雪灯篭を受継いで
5年ぶりの大雪で2月12、13両日の「上杉雪灯篭まつり」は縮小することなく、白い街を灯篭がにぎやかに飾っている。
私は12日の夜に仙台と山形から取材のお客様を上杉神社にお連れすることにした。
ご高齢のIさんは会場まで30分の雪道は歩けないだろうと、上杉神社の近くに自宅を構える職員の冨田さん宅へ自動車の駐車をお願いをした。
冨田家の前にたくさんの雪灯篭が並んでいた。
冨田家の雪灯篭はバケツに雪を入れて、逆さにしてかたどるのが特徴だった。
私はそれを見て思い出した。
このバケツによる雪灯篭を毎年作っていたのは冨田家のおじいさんの実さんだった。
その実さんは昨年11月にお亡くなりになった。一体誰がこの雪灯篭を作ったのだろうか?
そうすると長身の冨田家の娘さんの姿があった。
彼女は一つひとつの灯篭に灯を点けていた。
娘さんは埼玉におりこの連休に帰郷していた。
この冨田家の雪灯篭は娘さんが作ったという。
なんだか胸が熱くなってきた。
この雪灯篭と娘さんの写真を撮ろうとしたが、胸の熱さに負けてしまい立ち往生してしまった。
おじいさんが毎年作っては孫や家族を楽しませていた。
その役割を実さんのお孫さんが受継いだのだ。
上杉雪灯篭まつりは前の戦争で亡くなられた御霊を祭るために行われたという。
冨田家の娘さんの雪灯篭はおじいさんの供養になったことだろう。
娘さんの目がクリクリと炎に光っていた。
2011年 2月13日 日曜 記