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デコラティブアート＆日常

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イギリス人と討論

イギリスに住んでいた時、友人と話していて日本の事をよく話題にしていました。よく出る話題が、イギリス人が時間にルーズで日本人がいかに時間に正確かというありきたりの話題です。日本人の私としては待ってましたとばかりに、電車などの公共交通機関の運行がいかに時刻表どうりに行われているかを自慢します。私がイギリスに住んでいた頃は電車が遅れる事は当たり前で、時には運転士がいないから電車が運休なんて事もあり、いつも腹を立てていたのでこの話題にはつい力が入ります。でも印象に残っているのは電車が遅れても日本のように駅員に食ってかかる人はいなくて、皆黙って待っていることでした。ある日ノッティンガムの友人と日本の電車の話をしていて、電車が時刻表の時間から誤差１０秒以内ぐらいで必ずホームに入ってくると大げさに自慢すると、友人が、「もし電車がちょっと遅れたらどうなるんだ？」と聞いてきました。そこで、「そんなことは滅多に無いけど、苦情を言う人がいるんじゃない。」と言うと、「電車がちょっと遅れたぐらいで腹を立てるなんてお前達日本人はなんて忍耐力の無いやつらなんだ！」と切り返されました。勝ち誇った気分で日本の話をしていたのに、一気に形勢が逆転しました。何も言い返せませんでした。こうゆう時は黙ったほうの負けです。

April 10, 2008

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アナログレコード用収納キャビネット

最近作っているアナログレコードを収納するためのキャビネット。打ち合わせでお客様の家に行った時に所蔵しているレコードを見せてもらったのですが、何枚あるのか見当もつかない数でした。なので設置場所の寸法を最大限に使ってキャビネットをデザインしました。写真は２段重ねの上の段です。棚板も全部つきました。いったいこれにレコードが何枚入るんだろう？次の写真は下の段です。これから扉を３枚作ります。この２段を重ねてそこにレコードがパンパンに収納されたら何枚入るのか見当もつきません。わざわざデザインもシンプルにして収納力にこだわって作ったので、レコードが入ったときにキャビネットにかかる重さを考えると怖いです。

April 9, 2008

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マホガニーコーヒーテーブル

写真は以前作ったコーヒーテーブルです。18世紀にイギリスで作られたマホガニーの家具をテーマに、私がデザインして作りました。彫刻のディテールが非常に多いので、彫刻に適した良質のマホガニーをなじみの材木屋さんに1月以上かけて探してもらいました。ホンジュラス産の良質なマホガニーが手に入り、製作をスタートできました。このコーヒーテーブルのように彫刻の多い製作をしていると、彫刻に没頭する日々が続きます。そのような状況の中で、ふと気付くと時間の感覚が無くなっていたり、何も考えていない状態に入れる時があります。そんな時は非常に質の高い仕事が出来ます。いつも出来るわけではないので、そうなれるとすごく嬉しくなります。そんな楽しみがないとなかなか時間のかかる製作は出来ません。私のやっている彫刻教室では生徒さんが上達して、最終的にこの感覚を味わう事が出来るようになって欲しいと思って教えています。味わった経験のある人同志だけが共有できる感覚です。

April 8, 2008

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寺家回廊

昨日は私の工房の定休日だったので、家族と自宅から自転車で寺家町のイベント「寺家回廊」に行きました。寺家ふるさと村で活動するアート、工芸の作家達がアトリエを一般に公開するイベントの第二回でした。私は去年参加して、今年はお休みだったので他の作家さん達のアトリエを見て回りました。来年は参加します。今回の参加者の中で印象に残ったのが青葉台駅の近くにギャラリーをかまえる「Gallery a]さんです。今回は寺家町内な新たに構えたギャラリースペースを公開していました。写真で見て取れる通り、広大なスペースです。ここなら作品の展示や撮影に活躍しそうです。寺家町で活動している人達は少人数単位で、大量生産される物とは根本的に違った物を作っています。一点一点の作品に技術と集中力を贅沢に注ぎ込んで作られた物です。しかしながら作品を一般の人に紹介するという点では規模の小ささから大きなハンディキャップを背負っています。その弱点を克服するためにギャラリーという存在が重要な働きを担うのではないかと思っています。この寺家町内に出来たギャラリーの活躍を期待しながらの訪問でした。一方寺家町のメインとなる田んぼでは「桜祭り」が催されていました。こちらは心地良い春の日に自然の中で美味しいものを食べたり、遊んだり、桜の花を観賞したりと家族で楽しめるイベントでした。私の子供達もテンションが上がっていました。真ん中手前の2人が子供たちです。

April 7, 2008

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彫刻教室週末クラスのレッスン

今日は4月の第一土曜日なので、彫刻教室の週末クラスのレッスンをしました。お休みの人が多かったので、出席した生徒さんたちにはより個人授業に近いレッスンを受けてもらえました。今日からレッスンに参加した生徒さんもいました。なのでいつも以上に気を使って教えたので、午前中はレッスン風景の写真を撮るのを完全に忘れました。午後のレッスンではアカンサスリーフの彫刻を仕上げた生徒さんがいました。写真はパンチを使って彫刻の背景の部分に、点々のテクスチャーをつけています。これでアカンサスの葉っぱのスムースな彫刻面とのコントラストをつけます。出来上がりです。上の彫刻が私の彫ったものです。同じ原画を使って彫っても仕上がりは人によって違います。ここが面白い所です。この生徒さんも額縁の塗装で下塗りが終わったところで記念写真です。この先どんな仕上げにするのかじっくり相談しました。額縁を塗装して乾かしている間に帆立貝の彫刻をしています。粗彫りが済んでディテールを書き込んでいます。アカンサスリーフを終わらせた先ほどの生徒さんは、すかさずリボンの彫刻の準備に入りました。今度はもっと大きい彫刻になります。堅いオーク(ナラ）を使って彫ってもらいます。写真は彫刻用の木をはぎ合せています。今日もみんなで色んな事をしました。

April 5, 2008

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レコードキャビネット３

先週から作っているアナログレコードを収納するキャビネット。今週もずっとこれを作っていました。2段重ねで高さが２３５ｃｍ。今日2段とも組みあがって初めて重ねてみました。でかいです。一人で取り回すのも大変でした。後は棚板の加工をして、扉を3枚作ります。ここまで来るとちょっと気が楽になります。今日はその他にも修理のお客様が来て、材木屋さんが来て、寺家町のイベント「寺家回廊」を見て回って、明日の教室の準備をしてと、あわただしい一日でした。

April 4, 2008

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レコードキャビネットの製作２

今日は前から作っているアナログレコードを収納するキャビネットを接着しました。朝からサンディングで出る木の粉にまみれて組み上げるための準備を終わらせ、接着までこぎつけました。結構大きいので、クランプで部材同士を締め付けるのも大変です。接着剤が乾く前に全ての作業を終わらせなければならないので、最速のスピードでこなす必要があります。いつも冷や汗が出ます。賑やかだった昨日と打って変わって淡々とした一日でした。ちなみに明日4月3日から6日まで寺家ふるさと村で活動する工芸家などがオープンアトリエ（工房の一般公開）をします。寺家町の桜祭りと同時期です。今年はうちの工房は参加していないのであちこち見に行こうと思っています。土曜日は通常どうり彫刻教室の週末クラスのレッスンをしています。寺家町に来る方は覗いてみてください。

