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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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ゴロワのブログ GAULOISES1111さん
Tomy's room Tomy1113さん
2008.01.24
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カテゴリ:Movie
天気予報では降る降るといっておきながら、なかなか降らなかったまとまった雪が、ようやく東京の朝を白く染めた1月23日水曜日。起きてメールをチェックしたらイギリス人の友人から、「ショック! ヒース・レジャーが死んじゃった」というメールが入っているのを見て我が目を疑った。

ヒース・レジャーって「あの」ヒース・レジャー? 先日「いつ君」のエントリーへのコメントの返事に、「ブロークバックマウンテンそっくりのシーンがありますね」と書いたばかりだ。

ヒースはまだ28歳。なんかの間違いじゃないの? さっそく、その友人が教えてくれたニュースソース「BBC News」にアクセスする。顔写真があった。間違いない。

お昼にテレビをつけたら、ABCニュースでも「ハリウッドでもっとも将来を嘱望されていた俳優が急死」と速報を流していた。やはり、というべきか、ヒースの代表作として紹介されたのは「ブロークバックマウンテン」でのカウボーイ姿、つまりイニス・デル・マー役だった。日本語で聞いていたら、映画でのヒースの台詞が流れて、それがアナウンサーの読み上げるニュース原稿の間に入り、通訳が1人で両方訳して、結果ハチャメチャになっていた。

BBCやABCニュースを総合すると、ヒースが意識不明(あるいはその時点で死亡?)で発見されたのは1月22日(火)の午後3時半。その時間に予約を受けていた女性のマッサージ師が、NYのオシャレなソーホー地区にあるヒースの自宅アパルトマンに行ったところ応答がなく、家政婦に連絡。家政婦と一緒に部屋に入ると、ベッドの上で裸でうつぶせになり、頭が床に落ちた状態で意識のないヒースを発見したという。周囲には処方薬が散らばっていた。最初家政婦とマッサージ師はヒースが眠り込んでいると思い、体をゆすって起こそうとしたが、まったく反応はなかった…。

NYの警察当局は、23日に遺体を解剖して死因の究明に努めるとしながらも、薬も違法なものではなく、自殺は考えにくいので、オーバードーズ(薬物の大量摂取)による事故だと思われる旨の声明を出している。

1月22日はアカデミー賞ノミネートの発表の日。ヒース自身は今回はノミネートされなかったが、出演した「アイム・ノット・ゼア」からケイト・ブランシェットが助演女優賞でノミネートされた。その同じ日にオーバードーズでの「不慮の死」とは・・・。だが、マッサージ師を予約しておいて、裸の状態で発見された(恥ずかしいよね、それ)という状況を聞くと、意図的な自殺とも考えにくい。日本語のニュースでは「睡眠薬」と特定しているメディアも多いが、英語のネット上の新聞では「処方薬」としか書かれていなかった。遺書などは今のところ見つかっていないようなので、能動的な自殺とは断言できないにしろ、もし本当に処方薬しか飲んでいなかったのだとしたら、大の大人が「たまたまアクシデントで」大量摂取して死んでしまった、というのも・・・。日本のメディアのいう「睡眠薬を大量に服用したらしい」というのが誰もが思うところだろう。

イギリスの大衆紙「The Sun」のネット版では、最初『薬と一緒に裸のヒース発見』と、「マリリン・モンローかよ」みたいなセンセーショナルな見出しが踊ったが、その後数時間で『ヒース・レジャー、遺体で発見』とマイルドな見出しに書き換えられた。「The Sun」は、一般紙よりもっと突っ込んだ(というか、いい加減な?)情報を載せている。それによると、ヒースは新作の「バッドマン」(アメリカでは2008年の夏、日本では秋の公開予定で、現在撮影後の編集作業に入っている)でのジョーカーの役作り、つまりこの「サイコパス」なキャラクターをどう演じるかについて悩んでいたという。去年のミシェル・ウィリアムズとの破局によるストレスもあって酒びたり、薬漬けの状態で、不眠も深刻。「先週の平均睡眠時間は1日2時間ぐらいだった」と本人が語ったという(ホントに本人がそう言ったかどうかは知らないよ。こうした大衆紙はわりと平気で本人が言ってもいないコトを書くのが得意だ)。

