カテゴリ:本・テレビ等
この作者の作品は「太陽の塔」以来。 「太陽の塔」はあまり内容を覚えていない。だからといって、面白くなかったという印象ではなくて、それなりに興味深いものだったはずなのだ。なぜなら、「そのうちにもう一冊この作者の作品を読もう」と思っていたからなんだね。 てな感じの一人称の語りで始まる。 主人公は小学校四年生のアオヤマ君。 ちょっと変わった感じの少年で、このキャラクターがなかなかいい。まあ、ここまで論理的に物事を考えられる四年生はいないけどね。 現代版ファンタジーと言えばいいのか、ある日突然住宅街の空き地にペンギンたちが出現するという不思議な出来事の謎を調べていくのがメインのストーリーだけど、ストーリーよりも登場人物同士のやりとりや、なんでもない日常(ちょっと不思議な日常だけど)をつらつらと読む感じなのがいい。 発想というか仕掛けの部分はそれほどでもないんだけど、雰囲気がすごく良かった。地味な展開なので中盤まではパラパラめくるような読み方をしてたんだけど、終盤に動き出してからは一気読み体勢に入っちゃいました。 個人的にはすごくノスタルジックというか、自分が子供だった頃とアオヤマ君がダブる感じで、ヤマモリ持っていた将来の夢とか、大人の女性に対する憧れとか、色んなわけのワカランことをまじめに考察していたこととか、なんだかそういう感情がポコポコと湧き出てくるようなエンディングだった。 作者の思いとすごく共感できる部分があったのも良かった。 子供の頃に、「人間は死ぬ」ということに気が付いて大泣きしたこととか、宇宙が誕生する前の「無」ってどんな状態なのかすごく気になって先生との交換ノートに何ページにもわたって色々書いたこととか、やっぱりそういうことを思ってたやつもいるんだなーと、みんなそうだったのかなーと。 そういう色んなことを思いだして「ウフフ」と少し笑えるような、懐の深い作品だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 6, 2012 11:18:06 PM
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