April 2, 2008

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寺家ふるさと村の彫刻教室

今日は彫刻教室の平日クラスのレッスンがありました。いつものようにティータイムには沢山のお菓子が。ここでお菓子を沢山食べるとお昼ご飯が食べられなくなります。午後のレッスンでは額縁の彫刻が終わった生徒さんたちが塗装を始めました。透明のニスを塗って木の生地固めをしています。ニスを乾かしている間に新しい彫刻をスタートしました。帆立貝を板から糸鋸で切り出しています。この生徒さんは帆立貝の形を彫っています。彫刻刀だけで形を目で確認しながら彫っていきます。ここら辺から自分の目を頼りに彫刻する必要が出てきます。額縁を彫るところから技術的に一段ステップアップしないと彫り上げられません。すっかり彫刻刀を扱う手元が板についてます。生徒さんたちが実感しているよりもはるかにうまくなってきました。こうなってくると本当に楽しいです。教えるこっちも楽しいです。

April 1, 2008

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息子の作った椅子仕上がる

息子が春休み中に仕上げてしまいたいと言っていた椅子の塗装。出来ました。去年の夏休みの工作で作って以来塗装が終わらないままでいた椅子がついに完成。椅子の表面はカリン、チーク、ラワンの薄板貼りです。仕上げにセラック二スを刷毛で丁寧に塗りました。弟も椅子に座ってました。これで春休み中にひとつのことをやり遂げました。

March 31, 2008

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春の寺家町までサイクリング

今日は天気が良かったので、工房まで自転車で行きました。３キロちょっとの道のりです。工房のある寺家ふるさと村の風景です。ところどころ桜が咲いているのが見えます。ここでのサイクリングは気分爽快です。工房の麓にあるうちの看板です。今週加工していたレコードキャビネットは、今日仮組みをするところまでいきました。ここまで来ると出来上がりの形が想像できます。後はサンディングして本組みをして棚板の加工です。疲れました。ちなみに帰りのサイクリングはめちゃくちゃ寒かったです。

March 29, 2008

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レコードキャビネットの製作

現在レコードのコレクターのお客様のためにアナログレコードを収納するキャビネットを作っています。お客様の家に行って実際にキャビネットを置きたい場所の寸法をとって、そこにすっぽり入る大きさに作っています。幅１６５ｃｍ、高さ２３５ｃｍ。結構大きいです。棚が沢山つくので、棚板を組み込む溝を壁になる板に彫り込む作業が延々と続きました。写真はルーターという機械で溝を彫ったところです。物凄い量の木屑が出ます。キャビネットのパーツが山積みになってます。こうやって写真を見てもまだどんな物になるのか想像つかないですね。組み上げて箱型にするまでもう少しです。そうするとどんな物になるのかわかります。

March 27, 2008

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彫刻教室の体験レッスン

まもなく新しい年度が始まります。私の彫刻教室でもこの機会に新しい生徒さんを募集しています。そこで通常のレッスンに参加する体験レッスンを4月からスタートします。木の葉を一枚彫っていただきます。レッスンの雰囲気も味わっていただけます。他の人達がどんなことをしてるのかもわかります。私の雑談、家具の話、木工の話、アンティークの話なども聞けます。料金は2,000円です。このブログを読んでいて彫刻に興味を持った方は是非この体験レッスンに参加してみてください。工房にお電話いただくか、ホームページからお問い合わせください。この爽快な季節に自然の中にある工房で彫刻をする楽しさを是非味わってみてください。

March 26, 2008

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18世紀のフレンチのミラーの修復

写真は18世紀のフレンチのミラーです。ルイ16世様式です。修復の依頼で持ち込まれました。フランスから輸送した時に、このミラーの装飾で一番大切な天辺のお花彫刻の部分が壊れました。かわいそうに。粉々になったパーツをパズルのように組み合わせて、足りないところを木で足して彫刻して、下地のジェッソー（石灰の粉を膠で溶かした物）を塗りました。ここから金箔を貼り、その後他の部分に溶け込ませるために古色をつけていきます。ここからが腕の見せ所です。金箔に埃などが堆積した雰囲気を出します。修復が終わると写真のようになります。日本に帰ってきてからは18世紀の家具を修復する機会がめっきり減りました。なので時々こんな修復の依頼があると気合を入れて取り組みます。

March 25, 2008

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息子と一日工房で過ごす

今度小３になる息子は春休みの真っ最中。なので工房に連れて行きました。去年の夏の工作の宿題で作った椅子に塗装をしました。合板の切断面を銀色に塗る作業をしてます。塗装の境目に丁寧にマスキングテープを貼りました。この作業にかなり苦心してました。お互いに黙々と一日の作業をこなしました。帰り際に「ジャンプした瞬間を写真に撮ろう！」ということで何枚か写真を撮って一日が修了しました。

March 24, 2008

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イギリス人の体臭

イギリスはノッティンガムの大学で家具の修復の勉強をしていました。英語が喋れない状態で大学に入ることになって結構苦労しました。ノッティンガムまで家具の勉強をしに行く日本人などそうそういるわけも無く、大学内で日本人は私一人でした。言葉が通じない状況に長い時間置かれるストレスを始めて知りました。必死に勉強していたら、1年半ぐらい経った頃から気が付いたら普通に英語で話していました。人間は何か不自由があると他の自由な機能が研ぎ澄まされることがあります。目が見えない人が音楽の才能があったり、手の不自由な人が足を器用に使ったりと。私の場合は元々鼻が良かったのですが、イギリスで言葉が不自由になったので匂いを嗅ぐ能力が研ぎ澄まされました。イギリス人は日本人よりも強い体臭を持っています。そこに研ぎ澄まされた匂いを嗅ぐ能力が加わるとどうなるのか？クラスメート達の体臭を全部覚えました。勿論殆どにおわない人もいるのですが。なので作業をしていたり、教室で本を読んでいてうつむいていている時に、側を通る人が起こす風に乗って漂ってくる体臭でその人を見なくても誰だかわかるようになりました。だからなんだ？というぐらい役に立たない能力なのですが、本当に色々な種類の体臭がありました。なので西洋の人たちには香水を選ぶ楽しみがあるんですね。

March 22, 2008

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アールデコのデスクを作るために

今年は自分で考えてデザインした家具を作ろうとしています。以前から作りたかったアールデコスタイルのデスクを作る準備をしています。具体的には、カブリオールレッグ(猫脚）を使うので、モデルを作ってプロポーションを確認する作業をしています。写真は手前が最新のアールデコスタイルの脚、真ん中が最初に作ったアールデコスタイルの脚、一番奥が１８世紀のルイ１５世、１６世のスタイルの猫脚です。１８世紀の猫脚と比べると脚のラインがだいぶ直線的になっているのがわかります。またきゃしゃだった昔の脚よりもボリュームが増しているのもわかります。同じフランスで使われてきた猫足でも、１８世紀と２０世紀でこれだけ違いがあるのもデザインの移り変わりを感じさせます。このような脚はバンドソーを使って切り出します。写真がバンドソーです。切った後は、手作業でかんなをかけて最終的な形にしていきます。このぐらいの陽気になってくるとかんながけで良い汗かけます。写真のような状態にして削ります。自分の頭の中にあるイメージがこうやって少しずつ現実の物になっていきます。楽しみです。

