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カテゴリ:プロレス
~僕と馬場さんの勝手な連帯~ 第6回 元子さん 第1039回 2008年10月12日 元子さんとの出会い 1995年1月24日、僕と長男オサム、祖母ふみは凍る雪道をそろそろ歩きながら、山形県営体育館に向かう。 この日は全日本プロレス世界タッグ選手権試合だった。 腸閉塞で山形大学付属病院に入院中だったオサムは小学5年生だった。 生まれて間もない時から入退院を繰り返していたので、オサムのプロレス好きは病院でも有名になっていた。 オサムは「生のプロレスがどうしても観たい」と医師に交渉し、夜9時までの外出許可をもらった。 気の利いた看護婦さんは、プロレスの割引券を持って来てくれた。 冷え込む外から体育館に入るととうに試合は始まっていた。 会場はリングを除き、照明がおとされていた。 目が慣れるまでには時間は掛からなかった。 会場に入るとすぐにある女性と目があった。 その女性は、会場でパイプ椅子の背凭れに腰を下ろしている客に注意をしていたところだった。 女性は私たちに近づいて来ながら、軽く頭を下げ、親しく微笑む。 僕は、その女性に祖母とオサムを紹介しながら、 オサムが入院中のことや、84歳の祖母が馬場さんのファンであることなどを説明した。 「全日本プロレスサービスの社長さんの、○○○○さんです」 と祖母とオサムに紹介したが、会場の歓声で祖母にもオサムにも聞こえなかった。 「ちょっと待ってね」 と言って女性は売店に小走りをして行って、すぐに帰ってきた。 そして大きなバッジを祖母に渡した。 「早く元気になってね」 とオサムに微笑む。 席に向かうとオサムが尋ねた。 「今の人、おとうさんの同級生?…」 「ジャイアント馬場さんの奥さんだよ」 「ええええー、馬場さんの!?」 と祖母のふみは驚く。 「若いなあ」 とオサム。 この日からオサムも祖母もすっかり元子ファンになる。 もちろん僕もである。 僕たちの前列席には、全日本女子プロレスの井上京子選手とその家族がいた。 オサムは午後8時30分ごろ「おとうさん。病院に帰ろう。外出時間を守らないと」言った。 世界タッグの最中である。 大きな会場を僕たちはゆっくり歩いた。 リングでの闘いは会場をわかせていた。 「馬場さんの奥さんはもういないがなあ?」 祖母が言った。 そして、 「もう一回会いたいなあ」 とも。 バッチは祖母からオサムの手に移っていた。 オサムはそのバッチを左手に握り締めていた。 オサムも祖母も馬場元子さんと会ったことがとてもうれしかった。 心が暖かくなった。 (イラスト・山形県営体育館での馬場元子さんの横顔) ~僕と馬場さんの勝手な連帯~ 第6回 元子さん 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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