☆王侯貴族から広まった紅茶文化☆
日々の生活にとてもとても深く紅茶が浸透しているイギリス。とはいっても、中国の「茶」が陶磁器などとともに西洋に紹介されたのはほんの400年ほど前、17世紀の後半です。しかも当時はとても貴重品でした。まず紅茶が広まるきっかけになったのは、1662年にポルトガルからチャールズ2世のもとに嫁いできたキャサリン・オブ・ブラカンサ妃が輿入れの時に紅茶や砂糖を一緒に持ってきて、王侯貴族に喫茶の風習を紹介しました。18世紀半ばに即位したアン女王は大の美食家であり、無類のお茶好きとして知られています。彼女は当時注目され始めていた中国趣味(シノワズリー)を好み、朝食には必ず紅茶を飲んだといわれています。この頃から、中国から伝わった陶磁器で紅茶を1日に6~7回飲む習慣が王侯貴族に広まっていました。早朝、召し使いにベッドまで運ばせるEarly Morning Tea、たっぷりの朝食と共に飲むBreakfast Tea、朝食後、洋服を着替えたり1日の予定を立てるときに飲むElevenses Tea、ピクニックなどでランチをとる時にはLanch Tea、午後のひと時には友人を招いて豪華なAfternoon Tea、観劇や音楽会の前に軽い夕食としてHigh Tea、夜、ベッドに入り眠りにつく前にNightcap Tea…、様々な場面でのティータイムが生まれ、広まっていったのです。ディナーの後も、このようなドローイングルームで紅茶を飲んだとか。やがて、この紅茶文化はイギリスの庶民にも広まっていきます。現在では、カフェやパブで気軽に紅茶を楽しめるようになり、世界全体で飲まれている茶の4分の3が「紅茶」として飲まれるほど、世界的な飲み物となっているのです。