March 21, 2008

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モンステラとアールヌーボー３

今日は以前アールヌーボースタイルのキャビネットに、モンステラを装飾に使って欲しいとの依頼を受けていたお客様の家にお邪魔しました。製作予定のデザインをプレゼンして、見積もり金額を伝えました。何度やっても緊張する時間です。気にいっていただき製作が決定しました。ここ４週間アールヌーボーとモンステラについてずっと調べていました。おかげでアールヌーボー様式の造形の特徴、製作方法、使われていた素材などについて具体的に理解できるようになりました。モンステラもその生態や品種を調べ、そして沢山の写真と実際の植物を見ました。こうしてやった事の無いタイプの家具を作ると色んな知識やノウハウが身につきます。自分の仕事の幅を広げるのにとても重要です。ただいつその知識が必要な時が来るのかは分かりません。

March 19, 2008

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彫刻教室のレッスン

今日は彫刻教室の平日クラスのレッスンをしました。暖房なしで過ごせるようになって気分爽快です。私は花粉症も今シーズンはそんなにひどくなく、快適な春を過ごしています。写真は完成したリネンフォールドパネルです。リネンの布が畳まれた状態を表現してます。背景はパンチを使って木の表面に表情をつけています。うまく出来てます。今まで何回か紹介してきたアカンサスリーフの彫刻です。この状態は背景の部分の木を彫りおとして、葉の部分の彫刻に入る前の状態です。これはオークで彫っているので堅くて大変です。この生徒さんもお花の彫刻が終わりそうなところまできました。この生徒さんはひまわりをモチーフにしたお花を完成させ、めでたく額縁に接着しました。この生徒さんのように自分の彫刻刀を持っている人は自宅に作品を持って帰って、自分なりに教室で教わった事を応用して実験的な彫刻もしています。生徒さんが家でやってきた彫刻を一緒に見ながらあーだこーだ言うのも楽しみの一つです。

March 18, 2008

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家具の塗装をしました

今日は木工加工を午前中に済ませて午後からテーブルの塗装をしました。ロイドルームの家具に合わせるために作ったテーブルで、化粧直しに帰ってきました。製作してから４年程経っているので傷がかなり付いていました。きずの凹みを埋めてから仕上げの塗装をするところまで終わりました。こげ茶のロイドルームのアームチェアーに合わせてこげ茶に着色して、半艶のラッカーで仕上げました。塗装をする時は工房の掃除をして埃を取り除いてからします。なので木工の加工を先に済ませて埃のない環境を作ってから塗装作業をします。仕事の段取りが大切です。気温が上がってきてだいぶ塗装が楽になってきました。

March 17, 2008

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昨日の彫刻教室

昨日は彫刻教室のレッスンをしました。午前中のレッスン中に横浜市青葉区の「タウンニュース」の取材がありました。沢山の工房がある寺家町で活動する工芸家を紹介するコーナーでうちの工房を紹介してくれます。「タウンニュース」の山田さん。お昼過ぎには週末クラス受講を希望する方が工房まで見学に来てくれました。池袋から来ていただきました。額縁を作ってみたかったとのことで、午前クラスに申し込んで頂きました。ありがとうございます。遠いですけど頑張って通って下さい。工房の周りはこれからがベストシーズンです。教室に興味のある人は見学に来てみてください。里山の散策も楽しめます。生徒さんが彫刻刀を研いでいます。砥石を使った研ぎのほかに、グラインダーを使ったこのような研ぎをしてもらっています。カミソリのように切れるようになります。エッグ＆ダートの彫刻の途中です。卵の形を彫り出しています。この生徒さんもエッグ＆ダートを彫っています。事故があって割れた木は接着してマスキングテープで固定します。写真の黄色いテープがそれです。小さい木片をピンセットでつかみながら接着します。歯医者さんの仕事のような感覚です。こちらの生徒さんは帆立貝の彫刻で宝石箱を作っています。上の貝と下の貝を仮止めして、輪郭を揃えました。そしてくっついている貝を取り外しているところです。本当の貝殻をこじ開けているように見えました。レッスンが終わってからは生徒さんたちと飲み会がありました。

March 16, 2008

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知ってる刑事さん捕まる

イギリスで働いていた会社は地元の貴族の所有する農場の中にありました。周りに何も無い寂しい所なので、泥棒の多いイギリスでは結構危険な場所でした。なのでボスが地元の警察の防犯課の刑事さんに会社まで来てもらって、工房内の防犯設備をチェックしてもらいました。中々まじめそうで爽やかな刑事さんでした。会社の人達も良い警察官だと言ってました。それからしばらくして会社に出勤すると同僚が「これ見ろよ。」と地元の新聞を見せてくれました。見てみると警察官が警察の押収したドラッグをくすねて、それを売りさばいていて捕まったと書いてありました。その捕まった警察官の顔写真を見ると、なんとこの間会社に防犯指導で来てくれた刑事さんでした。みんな見事にだまされました。

March 14, 2008

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イギリスの税金

今日は奥さんが確定申告を済ませてくれました。イギリスで働いていたときは、給料の４分の1が税金、国民保険でガッツリ引かれていました。帰国する時、少しでも税金を返してもらおうと役所に行って手続きをしました。すずめの涙ほどのお金が返ってきました。嬉しかった。気をよくして次は国民保険事務所に行きました。優しそうな中年の女性がにこやかに対応してくれました。日本に帰国するので今まで払った保険料を返して欲しいと言うと、「あなたが６０歳になった時にまたここに帰ってきてください。あなたが今まで支払った保険料に応じてお金が戻ってくるわよ。」と相変わらずにこやかに言いました。何も言うことが見つかりませんでした。こっちはあきらめました。

March 13, 2008

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木の家具を塗りつぶす

私が作ったり修復した家具は、自分で塗装をします。中でも好きなのが塗りつぶしです。写真はそんなに古くない椅子で、お客様から物も良くないし、平凡で退屈な椅子なのでどうにかしたいとの相談を受けました。そこで「塗りつぶしましょう。」と提案しました。オフホワイトに塗りつぶして、少し汚してアンティーク風にすることにしました。そして塗り終わると次の写真のようになりました。元々あった傷に汚れを付けたり、椅子のくぼんだところにも汚れ色のステインを残したりして、古ぼけた印象をつけました。平凡で退屈な椅子が古ぼけた雰囲気のかわいらしい椅子に変わりました。座面も張り変えて椅子の魅力も増しました。こんな塗装が好きです。

