テーマ:最近観た映画。(40110)
カテゴリ:その他の映画('60&'70)
もう今から一ヶ月半以上前にニュープリントで観たこの映画について 一応書いておこう。 日本未公開らしくて邦題が分からないけど、 原題を直訳すると『女の匂い』にでもなるのだろうか?? (ちなみにアル・パチーノ主演の『セント・オブ・ウーマン』は この映画のリメイク。) 主人公は盲目の元・大尉(?)ファウスト (ヴリットリオ・ガスマンが好演)。 年のころは50前後(?)。 映画はファウストがナポリの友人に会う為、 ジョバンニ(アレッサンドロ・モモ)という若い兵士に付き添われて 列車の旅を始めるいきさつからスタートする。 目が見えない、というのは実生活において かなりのハンディキャップになるはずだ。 だからこそファウストのこの旅行にもジョバンニが ついてくるのだけど・・・ファウストのなんとまぁ、 ジョバンニに威張り散らすこと。 独特の持論をいかにもイタリア映画の登場人物らしく 早口でまくし立てながら、 ナポリまで行く途中で通過する街を堂々と闊歩する。 特に女に対しては相当の自信があるらしく、 匂いで相手の容貌を想像できるとまで言い切る様は なんとも面白い。 そして実際、彼が女にモテてしまうのはもっと面白い。 悲しい事だけど、私が想像するに 身体的なハンディを背負っている人は恋愛に消極的だったり、 実際に不利だったりする傾向があるんじゃないかと思う。 なのにこの映画では 一見自信満々に振舞うファウストは女性達に人気で、 しかもそれに何とも言えず説得力があるのが爽快ですらあった。 どうして説得力があるかと言うと、だって・・・ こんなにもいつもいつも堂々とした態度の 中年を過ぎた男を目にしたら、 数多くの女の脳裏に「ステキだな」という気持ちがよぎっても おかしくないからだ。 私の知り合いにも、実はファウストと少し似ている人が居る。 (幸いな事に視力には問題がないけど体が弱っていて闘病中。) 年齢とか外見の雰囲気とかちょっとした話し方に、 ファウストとの共通点がある彼。 私は初めて彼に会った時からいいな~と思っているので、 ファウストが女性にチヤホヤされているこの映画は どちらかと言えば非現実的なんだけど、 私にとっては妙にリアリティーがあって観やすかった。 しかも私の周りの女性には この知人のカッコよさが伝わりにくいみたいで 残念に思っていたので (常に若い男の子の方が人気あるのね・・・。 私は別にオジサン好みのつもりはないけど、 歳を重ねた男性の渋さもいいと思う。)、 この感情を作中の女性達と分かち合っている気分になれたのは 楽しかった。 映画の途中から登場する、若くて美しいサラ (アゴスティーナ・ベリ)。 この少女の魅力と純粋さ(または思い込みの激しさ)には 人間そうそう抗えないはずだ・・・。 映画の終わり方は私が想像していたのとは真反対で いい具合にかつがれたのが 何とも憎たらしくも嬉しくて愛しい、 76年にセザール賞(外国映画部門)を受賞したのも納得の 作品でした。 サラが出てくるまでは特別に美しい登場人物もいなかったし、 あちこちの街の風景(なんとローマも!)は キレイなんだかそうでないのか分からないぐらい 雑多な一面が映し出されていたけれど、 それすらも絵になるイタリアにいっそう魅惑されたのも、 この作品の余韻をよりいいものにしたのだと思う。 この作品はストーリーも(個人的に?)興味深かったけれど、 「見せる映画」でもあるのね、ふむ。 ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.11.08 07:40:22
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