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テーマ:食べ歩き(4414)
カテゴリ:Gourmet (Japanese)
日本橋の人形町にある『玉ひで』は親子丼発祥の店としてあまりに有名だ。ここは昔から「行列のできる店」だった。ちょうど、たまたま近くに用事があり、5人グループで行ってみようかという話になった。ネットで情報を見ると、相変わらずお昼の親子丼目指して人が押し寄せるらしい。「開店30分前には行くこと」と書いてある。
でも、行こうとしてる日は平日。平日の昼間っからそんなに人が並ぶのだろうか? ちょっと信じがたい気がしてお店に電話してみた。 「はい。毎日みなさんお並びいただいております」 なんでも、コース料理を食べるなら予約も可だが、親子丼、そしてその上のグレード(苦笑)の極上親子丼を食べるだけなら予約は不可だという。 すごいな~。行列のできるラーメン屋というのはケッコウあるが、それだってブームが去れば(というか、ラーメン屋の場合は、人気が出てくるとすぐ味が落ちる店が多いからかもしれない)人は減ってくるし、だいたい土日に遠くから話のネタに来る人が多いから、平日の昼間っから毎日毎日長年にわたって行列なんて話は聞いたことがない。ところがこの『玉ひで』は、何年にもわかってその行列を維持しているというのだ。 で、当日、友人と現地で待ち合わせをし、開店30分前に行ってみて、呆然!! すでに長蛇の列ができているではないか!!! 幸いにも律儀な友人が先に来てくれていた。テーブルはちょうど5人掛けだから、別々に並んで他人と相席になる(ここは超人気店なので容赦なく相席となる)よりはと合流させてもらう。ネットで「開店30分前」と書いてあるのをみんな読んでるのだろう。なので、ここは「開店45分前」に行くことをお薦めする。 友人とおしゃべりしていたら、開店までの30分もそれほど気にならずにすんだ。テーブルに着く前に注文と会計をすませる。 中に入ると手際よく奥のテーブルに案内される。じゃんじゃん詰めて座らせる、店員の客さばきは見事というのか、お客より給食を恵んでもらう難民になった気分というか(苦笑)。 どうせめったにこないからと、普通の親子丼ではなく、極上の親子丼を頼んだ。それほど待たずに出てくる。本当に、手際がいいというのか、流れ作業というのか。ま、親子丼だからね。 浅いけれど広いおわんに絶妙のとろけ具合の卵がかかっている。決して「つゆだく」ではない。だが、割下のご飯へのしみぐあいもなかなかに絶妙。 ダシもしょうゆもとても主張が強い。う~ん、これが伝統的(?)関東の庶民の味よね。関西の和食と違って関東は味が総じて濃い。一口めはインパクト抜群で非常に美味しく感じるのだが、最後になってくるとだいぶ重い感じがしてくる。見た目よりずっとボリュームがあるのだ。 鶏肉も味がよくしみていて、歯ごたえもあり、二重丸。よくフレンチの肉料理や魚料理を評して「火入れが絶妙」などというが、実は親子丼こそ火入れ具合が命なんじゃないかと、ふと思った。卵があまり生では困るし、といって火を入れすぎれば硬くなってしまう。鶏肉だって、ふっくらした歯ごたえを残すよう卵と一緒に「火入れ」するのは難しい。 まあ、フランス人はこんな生の卵が鎮座し、半熟卵がどっぷりかかった食い物は気持ち悪がって食べないだろうけれど。 食べ終わると、さっさと出される。ちょうどお店の中をぐるっと回って出される感じで、効率的に一方通行になっているのだ。なんか、ここまで行き届いて効率的だと、自分がブロイラーの鶏にでもなってしまった気分。 全然落ち着かない店だが、イベントとして友人と1回話のネタに行ってみるのは、非常にお薦め。しょせんは親子丼だし、正直「そんなに毎日毎日大行列になるほどかな?」という気がしないでもないけれど、考えてみれば、庶民が行列を作るのは、安くてウマイラーメン屋なんかが圧倒的だ。みんな「そんなに並ぶほどのものかな?」といいつつ、一種のイベントとして並んでいるんだと思う。 ネットの投稿にも「行きたい人という人がいるので、何度か付き合った」というのがあった。わかる気がする。たぶん1人でもう一度来ることはないだろう。延々と並んで、あげく、右も左も前も初対面の他人の中で、ひたすら親子丼を食べるというのも気が引ける。でも、きっと誰かが「1度行ってみたいんだけど」といえば、付き合う気がする。次は『極上』じゃなくていいな(笑)。極上はちょっと卵過多な気がする。食糧事情が悪い時代のお江戸の庶民なら卵は安くて貴重な栄養源だったのだろうけれど、今のMizumizuにはアレルギーやコレステロールのほうが心配だしね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.11.12 01:19:16
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