March 12, 2008

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アンティークディーラーの生活

イギリスはウエストサセックスの大学でアンティーク家具の修復を勉強しました。クラスにベルギーのアンティークディーラーの娘がいました。マガリーという名前の女の子で仲良くしてました。一緒に大学に入って8ヶ月ほど経った4月頃、彼女が元気が無いのに気付きました。全寮制の大学でいつも一緒にいるのでみんなの精神状態はお互いによくわかります。変だなと思いつつしばらく経った日の夜、彼女がちょっと話があると言ってきました。かなり嬉しそうにしているので、どうしたのか聞いてみると、「年が明けてから4ヶ月近くお父さんのアンティーク屋で何も売れていなかったんだ。何一つ売れなかったんだ。だからずっとそのことで心配してたんだ。」と切り出しました。そりゃ大変だ、と思いながら聞いていると、「でもついこの間ドイツから良い客が来て、18万ポンド分の家具が売れたんだ。だから嬉しくて誰かに言いたかったんだ。」なるほど、これで最近の彼女の様子の理由がわかりました。18万ポンドといえば、1ポンド200円としても3600万円。それは嬉しいだろうなと思いました。彼女曰くこんな事は時々あるそうです。私が同じ立場なら4ヶ月も何も売れなかったら心配で気が狂うだろうなと思いました。ちなみに彼女のお父さんは大した元手も無い状態からアンティークビジネスを始めて、ベルギー王室とも取引がある店に育て上げたとか。売ってる家具も値段がはるので売れれば大きいが、そう簡単には売れないらしいです。お金のプレッシャーに強くないと出来ない仕事だと思いました。私には無理だとその時思いました。

March 11, 2008

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モンステラとアールヌーボー2

特注のキャビネットの注文を受けています。ハワイの好きなお客様のために、アールヌーボー様式のキャビネットにモンステラを装飾として取り入れるという難しいデザインをしていました。ようやく今日デザインが出来上がりました。彫刻と象嵌でモンステラを表現するデザインです。時を同じくして、このお客様から荷物が届きました。モンステラの鉢植えです。かなり立派な鉢植えです。キャビネット製作に役立てて下さいということで送ってくれました。キャビネットの製作に期待してもらっている証拠で非常にありがたいです。と同時に結構なプレッシャーでもあります。明日お客様に連絡をしてデザインを見ていただく日取りを決めます。

March 10, 2008

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イギリスでのアンティーク家具修復

写真はイギリスはヴィクトリアン期のダヴェンポートデスクです。移動式の小机で主に船の中で使うためにデザインされた家具です。就職していた会社に持ち込まれたもので、私が修復しました。修復前は、納屋に40年間放置されいました。こんな家具が人に気付かれずに保管されるのもイギリスでは珍しくありません。家具自体も悪い物ではありません。ここまで家具の状態が悪いと修復の結果はドラマチックです。汚い塗装面をクリーニングするとウォールナットの美しい木目と象嵌細工が現れました。天板奥の透かし彫りのギャラリーはボロボロに壊れて、粉々になったパーツの約5割がなくなっていました。そこで足りないところを新たに作って再生しました。最後に天板にアンティーク調のレザーを貼って完成しました。依頼主の上品なおじいさんは嬉しそうにしてました。イギリスならではの楽しい修復でした。

March 8, 2008

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フリーペーパーの取材

今日は東京のフリーペーパー「Vanity Women」の取材を受けました。次の号から物の紹介に力を入れるという事でうちに声をかけてもらいました。うちの家具を紹介してもらいます。担当の中田さんと雑誌「Vanity Women」カメラマンの山本さんにコンソールテーブルの写真を撮ってもらいました。青葉台の山の中までよく来てくれました。よい記事期待してます。これから画像を送る作業です。

March 7, 2008

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スパイラルインディペンデントクリエーターズフェスティバルの選考結果

夫婦で応募していた青山の「スパイラルインディペンデントクリエーターズフェスティバル」。私は見事に落選。奥さんは審査通過。せっかく人の多い都心のイベントでわいわい楽しくやろうと思っていたのに残念です。仮に夫婦で同じジャンルの活動をしていて、こうゆう結果になると辛いです。うちは幸い違う事をやっているので私が悔しがるだけで済みますした。この写真は何年か前にアパレルのワールドさんの物件で作ったアールデコスタイルのテーブルで、天板を銀箔で貼りました。この時銀箔が変色して物凄く深い味わいになったのを記憶していて、今回のイベントで銀箔貼りの家具と、ミラーを組み合わせたインスタレーションをやろうと思ってました。審査を通過しなくてもまだ面白いと思えているので、どこか別のところでやってみたいなと思っています。

March 5, 2008

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洋彫り彫刻教室のレッスン

今日は彫刻教室の平日クラスのレッスンがありました。午前、午後ともにフルメンバーが揃い楽しい一日でした。お茶の時間も相変わらずお菓子が沢山ありました。彫刻入りの額縁が仕上がりかけている人達が目立ってきました。この生徒さんはお花の彫刻が仕上がって、額に接着しています。いい笑顔ですね。この生徒さんも今日額にお花を接着できました。こちらも楽しそうですね。彫刻が仕上がった時はみんな良い顔してます。これはオーク材でアカンサスリーフを彫っている生徒さんのものです。奥の私の彫ったサンプルと比べると質感が違います。同じ物を彫ってもこれだけ違いが出るのも興味深いですね。楽しい一日でした。

March 4, 2008

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1976年式ミニで旅行

留学時代の古い写真が出てきました。イギリスで最初に買った車、1976年式のレイランド製ミニに乗って、クラスメートのエイドリアンとダービーシャーデールに一泊のトレッキングに行った時の写真です。クリーム色のかわいいミニ。名前はバーサ、女の子です。室内の床が錆びて穴が開いてて、走っていると地面が見えてました。走行中にアクセルワイヤーがブッツリと切れてアクセルが戻らなくなったり、故障ばかりしてました。一緒にアンティーク家具の修復を勉強したエイドリアンは現在ダービー警察の刑事をしてます。電気の無い石造りの小屋に二人で一泊して、次の日は10マイルほどダービーのカントリーサイドを歩きました。イギリスには険しい山が無いので結構歩けます。ついでに帰り際の写真です。バーサの後ろ姿が見れます。かわいい女の子の後姿。イギリスにも日本のJAFのように会員になると、車が故障した時に無料で駆けつけてくれるサービスがあります。私もこれに入っていたのですが、バーサがあまりにも故障して助けを呼びすぎて、「これ以上は無料で助けてあげられない。あんたたち我々を呼びすぎだ」と厳しく言われました。助けを呼ぶ回数に制限があるのをこの時知りました。

