カテゴリ:政治
これでは制度の持続性より、目先の選挙対策を優先していると言わざるをえない。民主党の介護保険制度改革作業部会が提言案をまとめた。高齢者や現役世代の負担増につながる改革はすべて封印している。急速に進む高齢社会で負担増なしにやっていけないことは明らかなのに、この提言は無責任だ。
11月末に厚生労働省は、2012年度からの実施を目指す介護保険制度の改革案を発表した。介護費用の増加を抑えるため高所得者の利用料を1割から2割に引き上げる方針を示し、介護計画作成費用の有料化や、症状の軽い人の利用料を2割に引き上げることなどについて賛否両論を併記して政治判断を求めた。 これに対して民主党作業部会は、介護計画作成の有料化や軽度者の負担増に反対し、高所得者の自己負担引き上げや相部屋の高齢者に室料を求めることにも否定的だ。さらに厚労省は介護職員の処遇改善のために支給している交付金を12年度からは介護報酬に組み込む考えだが、国費による継続を求める。 厚労省案も明確な将来像がなく、高所得者など取りやすいところから取るつじつま合わせが目立つ。だが、介護の必要性が高まる75歳以上の人口は今の1400万人から15年後には2200万人になる。65歳以上の高齢者の保険料は介護保険ができた00年の月2910円から月4160円に上がり、厚労省の試算では12年度からは5000円を超える。 2010/12/15付 日本経済新聞 保険料上げはある程度仕方がないにせよ、制度を見直さないまま給付を続ければそれに耐えきれなくなる。利用者の自己負担を上げ、買い物や調理などの生活援助を給付対象から外すなどの改革を進めて給付を抑制せざるをえない。 民主党は保険料を抑える財源として介護保険安定のために積み立てている基金の取り崩しを主張する。当面の負担抑制にはなっても根本的な解決ではない。 同じことは高齢者医療制度についてもいえる。厚労省は13年3月に導入する新制度で70~74歳の病院窓口負担を1割から2割に高めて保険料の上昇を抑える方向を示したが、民主党は反対している。選挙優先で痛みを伴う改革を避けていては、政権を担う資格がない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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