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2011.08.23
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カテゴリ:音楽
久々に、Classic Pianoの講座でお勉強。
リストの音楽について。

華やかな超絶技巧のピアノ曲、コンクールでもピアノのテクニックを聞かせるならばリストを選ぶことも多い。
でも手の小さな者にとっては難曲。体格のいいヨーロッパ人の方が断然有利な印象のリスト。
ショパンと似ているようで、しかし性格も異なり、
どちらかというと演奏の表面的な効果ばかり求め、内容がないと誤解もされていると。
だけれど、リストには情緒的な曲、神秘的な深い曲もあると、お話。

昨年生誕200年だったショパンは39歳で、同じくシューマンは46歳で亡くなったのに対して、リストは74歳までと長寿だった。それ故、作曲数も膨大で、リストのピアノ曲を全曲弾くのは難しいことだろう。
ムジカ・ブタペスト版はリスト研究に重要な版の1つであるが、その版でリストのピアノソロだけで18巻、編曲ものはそれとは別に24巻あるそうだ。

また、リストは現在のピアノ演奏会のスタイルを作った人。
暗譜で演奏することや、ピアノを横向きにしてふたを開けて演奏するのもリストからだそうだ。
さらに、ピアノリサイタルの創始者で、一晩に一人で複数の作曲家の曲を演奏することになったのも、このリストから。それ以前は、複数の演奏者が複数の曲を弾くという演奏会だった。
リストがバロック、古典、ロマン派と期別のスタイルの曲をプログラムとして演奏しだした。

リストの師はツェルニーで、ベートーベンの弟子、ベートーベンの交響曲をピアノソロアレンジをたくさん残している。

リストとはどんな人物だったのか?

オールマイティーで多才、天才ピアニストというだけでなく、作曲家、指揮者、教育者、音楽ジャーナリストとしても活躍。晩年は教育者として世界中からやってくる優秀な生徒を無償でレッスンしたそうだ。
それには、彼の「天才芸術家は世の中に役立たなければならない。外の世界に義務を負っている」という信念を生涯を通じて持っていた。

ハンガリー人でありながら、仏、独、伊に住んだためハンガリー語は話せなかったらしいが、愛国心は持っていた。
また、田舎の平民の生まれで、初等教育以上の教育を受けていなかったことにコンプレックスを持っていて、彼の複雑な性格に関係している。
性格は熱中しやすく飽きやすく、大げさな表現を好み、貴族や勲章、華やかな社交界に憧れを持っていた一方で、禁欲的、静かな宗教的生活に心の拠り所を求めた。
私生活はイケメンでもてもて、女性関係も華やか。。詳しくは彼の伝記を。。

ピアノ演奏法、演奏解釈について。

取り上げた曲は、

1、愛の夢
2、ラ・カンパネラ
3、ため息
4、忘れられたワルツ


愛の夢

1843年リスト32歳の時、ソプラノ歌曲として作曲、50年にピアノ曲にも編曲。
リストは、自分の歌曲以前にシューベルトの歌曲等を数多くピアノに編曲し、世に広めるということに貢献していた。この時代、シューマンの歌曲は忘れ去られていたが、リストのおかげで復活。
リストは、編曲した歌曲にもオリジナルの詩を必ずのせて、文学的内容を表すようにした。
この曲にはノクターンというもうひとつの題名もある。
リストと同世代の詩人フェルディナンド、フライディッヒアーの「おお、愛する限り愛せよ」という詩にメロディーをつけた。