March 3, 2008

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洋彫り彫刻教室、週末クラスのレッスン。

今日は彫刻教室の週末クラスのレッスンをしました。ここは里山の中なので、春の気配ははっきりと形になって見られます。草木が枯れて灰色だった地面に雑草が生え始めて、少しずつ緑色が風景の中に増えてきました。小さな虫も飛び始めて、明らかに2週間前とは空気の匂いも違ってきました。もうすぐ鬱状態から脱出と言う感じです。生徒さんたちも気持ちよさそうでした。この生徒さんは自分の結婚式のウェルカムボードに自分で彫っているこの額縁を使うため、式までに仕上げるという目標を立てて彫っています。本物の金箔を自分で貼って仕上げる予定です。結構時間のかかる作業なので、計画的に彫っていかなくてはなりません。時間はまだ沢山残っているので今のところは大丈夫です。同じクラスのこの生徒さん、彼女に触発されて自分も金箔仕上げをしてみたいとのこと。大変な作業もそれを分かち合う人がいれば心強いです。この生徒さんは帆立貝の彫刻を2個彫って、内側をくりぬいて2つをくっつけて小さな宝石ケースにするために、上の貝と下の貝の形を揃えています。出来上がったらパール調の塗装をする予定です。自分で実際に使える物に作り上げると、作る楽しさも、モチベーションも高まります。そしてアカンサスリーフのレリーフを彫っているこの生徒さん。サンプルを仕上げておいたので余裕を持って教えることが出来ました。準備をしっかりしておくと気分が良いです。でももうすぐ終わってしまうので次の課題を用意してます。次はリボンの彫刻を彫ってもらいます。ロココの時代を代表するモチーフです。勿論私がサンプルを彫り上げておかなくてはならないのですが。みんな思い思いの彫刻を楽しんだ一日でした。

March 1, 2008

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彫刻レッスンのための仕込み

明日は私のやっている彫刻教室のレッスンがあります。生徒さん一人一人に十分目が届くように少人数のクラスで教えています。彫刻入りの額縁を彫っている人からアカンサスリーフ（唐草）のレリーフを彫っている人まで、各自作業の進み具合はまちまちです。カルチャースクールの大人数の教室のように、横並びで全員が同時に作業をすると作業に時間のかかる人が置いていかれてしまうので、あえて時間の制限をなくしてその人の一番楽なスピードに合わせて教えるようにしています。なので明日来る人が何をするかを考えて仕込みをするのが教室前日の日課となっています。今一番作業の進んでいる生徒さんが明日来ます。この人はアカンサスリーフのレリーフをもうすぐ彫り上げるところまで来ているので、私の彫ったサンプルはその先を行っていないといけません。今週は仕事の合間をみてアカンサスリーフのサンプルを仕上げました。新しいモチーフを教えるたびに、細かい仕上げのテクニックも新しいものを紹介しようと心がけてます。このレリーフでは背景の部分にパンチで粒粒のパターンを付けて、アカンサスのスムースな彫刻面の質感とのコントラストを強調しています。ヨーロッパの木彫刻でよく使われるテクニックです。明日はアンティーク家具の好きな生徒さん達も来るので、いつもレッスンの合間にしているミニレクチャーでのアンティークに関するトピックを考えれば仕込みは完了です。今日の夜は楽な気分で過ごせそうです。

February 29, 2008

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アンティーク家具修復

イギリスでアンティーク家具の修復を勉強しました。何も知らない人は壊れた家具の修理程度としか思わないようですが、イギリスの博物館に美術品としてアンティーク家具が所蔵されていたり、サザビーズのオークションなどで時には億単位のお金でアンティーク家具が競落とされていたりするので、アンティーク家具の修復は立派な学問で、大学に行けば学士、修士、博士と他の学問と何ら変わりの無い学位が取れます。なので家具修復の学会や、シンポジウムなどもあります。大学にいたときも学生、主に骨董商のために家具を修復する商業修復のプロの人達、ミュージアムなどで学術の対象になる家具の保存をする人達などが集まって討論する場に居合わせる事が何度かありました。学生は主に学ぶ立場で出席するのであまり発言の機会は無く、プロの人達の討論を聞いていることが多かったです。ここでよく議題に出ていたのが、「一般のお客さんの扱いをどうするのか？」ということです。骨董商や一般のアンティークユーザーを対象に修復をする人達はアンティーク家具本来の価値を損ねるような仕事の依頼を受ける事があるそうです。例えば18世紀に作られた本物のアンティークのキャビネットを、テレビを格納するテレビ台に改造して欲しい、というような依頼です。こんな話が出ると論議が白熱します。商業修復をする人達が、「アンティークの価値を損なう仕事をするべきでないなんて先刻承知しているけど、私たちも売り上げを上げて生活をしなくてはならないからやるしかないときもあります。」なんて言うと、ミュージアムで保存をする人達が、「そんなのけしからん。アンティーク家具は手を加えないで、作られた時の状態を保つ努力をするのが我々の使命ではないか」と非難します。そうすると商業修復の人達がミュージアムの人達に「あんたたちは政府から予算が出ている所で仕事をしているからそんな事が言えるんだ。俺たちは生活がかかってんだ。」と言うと、ミュージアムチームが「あんたたちにはお客を教育する義務があるんだ。そんなことしてるとイギリスの重要な文化が破壊される。」と言う風に議論が白熱して怒鳴りあいにまでなる時がありました。明らかに結論の出ないたぐいの議論なのですが、みんなすごく熱心に議論してました。もしかしたら結論を出す事より議論する事に意義を感じてやっていたことなのかもしれないと思いました。なぜなら学会の終わった後で会場のバーに行ってみたら、さっきまで唾を飛ばして激しく議論していた人同士が楽しそうにビールを飲んでいるのを目撃したからです。イギリスらしいです。でもその人達の本心がどうなのかはわかりません。しかし社交性が必要とされる場所でそれに反する行動はとらないという暗黙のルールがあるのかもしれません。イギリスらしいです。

February 28, 2008

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イギリス滞在と精神状態

イギリスに7年滞在しました。時代は90年代。一時帰国は2年に1回。自費留学から始まったイギリス生活、日本人男性という立場はなかなか厳しかったです。日本人女性は欧米の人から見るとプラスのイメージが多く、結構もてはやされます。でも男性は逆にマイナスのイメージが多く、冷たくあしらわれる事がありました。男尊女卑のイメージ、働きすぎで人間らしい生活をしてないとか、私のように自費留学だと日系企業の駐在員のように会社の後ろ盾もありませんから、イギリス人にずばずば日本に対するマイナスなコメントをもらうこともあります。なので一生懸命勉強して良い成績を残すとか、何とか認めさせてやろうなどと考え頑張りました。英語に不自由がなくなってもイギリス社会に完全に溶け込むことは出来ませんから、かなりストレスが溜まります。おまけに一時帰国は2年おきなので日本に帰って一息つく事もままならない状態が続きました。こうゆう状態が続くとどうなるかというと、心の中で遠い日本がだんだん美化されてきます。食べ物は美味しくて、日本人はみんな親切で、きれいで住み易くて素晴らしい所だと。でも帰国してしばらくすれば、日本だってイギリスとは違ったところで嫌な事もあれば、意地悪な人もいるし、結局どこの国に行っても一長一短だということにすぐに気付きます。おそらく海外生活で受けるストレスや、社会に溶け込めない現実によって精神状態が悪化する事、特に自我が崩壊してしまわないように心が防衛反応を示して、故郷を美化するという反応が出てきたのだろうとよく考えていました。私のように帰る国がある人はまだ良いですが、有色人種の移民としてイギリスに住んでる人達は大変なんだろうなと思います。黒人も中東の人も中国系の人たちもめちゃくちゃたくましいです。

