sweet storm

最近、王さまのことを考えるたび、
なんて優しい人だったのだろうかと思います。
もう、死に向かって進むしかないとわかっていて、
どうしてあんなに優しくなれたのだろう、
死の淵にも、私のことを思いやって、
自分に思いを残すような言葉はかけず、
何もかもを許してくれて、
幸せに、自分に縛られることなく生きろと言ってくれました。
朦朧とした意識の中でも、私のそばにいると約束してくれ、
私の手を握り、最後まで私を見つめながら逝きました。
王さまが亡くなって最初のころは、
王さまにおきた事実だけを受け止めるのに精一杯でしたが、
最近は、王さまの残した言葉や、しぐさの一つ一つに
優しさがたくさん隠れていたと気づいています。
同じ状況にあったら、私には同じことはできなかったでしょう。
自分のことが第一で、自分のことしか考えられなかったと思います。
ひょっとしたら、ももちゃんのことさえ、王さまのことさえ
考えることができなかったかもしれない。
本当に良い人に出会えて、良い人の子供を生むことができて、
強く幸せを感じることができます。
でも、だからこそ、王さまが残させようとしなかった
自分自身への未練を、
王さまの気持ちに気づくことで余計に強く強く感じることになってしまいました。
計算違いだったね、王さま。

今でも毎日泣いています。
だんだんと王さまがいなくなった実感が強くなってきて、
それでもどうしようもないこともわかってきていて、
思いだけが強くなって・・・。
早く天寿を全うして王さまのもとへ行きたいです。
そのためなら、あっという間に年をとってしまってもいいのに。
明日、老婆になってしまってもいいのに。