最近「値段の高い蜂蜜」を置く店が増えた。自然食品を扱う店、高級食材を置く店、あるいはケーキ屋でも主にフランス産の蜂蜜を置いているのを見かける。
Mizumizuの住む荻窪近辺でも、あくまで「ついでに」高級(?)蜂蜜を置いている店は多いが、専門店となるとまだまだ珍しい。蜂蜜だけを扱う店舗をかまえた「
ラベイユ」はそういう意味でも貴重な店だ。
本店は荻窪だが、渋谷や丸の内にも店舗を出している。名古屋、大阪、京都、福岡にもある。本店といってもごくごくこじんまりとした店。荻窪駅を出て、北の「教会通り」という、とても狭く、とても風情のある古い商店街を5分ほど歩いたところにある。
ディスプレイは南仏の雰囲気にあふれた、かわいらしい演出。だが、店舗自体は小さいし、あまりにさりげなさすぎるので、うっかりしていると通りすぎてしまうかもしれない。
店内の蜂蜜の品揃えはさすがに充実。量り売りもある。フランス産ならラベンダーやラズベリー、イタリア産ならひまわりやオレンジといった蜂蜜を、瓶を持参すればその場で入れてもらえる。
もちろん量り売り以外の蜂蜜も充実している。たとえば菩提樹(シナの木)の蜂蜜なら、北海道産、フランス産、イタリア産があった。お願いすれば試食もできる。季節によって品揃えも変わる。便利な場所にあるとはいえない店だが、お客さんはそれなりに入って、それなりに売れている。Mizumizuもすっかりリピーターに。
意外だったのは北海道産のシナの木の蜂蜜が、名寄の養蜂農家から直売で買ったものとは味がまったく違ったこと。名寄のものは色も濃く、ワイルドで力強い味だった。ラベイユで試食させてもらった道産のシナの木の蜂蜜は色も薄く、上品で淡白な味わい。同じ木の花から採ったものとは思えないほど。実は、他の東京の店で買った「北海道のシナの木の蜂蜜」もほぼ同様な印象。理由はよくわからない。
フランスとイタリアの菩提樹の蜂蜜もまったく味が違った。ことに個性的だったのが、フランスのプロバンス地方の養蜂家のもの。ひたすら滑らかな口当たりとハーブのような個性的なフレーバーと香りがある。ここまで独特だと、普通の食パンには合わないのだが、ハード系のチーズや小麦の風味の高いバゲットとマリアージュさせると最高だった。
これまでさっぱりとさわやかなレモンやら、花粉をふくんだ濃厚な舌触りのひまわりやら、いろいろと試したが、どれひとつとしてハズレがない。もちろんどれもこれも味はまったく違う。蜂蜜の奥深さを改めて知らされる。しかも、ここの蜂蜜は養蜂家の名前まで入っている。もっとも名前を書かれたって誰だか全然知らないワケだが(笑)。
ヨーロッパのどこかの養蜂家の採った、多種多彩な蜂蜜を極東の島国でも味わえるのだから、ありがたい話だと思う。