February 27, 2008

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スパイラル　インディペンデント　クリエーターズ　フェスティバル

いつも横浜の山の中（工房の事）にこもってばかりではらちがあかないだろう。ということで今年の５月に青山のスパイラルで開催される「スパイラル　インディペンデント　クリエーターズ　フェスティバル」　に応募してみよう！という事になりうちの奥さん（彫刻家）と一緒に応募しました。彼女は一足先に書類を送ってスッキリしたのですが、私はいつもギリギリまで手を付けないので、今日焦って応募資料を作成して送りました。資料を作るのは億劫だったのですが、送ってしまうと「審査を通って出られたらいいなー」などと楽しみにもなってきました。そんな気分で家に帰ってきたら奥さんが　「あのスパイラルのイベント、ヤング　クリエーター、つまり若手のクリエーターのイベントだったんだよ」と焦っています。正直「ヤング」の文字に全く気が付いていませんでした。彼女が去年の出展者の年齢をネットでしきりに調べてました。それを眺めながら「やってしまった・・・」と思いました。１９８０年代生まれの人達がぞろぞろいます。下手したら私の子供でもおかしくない年の人達です。これでは審査で落とされるだろうなと諦めていたら１９６７年生まれの出展者を発見！ちなみに私は１９６６年生まれ。大して違いません。少し気が楽になりました。イギリスにいると年齢を気にすることは全く無いのですが、日本は年齢の付いて回る国であることを痛感しました。チャレンジャー精神は２０代の人達と一緒なんですけど。まあ気にしないで出られたらラッキーという事です。

February 26, 2008

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モンステラとアールヌーボー

今までに特注製作で家具を3点買っていただいているお客様からキャビネットの製作依頼を受けました。奥様が熱帯の植物「モンステラ」が大好きなので、キャビネットの装飾に使って欲しいという要望を受けました。ヨーロッパのクラシックスタイルの家具にはまず使われないモチーフです。モンステラです。どのようなデザインのキャビネットにしたら良いのか悩みました。そしてひらめきました。アールヌーボーの家具には、それ以前の様式家具には使われなかった植物のモチーフが数多く使われていたことを。アールヌーボーの家具です。この様式の家具にはアカンサスリーフ（唐草）などの洋家具に定番として使われてきたモチーフの代わりに、他の葉っぱや花が自由に使われています。このスタイルをベースにすればモンステラをうまく装飾に取り入れられるかもしれないと思い、お客様に提案しました。そして了解を頂きました。でもそこからが大変でした。今図面を引いていますが、すごく難しいです。図面が出来ても作るのも難しいです。イギリスにいたとき、家具の勉強をしているフランス人の学生と話す機会がありました。彼は、「アールヌーボー様式の家具を作れるとフランスではすごくいいお金になるけど、難しいから作れる人はそんなにいないんだよ。」と言っていた事を思い出しました。どうしよう。大量の資料に囲まれて悩む一日でした。

February 23, 2008

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英国クラシック家具の会社

今日は銀座に納品がありました。都心に出るついでに取引先に遊びに行きました。五反田にある「東京デザインセンター」の４階ににショールームを構える「アーサーブレットジャパン」にお邪魔しました。英国ジョージアンスタイルのクラシック家具を扱う会社です。本国イギリスでも最高級のリプロダクション家具を生産している会社です。社長の鳥羽さんです。海外生活が長いだけあってブラックジョークが得意です。美しい家具が展示されてます。英国の本社は元々アンティークディーラーで、自社でストックしていたアンティーク家具をモデルにして18世紀の家具を忠実に再現してきました。値段もずば抜けて高いですが家具のプロポーション、ディテール、質感すべてにおいてすばらしいクオリティーです。東京デザインセンターにはハーマンミラーなども入っていて家具を見るには面白いところです。

February 21, 2008

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テンプレート（型紙）

家具を作るとき難しいのは、パーツに曲線が入ってきたときです。直線のパーツは機械でばんばん切れば良いのですが、曲線はそう簡単には行きません。洋服を作るときは必ず型紙を用意します。これは洋服のパーツが曲線を含んでいるので生地にそのラインを写し取る必要があるからです。家具を作るときも同じです。前に猫脚の作り方を説明した時にもテンプレート（型紙）が出てきました。私の作る家具には曲線が多く使われるので、テンプレートを頻繁に作ります。薄いＭＤＦという合板を使うことが多いのですが、それに製図道具を使って原寸大のパーツを描き出し、精密に切り抜きます。そしてその形を家具のパーツとなる板の上に描き込んで加工していきます。工房の壁には沢山のテンプレートがぶら下がっています。新しい家具のデザインをする時は、昔作って今は埃だらけになったテンプレートを引っ張り出してきて、色々案を練ります。楽しい時間です。

February 20, 2008

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彫刻に熱中する人達

今日は彫刻教室の平日クラスのレッスンがありました。午後のクラスは女性の生徒さんがお休みで私を含めて男性だけの時間となりました。少しだけ言葉使いがベランメエ調になる雰囲気でした。今アカンサスリーフ（唐草）の彫刻をしているこの生徒さんは、いつもみんなが使っているやわらかいシナ材でなく、堅いオーク（ナラ材）を使っています。この生徒さん、作業が困難になるほど喜ぶタイプの生徒さん（このような仕事に向いている人です）なので、その性格を見越して、あえて堅くて彫刻の難しいナラ材でこのモチーフに挑戦してもらいました。予想通り嬉しそうに彫ってくれています。この生徒さんは彫刻入りの額縁に使うヒマワリタイプのお花の彫刻をしています。お花は女性に人気のあるモチーフですが、彫るプロセスは男性にとってもとても面白いです。私も色んなタイプのお花を彫っています。彫るパターンはディテールの組み合わせによって無限にあります。この生徒さんは別のタイプのお花の彫刻の中心部分に、仕上げのディテールを彫り込んでいます。これで出来上がりです。楽しいレッスンでしたが、女性のいない雰囲気は華が無くて皆さんさびしそうでした。私を含めて。

