親心(ごころ)
親心(ごころ)親になってみないと親の大変さだとか、苦労は見えない。ましてや経験のないことは想像は出来ても実感はありませんし、真剣に捉えることはできないものです。社長になってみないと当然社長の大変さや苦労の多さは理解できません。業績のことや社員、得意先のこと、商品やサービス、当然資金繰りもそうです。同じことが全ての事でも言えますよね。他人のことも私どもが思うほど簡単ではなく、複雑に入り組んでいるのかも知れませんね。傍目には計り知れないものです。年老いた方の切なさや歯がゆさや死期に近づく思いなど若い方々は考えることもないでしょうし想像さえできないかも知れません。「親心、子知らず」「這えば立て!立てば歩めの親心!」そして、「親思う心に勝(まさ)る親心 今日のおとづれ何と聞くらん」二十九歳で処刑されたときの吉田松陰先生の和歌ですが、親を思う松陰先生の心、それにも勝る親の子供に対する恩愛の深さを歌われたものですが、ひしひしと迫るものがあります。私どもは親に対して、何が出来たのでしょうか。私の場合で言えば、親が私に対して捧げた万分の一も、お返しは出来ていないと思われます。親はお返しを望むわけではないのですが。思い出しました。(財)日本船舶振興会の会長であった笹川良一さんが詠んだ歌で、「母背負い 宮のきざはしかぞえても かぞえつくせぬ母の恩愛」東京・品川の笹川記念館の正面に置かれた像の碑文です。記念館の前を偶然に歩いていたときに書き留めたのですが、涙が出てしまいました。私の勝手な解釈ですが、痩せ細ったお母様を背負って、お宮の階段を登られたのでしょう。階段の数は簡単に数えられても、母親から受けた恩愛の数々は数え尽くせないもの。『母親の涙には、化学で分析できない深く尊い愛情がこもっている。ファラデー』