで幻想的に映し出されるだけ。

でもそれにちょっと抽象的(?)なモノローグが乗っかるだけで
主人公には何らかの関係を持っている(または持った)女、
しかも現時点でも
何となくその存在を気にかけてしまう女がいるんだなと
分かるのだから秀逸だ。




それとは逆に映画『他人の顔』はストーリーも、
ナレーションの方法も、原作とは異なっていた。

阿部公房の著書一冊を埋め尽くす凄まじい量の
主人公の考えも思想も、
妻や医師(医者は原作には登場しなかったと思う)との対話を
通して観客に伝えられる。

原作のイメージが強かったからなのか、それとも
「こんなに理屈っぽい人が2人も(=主人公&医師)
集う可能性は実際には低いはず!!」
といういかにも私らしい
それこそ「理屈」がジャマをしているのか、
どうもピンと来なかった。

もっと主観的に言えば
ストーリーがあんな風に変わっているのがちょっと残念だったし、
もっと正直に言えば
テーマが掴みきれなかったというのもある。




・・・ま、実は『砂の女』も初めて観た時は
(ビデオをだらだら見てたし、私のオツムが強くないのもあって)
実はなんだかよく分かっていなかったのだから、
『他人の顔』ももう1度鑑賞したら
もっと好きになるかもしれないけどね。

鬼才の原作者がよかれと思って映画のために用意した脚本なのだから
あまり否定的な事は書きたくないな・・(書いちゃったけど)。

とりあえずは本を再読したいという気持ちがすごく湧いたので
今度ブックオフで探してみるつもりです。


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上の写真はrue Monsieur le Princeという通りにある
Cine Refletという映画専門の本屋さんのウィンドーです。
もう何度もその前を通りかかっているけど、
それはほとんどいつも深夜なので
私とディノは入れた試しがありません・・。
(この写真を撮ったのは日曜で閉店日だったし・・。)





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最終更新日  2008.10.22 07:09:25
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