愛とは男女間の愛ではなく、キリスト教的隣人愛を表した者で、後悔しないように、大切な人を愛しなさいという内容の詩。

この後、演奏をされた後で、楽譜にそっての解説、最後にもう一度、楽譜を見ながら演奏を聞いてくださいという形式で、進められた。

ここからは、私の解釈とお勉強した事を照らし合わせて。。

この曲は大変興味深い。ABAの3部形式で、Ab majorではじまり中間部B major、ラスト再びAbへ。
Ab majorとは温かいキャラ、神聖なイメージだそうだ。
以前にC minorは若者の苦悩を象徴すると、ベードーベンの運命や悲愴等例に挙げられたのを聞いたことがある。
Bachの講座で、一般的に調号の少ない調性ほど単純明快、透明で軽快、庶民的であり、
調号が多くなるほど、重厚でテンポもゆったりと神の領域へと、テンポの指示の無い譜面のテンポ解釈の根拠にする論文があるという話を聞いたことがある。
平均率のピアノからは、調性の違いってあまり感じず、鈍感になってしまっている。
黒鍵が多い分弾きにくい~と思うくらいだ。。
bが4つと、Abは神の領域に近い分ゆったりとしていて、4分の6拍子なので大きな2拍子のswing系。
ワンフレーズが6小節単位。
中間部への転調がまた見事だ。。
Abから4度の準固有DbmからAbに戻り、今度はトニックのVI度Fmへ進行して、そのFmを準固有としてCへ転調してしまう。さらに、C majorのトニック代理VIのAmへ進行して、さらにA minorのDominantのEへ転調。
さらに、E majorのトニック代理VIのC#mへ。EとEbを行ったり来たり、何度も問いかけるようにして、Abから言うと属調のV度調Ebへ。
この間、弾いてしまえばあっという間だが、まずはじめの準固有Dbmでドラマの展開がスタートする。次の準固有Fmでは心の動揺、で一気にCへスコンと透明に明快になり、Amから驚きのEへ、さらにどこへ連れて行くのかとC#mでは暗くなり、Ebとを行ったり来たりで何度も問いかけから細かいパッセージへ。
ドラマチックなハーモニーの移り変わりを味わいながら、ほんとうに感じながら弾いてほしいところ。
作曲者がどれだけ工夫したか、苦労したか、、いや天から降って来たのか?!単純には考えつかないと、、少なくとも凡人の私には。。
でもいったりこの曲弾く人のどんだけが、この進行の、、ハーモニーの移り変わりを自覚して感じながら弾いているんだろうかといつも思う。
レッスンで生徒さんには必ず分析してもらうので、、分析できないとこの曲は弾かないでって。
一緒に考えていくと、すご~~っと皆さん感動のため息。この瞬間が教えてて至福の時。。
大切にこのフレーズ弾いてねって。
さらっとテクニック的に何の苦労もなく弾き飛ばしてしまう人より、テクニック的にうまく弾けなくても、この内容に感動してくれる方がどんなに素晴らしく価値があることとか、、と私は思う。

さらに感動は続く。。
Ebからいきなり#5つの世界へ。
b系からいきなり#系へ。でもこの転調どういう関係なのか?
これは表を書いてみないと分からない。

E ---------- B ---------- F#(Gb)
|    |   |
Dbm(C#m)--Abm(G#m)----Ebm
|    |   |
Db----------Ab-----------Eb  ←←←ここが出発点!
|    |   |
Bbm--------Fm---------- Cm


AbからBへは、同主短調G#mの平行長調という関係。
さらに属調Ebから考えると、同主短調Ebmの下属調の平行長調。
かなりと遠隔調になる。
でも、、Eb7のUpper Structureを考えるとVIbのBが乗っけられるから、、それほど遠い響きには聞こえないのはJazzだけの世界じゃないのねって、妙に納得。。Classicだけの生徒さんにはちょっと難しいけれど、、Jazzやってる人には気持ちいい響き!
やっぱりすごいです。。
でも、面白、、やっぱり作曲家はすごい。。

多才だったリストさん、天才ピアニストだったけれど、演奏家というのは旅から旅へと肉体的にも大変。精神的に追いつめられていき、いったい聴衆の拍手や賞賛は何の意味があるんだと思い詰めてします。そんなリストに愛人?カロリーネ・フォン・ザイン=ヴィトゲンシュタイン侯爵夫人が作曲活動に専念してみてはとのアドバイスにより、作曲専念へと転換していったそうだ。
74歳と当時にしては長寿で、多くの作品を残したリストさん、、幸せな方だったのではないかと想像しながら、歌詞を最後に載せておきます。


"O lieb, so lang du lieben kannst"

おお、君が愛しうる限り愛せよ、
おお、君が愛したいだけ愛せよ、
その時は来るのだ
君が墓の前に立って、嘆き悲しむそのときが

だから心を尽くすのだ,君の心が燃え上がる事を、
そして愛をはぐくみ、愛を携えるように、
愛によって、もう一つの心が温かい鼓動を続ける限り

君にその心を開くものあらば、
おお、君は彼に出来る限り愛を持って尽くせよ
どんな時も彼を喜ばせよ
いかなる時も彼を悲しませてはならない

そして、言葉には気をつけよ
悪い言葉はすぐに口をすべる
悪く言うつもりはありませんでした、と言っても
彼は、立ち去って、嘆き悲しんでしまうだろう。

おお、君が愛しうる限り愛せよ、
おお、君が愛したいだけ愛せよ、
その時は来るのだ
君が墓の前に立って、嘆き悲しむそのときが


by Ferdinand Freiligrath (1810-1876)





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最終更新日  2011.08.24 15:25:57
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