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2009.06.10
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カテゴリ:音楽
忘れてしまわないうちに発表会の感想と今後の指導の方向性をメモ。

上級のグレード試験組は意外にも明暗が分かれた。
ラストのブラームスのラプソディーの生徒さん、最後のレッスンで全く練習ができていないので発表会参加を止めたいと言っていた。2週間前のレッスンから全く弾いていないと。どんなっているやら、とにかくその日のレッスンで聞かせてもらってから判断するということで、弾かせることに。頭から弾かせると、おそらくぼろぼろになること目に見えていたので、前回のレッスンに補強した中間部分の構成を確認することからはじめ、ラストの再現部、最初へとポイントを確認して頭の整理とさせてみた。本番、彼女が一番よい演奏をした。彼女の中でも一番いい演奏だった。グランドピアノを十分に響かせていた。低音の分厚さや曲の構成を考えて音の引き算も十分に横の流れを作り出し、最後まで集中力を保ちつつ演奏しきった。本番であの演奏ができればクリアしてくれることだろう。やっぱり最後には基礎力と集中力だと、痛感させられた。

最後のレッスンでいいところまでいっていたメンデのロンドカプリチョーソの生徒さん、いつも発表会で緊張することがないといううらやましい心臓の持ち主だが、今回はめずらしく緊張していたようで、頭からボロボロ間違えるは集中力が途切れ、あらあらという演奏。
大きな音はでているが、ピアノが響いていない。ゆったりした箇所では腕の重みの打鍵できれいな音が出すことができていたけれど、テンポが早くなると指の力で弾こうとするため、ピアノを響かせることができない。指はよく動くが、やっぱりいい音を響かせなければ苦しい。難しいテクニックが入っていなくてもいい音で表現できることの大切さと、緊張してもいったん曲が始まれば終わりまで途切れることのない集中力、それは練習量に裏付けられるもの。本番までに自分のペースを持っていけるようにコントロールできるのも,試験組には必要なこと。発表会で痛い思いをして、それをバネに本番へと練習を積み重ねてほしい。

ショパンのエチュードの生徒さん、2曲を頑張って仕上げた。革命は表現としてはまだまだだけれど、短い期間で途切れることなく最後まで弾けたのはほめてあげたい。ピアノの先生を目指しているわけではないけれど、グレードを勧めたい。本人は曲を弾くのは好きらしいが、即興に少々懸念。エチュードはこのまま続けていくことに。2~3年弾き続ければ表現にまでたどり着くことでしょう。やっぱり、弾けることと表現できることとは異なる。

ジャズセミナーの生徒さんたちは、今回はじめて採譜をして自分でアドリブを考えて演奏してもらった。クラシックのレスナーさんはバラードだったが、さすがにアドリブが自分のものになってくると音もきれいでさすがにピアノになじんでいる分,他の生徒さんとの実力の違いが音で分かる。ここでもやっぱり基礎力と集中力が最終的には大事だと感じさせられた。

中上級の生徒さん、樅の木を演奏されたが、最後のレッスンまで間の取り方などディスカッションが続いた。クラシックが好きな男性の方、間の意味が分かてくると大人な演奏になってきた。だけどテンポの速くなる細かい音符の連続になると、テクニックのがでてしまう。指がお団子状態。いい表現ができても、テクニックの基礎力がないと粗がめだち、曲の説得力も半減。
ノクターンの遺作を弾いた男性の生徒さんもそうだ。よく頑張って演奏されたが、いい雰囲気をもっているだけにテクニックの粗さがめだってしまうのは惜しい。。

初中級の生徒さんたち、今回はキャサリンロリンを弾かれた方が2名。曲の雰囲気は大人向きなのでいつも発表会で好評な曲集から。弾くことにはそう長くはかからなかったが、曲を表現するために,いい音を鳴らすため脱力やローテーションや手首,肘の使い方等口を酸っぱくしてテクニックの指導をした。その効果があってかいい音をピアノを鳴らすことができていた。グランドでレッスンをしている生徒さんの方が音出し方の違いを早く習得されたように思う。その方はお家は電子ピアノ。一方レッスン室のピアノがアップライトの方は、お家は生ピアノであっても音を響かせることとバランスを耳でコントロールするのに少々時間がかかった。個人差なのか。両手の役割の違いを、物理的にではなく聴覚的に耳で確認してコントロールするには、グランドの方が分かりやすのだろう。普段からいいピアノでレッスンや練習することの大切さを感じる。そして、さらに難しい曲を弾いていくために、基礎練習という土台が必要だとも。

初級者の生徒さんたち、初出場の方を含め、安定して演奏できていたのにはホッと安心。これからどんどんいろいろな曲を弾いていってほしい。いい経験になったことでしょう。

今回、男性陣がよく頑張ってくれた。本当に音楽がピアノが好きなんだろうなぁという方々ばかり。だんだん曲が形になっていくにつれて、その曲がどんなに好きなのかが明確になってきて、曲が説得力を持ってくる。またその過程がレッスンしていてわくわくしてくる。特にシルベストロフという現代曲を弾いた若い男性の生徒さん、発表会2回目ピアノをはじめて1年強、私も全く知らない曲を1から分析して構成をどうつなげていくか、ラストの1~2ヶ月は彼とのディスカッションがどんどん面白くなってきた。最初音を押さえるだけで精一杯だった演奏が集中力も増し、表現力が出て、彼の主張が見えてくるまでの演奏に仕上がった。演奏中、聴衆もし~んと彼の出す1音1音に集中して耳を傾け、シルベストロフの世界に引き込まれていった。知らない人がこの曲に興味を持ってくれたら演奏は成功!と二人で言っていたがこういう曲好きだといってくれた人もいて成功。私にとっても貴重な経験だった。

ただ曲をきれいに仕上げるだけではなく、それの曲で表現してもらいたいといつも思っている。曲の内容を理解しそれをどう弾くかを考えていく過程はレッスンしていてとても有意義で楽しい。
だけど、その内容を正確に音で表現するには基礎的な土台がしっかりしているほど、説得力をもって訴えかけてくる演奏になる。だからテクニックの練習も必要。間違えるなということではない。
でもバランスも難しい。短いレッスン時間内で、各々生徒さんの短い練習時間で。。
熱心な男性陣に練習時間を聞いてみると、女性より意外に長かった結果にびっくりした。
好きこそものの上手なれ、、とはほんとうだ。
征服欲ではない。人との比較でもない。純粋にピアノを弾くことが好きで、その音楽が好きなのだ。だからそれは人の心に響くし、人に届く。上手だと言わせたいために演奏するのではない。すごいと言わせるためでもない。子供だましの演奏では人の心には入っていかないし、その人の心の底も見え見え。自己顕示欲見え見えの自己満足の音楽。これが音楽の怖いところ。悔しさから一生懸命練習しても人を感動させる演奏はできない。どういう気持ちで音楽に向かっているかが大切。ほんとうに純粋に音楽に向かっているか。そういう意味では男性陣は純粋に好きなんだろうなという熱い気持ちが伝わる演奏だった。


効率よくテクニックを習得できる方法、、ないものか。
曲数は必要、でも長いと時間も足りなくなるし、、、。
音楽の中身の勉強やレッスンにより時間がかけられるようにするためにも、
基礎力の土台をもっと充実させたい。
よりいい演奏ができる土台として。
これからの課題だ。。





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最終更新日  2009.06.11 10:27:57
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