February 19, 2008

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ノッティンガムでカルチャーショック

もう十数年前の話になりますが、イングランド中部のノッティンガムという町の大学で家具の勉強をしていました。ちなみにこの町はロンドンから約２００キロのところにある学園都市で、人口３０万人、炭鉱と繊維産業でかつては栄えた所で、ロビンフッド発祥の地です。ロンドンで半年過ごした後大学入学のため引っ越したのですが、ロンドンと違い町の規模が小さかったので、普通のイギリス人の生活ぶりを理解するのに役に立ちました。英語もこの町に来てから話せるようになったので、私にとっては第二の故郷という感じです。でもその当時は治安の良い町ではなかったので、平和な日本から来た留学生にとっては色んなカルチャーショックがありました。たくさんのエピソードがあるので、少し箇条書きにしてみると、１、２階建てバスの２階で堂々とタバコを吸っている人達がいた。２、大学の帰りにバス停でタバコを吸っていたら、小学校低学年の男の子達が寄ってきて「俺達にもタバコちょうだい。」と言われ、ダメだというと「ケチな中国人」と言い捨てて行ってしまった。３、日本人なんてどこにでもいると思っていたら、大学に私以外日本人がいなかった。４、大学の近くに家を借りて住んでいた時、インド人の運転するタクシーで家に帰ったら、運賃の精算をしている時に、「すぐにこの地域から引っ越しなさい」と忠告された。５、そう言われてから少したった頃、朝学校に行こうと思って家から出たら家の前の通りに停めてあった９台の車の運転席や助手席のガラスがすべて割られていた（車上荒し）。６、大学の友人達は車を降りるときに、盗まれないように車のステレオを取り外して持ち歩いていた。などなど箇条書きはまだまだ続けられるのですが、また別の機会に書きます。でも人間慣れてしまえばいちいち驚きません。ノッティンガムに３年住んで、大学の友人達や近所の人達にもすごく親切にしてもらいました。少し訛ってますが英語もしゃべれるようになったし、ロンドンにいたらここまでイギリス人と交流できなかったと思うので、貴重な体験でした。仲良くなってしまうと田舎の人の方が親切にしてくれるのは、万国共通です。でも正直に言うと、イギリスで体験した腹立たしい事をいまだに時々思い出して、その怒りを再び味わう事もあります。キレイ事だけで海外生活が済むわけないですよね。

February 18, 2008

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ヨーロッパの木彫刻教室

今日は彫刻教室の週末クラスのレッスンがありました。写真はイギリスの大学でアンティーク家具の修復を勉強した生徒さんが、大学時代の課題で製作した鶴の彫刻に、金箔を貼った作品です。分厚い板から背景も含めて彫り出しました。大変な作業です。銀箔で月も描かれていて、日本的な絵柄を期待されたと言っていました。ヨーロッパでデコラティブアートに携わる人達の間では、日本の蒔絵の質の高さは有名ですから、日本人からそのようなイメージの図柄を期待します。私も大学にいたとき先生から漢字を蒔絵風にギルディングしてみてと言われ、やってみるとさかんに感心してました。金箔はウォーターギルディングといって、にかわを薄めた水を接着剤にして貼っていく方法で貼られています。この方法だと、金箔のシワがなめされて光沢も出るため、見た目は磨き上げられた純金のように見えます。この方法が金箔を貼る本来の目的、貼った物を純金の塊に見せるためには最良の方法です。ヨーロッパでもこの方法でギルディングされたものが最高の物とされています。ただ水には弱いので屋外に設置される物には使えません。この生徒さんはアカンサスリーフ（唐草）の彫刻を始めました。オークの板に図柄を写し取っています。次の写真は、このアカンサスリーフの彫刻です。左が図柄、真ん中が私の彫ったサンプル、そして右が生徒さんの作品。だいぶ完成に近づいてきました。ただ私の彫った物の形を真似るだけでなく、モチーフが立体としてどのように成り立っているのか、という事を生徒さんと一緒に考えます。そしてその考えをどのような手順で彫って表現するか生徒さんなりに考えてもらって彫っていきます。論理的な思考と、物の形を観察する目を鍛えながらの作業です。ここが一番面白いところです。

February 16, 2008

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春の兆しと彫刻刀

写真は工房の裏の竹林です。まだまだ寒いですが、日差しに春の気配を感じます。ここにはマイナスイオンが充満してます。私が使っている彫刻刀の一部です。イギリス製、古いイギリス製、スイス製、オーストリア製などで全部で200本以上あります。イギリス滞在中からコツコツと買い足していつの間にかこの本数になりました。でもまだ足りません。コレクターとしての立場で彫刻刀がたくさんあるのを眺めるのは楽しいのですが、実際に彫刻をしていてヒーヒー言ってるときに、必要な彫刻刀が作業台の上にたくさん並んでいるのを眺めると、目の前がくらっとする時があります。

February 15, 2008

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ガレのサイドテーブルの修復

写真はガレのサイドテーブルです。修理依頼で持ち込まれました。様々な種類のツキ板（薄板）が箱根細工と同じ原理の象嵌細工でパズルのように組み合わされ、アールヌーボー独特の絵柄を表現しています。写真の左下には四角の白い筋が見られます。おそらく花瓶を放置してこぼれた水が塗膜に入り、天板の表面に塗ってあったニスを破壊し、象嵌の薄板に染み込みふやけさせてこのような状態になったと思われます。ふやけた薄板はぱかぱかに浮いてしまっています。この修復は、浮いてしまった薄板を正しい位置に再接着して、薄板を保護するため新しくニスの塗膜を作る事でした。西洋のアンティーク家具には接着剤としてにかわが使われています。にかわは水溶性で、熱と水分で簡単に液体状態に戻すことが出来ます。また塗装に使われている塗料は、セラックニスといってメタノールで溶解した天然の樹脂です。この塗料もメタノールで簡単に溶かすことが出来ます。なので浮いてしまった薄板は熱した木のブロックと薄めたにかわを使ってプレスする事によって、剥がす事無く元の位置に接着出来ました。またダメージを受けた塗膜もメタノールで洗い落とし、フレンチポリッシュして新しい塗膜を作りました。ウレタンやラッカー塗装された物のように剥離剤を使って塗膜を剥がす必要も無いし、塗装を落とした後のサンディングも必要ないので、象嵌細工に使われている板にダメージを加える事無く新たな塗装が出来ます。このようにアンティーク家具が繰り返し修復を受けながら長い年月使われ続けられる理由は、木に優しい接着剤と塗料が使われていることにあります。写真は修復が終わった後のテーブルです。私の工房では必要に応じて新しい物を作るときにもにかわを使っています。

February 14, 2008

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イギリスで最もポピュラーな車

昨日イギリス留学中に住んでいたノッティンガムという町の事を書いたので、それ以来ノッティンガムの事を色々思い出しました。この町で大学の3年間を過ごしました。その間に１９７６年製のミニという小さな車を買って乗っていました。一昔前のイギリス人なら誰でも乗った事があるぐらいポピュラーな車です。小さくて燃費が良くて、維持費も安くてかわいい車です。この車に乗っていて楽しいのが、ミニ同士が町ですれ違うときオーナー同士が手を振って挨拶をする事です。日本で自分と同じ車に乗っている人を見ても手は振らないどころか、目もあわせないのが普通なので、つい嬉しくなって手を振りまくっていました。ある日一人で町の中心部を走っていて信号で止まりました。こちらは先頭で信号待ち。対向車線を見ると、大学生風の金髪のかわいい女の子がミニに一人で乗って、先頭で信号待ちをしているではないですか。とっさに「カワイイ　オンナノコ二　テヲ　フル　チャンスダ」と思い、手を振る準備をしながらその女の子のことを良く見てみると、彼女は考え事をしていたのかうつろに宙を見つめながら熱心に鼻の穴の掃除をしていて、全くこちらに気付いていませんでした。かなりショックだったのですが、かわいい女の子の隠れた実態を垣間見てしまってちょっと嬉しいような複雑な気分になりました。

