エクストラバージンオリーブオイルも、最近では多種多様なものが売られるようになった。浜田山あたりの高級食材店に行けば、カンパーニャ産、シチリア産、プーリア産というように、イタリアの地方ごとに区分されたエクストラバージンオリーブオイルが売られているし、ペックのような有名ブランドのものも簡単に手に入る。
だが、イタリア人の友人は、エキストラオリーブオイルは「オリーブ農園を経営してる農家に行って直売してもらってる」という。それが一番おいしいのだと。
さすがに、日本でそうしたライフスタイルは望むべくもない夢だろうと思っていたのだが、実は身近なところに、その夢をかなえてくれる店があった。阿佐ヶ谷の「
ブオーノイタリア」だ。
ここはイタリアのウンブリアの村の農家の自家製エクストラバージンオリーブオイルを空輸して扱っている。基本的に量り売りで、一度瓶を買って次回から持参すれば、樽からオリーブオイルを直接出して瓶に入れてくれる。まさに農家の直売に近い。
濾過もしていない、フレッシュな本物のオリーブのジュース。イタリアではよく、子供にエクストラオリーブオイルをスプーンで一口か二口、そのまま飲ませている。「油」をそのまま飲ませるなんて、信じられないと思うかもしれないが、「ジュース」を飲ませているといえば、納得できるだろう。しかも、そのジュースは砂糖の入った甘いものではなく、トコフェロールやポリフェノールをふんだんに含んだ健康食品なのだ。
ブオーノイタリアのオリーブオイルはそのまま飲むとピリッとした辛さを感じる。だが、パンにつけて食べると、辛みはあまり感じない。オリーブオイルにパルミジャーノレッジャーノをすって入れるのも、イタリアの家庭ではありふれているが、なんとなく日本やるとリストランテ(イタリアレストラン)に行った雰囲気になる。
パン+エクストラバージンオリーブオイルというのは、実は昔は南イタリアの貧しい農家の食事の典型だった。だが、大地の恵みを一番シンプルな形で直接味わうという意味では、今はもっとも贅沢な食事のひとつかもしれない。