さらにハリウッドのゴシップネタをおもしろおかしく書きたてるのが得意なあるソースによれば、ヒースは娘のマチルダを溺愛していたので、ミシェルとの破局によって娘と離れ離れになったことが、精神なダメージとなり、重度のウツに陥っていたという。「ブロークバックマウンテン」で共演し、ヒースとミシェルの娘マチルダの名づけ親にもなったジェイク・ジレンホールが、この数ヶ月のヒースのひどい状態を心配して、支援(って何の? それは書いてなかった)を申し出たがヒースが断ったという。

亡くなりかたが亡くなりかただけに、どうも虚々実々入り乱れて、いろんな情報な飛んでいるようだ。だが、今のところヒースと同じオーストラリア出身のニコール・キッドマンとオーストラリア育ちのメル・ギブソンが哀悼の意を表明したというのは情報として流れているが、ジェイク本人のコメントは何も伝わってきていない。もちろん、すぐにマスコミが大挙してジェイクのところに押しかけそうだけど。

新作バッドマンでのジョーカー役でも周囲の評価では、「ジャック・ニコルソンにも劣らない名演」を見せていたというヒースだが、なんといっても、あっちこっちのメディアで紹介されているのは、カウボーイハットをかぶったヒースの写真。

2人のカウボーイの秘められた愛をテーマにした、アン・リー監督の「ブロークバックマウンテン」(2005年)は、いまさらいうまでもなく、社会現象まで巻き起こした大傑作。オスカー3部門受賞をはじめ、全世界での映画関連の受賞数は76にものぼり(これは近年まれに見る数字だといっていい)、受賞にいたらないまでもノミネートされた映画関連賞は64を数える(出典:The Internet Movie Database)。米アカデミー作品賞こそ「クラッシュ」に譲ったが、「クラッシュ」は3オスカー、他の映画関連賞は38の受賞にとどまった(ノミネート数だけなら64と同数)ことからすると、総合的にみて、映画界での評価では圧倒的に「ブロークバックマウンテン」が「クラッシュ」を凌駕しているといって差し支えないだろう。しかも、批評家に絶賛されただけでなく、同性愛というきわめてマイナーなテーマだったにも拘らず、興行的にも大きな成功をおさめ、軽く180億円は稼ぎ出している。最終的にはいくら儲かったんだろう? 200億円は超えたんじゃないかな。約16億円(1400万ドル)というハリウッドにしては低めの予算で作られた作品としては破格のヒットだろう。

主役のイニス役のヒース・レジャーとジャック役のジェイク・ジレンホールの演技も内外から高い評価を受けたが、不思議なことに、ヒースに関しては母国オーストラリアをのぞけば、アメリカ国内での評価がきわめて高く、ジェイクに関しては逆にアメリカ国内より海外で評価された感がある。ジェイクが英国アカデミー賞の助演男優賞を獲得したのもそのよい例だと思う(ヒースは英国アカデミー賞主演男優賞にノミネートはされたものの受賞は逃している)。ちなみに2人の演技に対して与えられた賞の数はほぼ同じなのだが、ヒースが8つ、ジェイクが7つ(「ジャーヘッド」や「プルーフ」と合わせての受賞も含む)で、実はヒースのほうが少しだけ多い。

アン・リー監督はヒースの演技を「奇跡的な名演。若き日のマーロン・ブランドを思い起こさせる」と絶賛している。ジェイクのことも、もちろん違った表現で違った部分を褒めているのだが、この「マーロン・ブランド」というのは「ブロークバックマウンテン」のヒースの名演をひも解くためのキーワードだ。