February 13, 2008

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イギリスのお屋敷

イギリスで特注家具や、彫刻を製作する会社に就職していた時の話です。会社に入りたての頃、ボスがお客さんの所に行くのによく私を連れて行きました。のちほどわかったのですが、新人がボスに付き合う役目を担うようでした。会社がロンドン郊外の高級住宅地にあったので、裕福な顧客がたくさんいました。なので巨大な屋敷にお邪魔することが多かったです。でも私の服装といえばアーミーパンツにＴシャツという作業着、顔はひげ面で思いっきり労働者、おまけに東洋人。お客さんたちは私が中国人か日本人かもわかっていない様子でした。おそらくボスが自分に裕福な顧客が多いところを新人に見せて、自慢するために連れ回していたのだと思います。ボスとお客さんの家について会話しているときに、敷地の広さを表すのに　acre (エーカー）という言葉を使うのに気が付きました。1エーカーは1224坪。日本人の私にとっては想像のつかない広さです。会話の中にあの家は10エーカーだとか4エーカーだとか出てきます。実際に行ってみても敷地の端から端まで肉眼で確認できるような所はありません。まさに見渡す限りが敷地という感じです。敷地の中に教会、テニスコート、植物園、小川、池などが当たり前のようにあります。でもだんだん見慣れてくると、そんな広さの所に住んだことも無いくせに3エーカーくらいの所に行って、「大して広くないですね。」なんて生意気なことを言っていました。ノッティンガムで3年間大学に通っていた時は、治安の悪い半分スラムのようなところに住んでいた事もあるので、このお屋敷の世界は対極の世界と言えます。この貧富の差は日本のスケールをはるかにしのぎます。よく同僚（労働者階級）たちが、「たったひとつの家族がこんなに広い敷地と家が必要な訳が無い。」と嘆いていました。日本人の私も全くその通りだと思いました。でも自分の勤めている会社がこのような裕福な顧客によって成り立っていると思うと複雑な気持ちになります。ちなみに日本人の平均的な住宅の大きさは、イギリスの貧しい人たちの住宅と同じくらいです。

February 12, 2008

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ストレス解消

今まで私の仕事を紹介してきたのですが、基本的には地道な作業を積み上げていくタイプの仕事です。なのでストレスが溜まります。そこで時々スカッとすることをしたくなります。中学生の頃からエレキベースをずっと弾いています。工房は横浜市青葉区の山の中にありますので、周りに民家はありません。そして工房には愛用のベースギターと大きなアンプが置いてあります。ムーンという日本のメーカーのジャズベースをずっと使っています。夜仕事が終わってから大好きなジャミロクワイやラリーグラハムを大音量でかけて、それにあわせてベースも大音量で弾きます。これでかなりスカッとします。忙しくなればなるほど頻繁に弾いてます。大きな音で楽器を弾ける環境が工房にあって非常に気に入ってます。

February 11, 2008

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猫脚の作り方PART３

私が特注家具製作として作ったセティの脚の製作工程を公開してきました。今回は塗装です。脚には彫刻のディテールがかなりのボリュームで施されています。この彫刻の立体感を最大限に際立たせるために、低い所ほど色を濃く、また高いところほど色を薄くするように着色をしました。仕上げの塗料は、セラックニスという昔ながらのニスで柔らかい光沢を出しています。このセラックニスはアルコールで簡単に洗い落とすことが出来ます。なのでこの先この脚に傷の修理などが発生した場合、部分的に塗装を落として修理をした後再びフレンチポリッシュで元の光沢を復元できます。長い間修理しながら家具を使い続ける事を考えると、一般的なウレタン塗装よりもこのセラックニスの方が木に負担が少ないです。イギリスでアンティーク家具を修復する時は必ずセラックニスを使います。すべての脚に塗装が入り、アーム部分の彫刻も済み、フレームと合体すると次の写真のようになります。あとは椅子屋さんで座と背もたれを張り込んでもらえば完成です。このセティの完成したところは私のホームページのギャラリーにて見られます。また面白いと思う製作過程があればこのブログ内で公開していきます。

February 9, 2008

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猫脚の作り方PART2

前回から公開しているカブリオールレッグ（猫脚）の作り方ですが、今日はさらに先に進みます。写真は輪郭を切り出したマホガニーの脚です。この脚にボール＆クロウ（鋭い爪のある脚が玉をわしづかみにしているところ）という、１８世紀のチッペンデールスタイルの家具によく使われたモチーフを彫刻します。彫刻が完了して次の写真のようになります。彫刻の済んだ脚先に比べて脚の上部は角張ってぼてっとしています。脚先に続いて脚の上部にアカンサスリーフ（唐草）と帆立貝の彫刻を入れます。アカンサスリーフの流れるような葉の動きを表現するために脚の上部両側に木を足して、彫刻できる範囲を広げています。前の写真とは打って変わって脚全体のプロポーションが整ってきたのが分かります。毎日ひたすら彫り続けました。同じ脚が4本彫り上がりました。ここまで手間のかかる作品になると、失敗してやり直すという選択肢はありません。真剣かつ注意深い作業が一区切りつきました。この後着色と塗装が待っています。続きは次回です。

February 8, 2008

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猫脚の作り方

昨日カブリオールレッグ（猫脚）のサンプルについて書いたので、今日は実際に作るとどうなるのかを見せます。以前製作したマホガニーのセティの脚の製作工程を例にしてみます。この写真はこれから作られる脚のテンプレート（型）です。この形をマホガニーの角材に写し取ります。次の写真がそれです。テンプレートの形が写し取られているのが分かります。写し取った形の通りに角材を切ります。切り終わるとこうなります。この猫脚には彫刻も入ります。最終的に仕上がるまでの工程はかなり長いです。というわけで今日はここまでにしておきます。次回はこの先の工程を紹介します。

February 7, 2008

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カブリオールレッグ（猫脚）

今日は朝からお客様の家に打ち合わせに行き、午後からはデザインをするためオフィスにこもって一日が終わりました。工房での作業の無い一日。教室の生徒さんたちが来ていた昨日とはうって変わって静かで寂しーい一日でした。休憩中に工房を見回していたらカブリオールレッグ（猫脚）のサンプル群を見つけました。クラシックな家具の注文を受けるとき猫脚を使うケースが多いです。今までも色んな猫脚を作りました。自分で図面を引く場合、平面図を完成させただけでは実際に作ったらどんな立体になるのか確認することは不可能です。作ってみるまでわからないのです。しかし特注家具は大抵高価な材木を使って作るので、出来たけど形が変で使えないでは済まされません。そこで安い材料を使ってサンプルを作ってプロポーションをチェックします。時には2本も3本作って納得のいく形にたどり着きます。こうして作ったサンプルの脚は次に同様の製作をする時の大切な資料となります。持っているサンプルの種類が多いほどデザインの作業は早く、簡単に、効率良く出来ます。最近やっとデザインが楽になるぐらいサンプルがたまってきました。久しぶりに猫脚のサンプルを見てこんなことを考えました。

February 6, 2008

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