喜怒哀楽の感情表現が極めて巧みで、見ていてわかりやすかったジェイクの演技に対して、抑圧された性格のイニスを演じたヒースの表現は、特にアメリカ人以外には理解しにくかったのではないだろうか。アメリカ人には「西部の僻地ワイオミングにいそうな、古いタイプのカウボーイ」に対するややステレオタイプ的なイメージがある。口数が少なく、「男性的であること」を何より大事な価値観としてもち、何でも自分自身で問題を解決しようとし、解決できないことに関しては文句もいわず、じっと忍耐するようなタイプ。乗馬テクニックの巧みさ、くぐもったしゃべりかたを含めて、ヒースはアメリカ人の抱く古いタイプの西部の男のイメージにぴったりで、そこが高く評価されたのだろうと思う。明らかにヒースはジェイクよりはるかに馬に慣れていたし、山の斜面を馬とともに駆けていくシーンは惚れ惚れするほどサマになっていた。本人曰く「オーストラリア育ちだから、子供のころから馬に乗っていた」とのこと。

日本のようにカウボーイもいないし、アメリカ英語もわからない観衆には、ヒースの演技の良さは完全には理解されなかったかもしれない。Mizumizuが「ブロークバックマウンテン」のヒースを見て、まず最初に思ったのは、「この人、なんでこんな聞き取りにくいしゃべり方すんの?」ということだった。アメリカの西部訛りはもともと非常にわかりにくいのだが、ヒースはそれをさらにくぐもった声で喋るから、ハッキリ言って何を言ってるんだか、さっぱりわからなかった(苦笑)。

ジャック役のジェイクに関しては、それ以前の出演作を見たことがあったのだが、ヒースを見るのは同作品が初めてだったので、「もともとこういう変な声なのかな」と思った。ところが、その後すぐに見たヒースの主演作品「カサノバ」では、発音や声のトーンが全然違う。「ちゃんとマトモに、ハッキリしゃべっている」のにビックリした。つまり、あのマーロン・ブランドのごとく聞き取りにくい、低く、抑圧されたような声は、ヒースの役作りの一環で、それを知っているか、あるいは聞き取って感じることができるアメリカ人からは直接的な高い評価を得ることができたのだろう。

この特徴的な声の役作りについて、Mizumizuと同じような感想をもったらしいアメリカのトーク番組の司会者を見つけた。「Ellen」さんという人で、自身の番組でヒースをゲストに招き、「ブロークバック」でのヒースの声の演技をオーバーにマネする自分の映像を流して、ヒースの爆笑を誘っている(Mizumizuも大爆笑してしまった)。おまけに「イニスはなんであんなふうに喋るワケ?」とMizumizuが聞きたかったことを聞いてくれている!

番組が収録されたのは、「ブロークバック」が成功をおさめ、アカデミー賞にノミネートされたころ。そして、ヒースの演技をマネした場面(時間でいうと3:15から3:35の間)のあとで、エレン氏の質問に答えるかたちで、ヒース自身が声の役作りについて語っている。具体的にいうと3:48から5:35までの間がそのヒースのコメント。番組のURLは以下。

http://www.youtube.com/watch?v=fkOpJsdjrEU

番組はまず、ブロークバックマウンテンの成功とオスカーノミネートに対しての「おめでとう」コメントで始まり、そのときのヒースの生活についてちょっと触れ、それから問題の(?)ブロークバックの爆笑モノマネに入る。もっとも興味深いのはその後の3:48から5:35までヒースのコメントだ。しかも、なんと「イニス役でもジャック役でも選んでいいと言われ、ヒース自身がイニス役を選んだ」という知られざる秘話(?)も語られている。このようにわりとリラックスした雰囲気の中で自分の役作りについて語るヒースの映像はほかではなかなか見られないし、ご本人が亡くなってしまったから当然今後もないわけで、今となっては貴重だ。英語のわからない皆さんのために、明日ヒースの言葉に字幕をつけてご紹介しようと思う





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最終更新日  2008.01.24 15:57:59



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