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テーマ:芸能ニュース(18915)
カテゴリ:Movie
アメリカでは大統領の挙動にすら影響を与えているヒース・レジャーの急死。日本では、知名度がイマイチのせいか、報道のテキトーさが目立つ。では、アメリカの報道が正確無比で公平かというと、もちろんそんなことはない。
ここのところで一番、アメリカの良識ある人々をウンザリさせたのは、CBCテレビが流そうとした、「ヒースがドラッグパーティで過去の麻薬歴を告白」というビデオだった。あと数日でNY市当局から死因についての最終検査報告が出されるというタイミングで、ほぼ2年前、ドラックパーティに参加して自らの麻薬使用を告白するヒースをとらえたとする「独占衝撃映像」の予告編を流したのだ。予告編には、鼻からドラッグを吸引する、一見ヒースのようにも見える人物が映っており、「以前は、20年ぐらいマリファナを1日5本吸ってたものさ」というヒースの声(?)がかぶさっていた。 予告編が流れると抗議が殺到、さらにヒースが所属していたID PR事務所が「でっちあげストーリー」「恥ずべき金儲け」と非難声明を発表したことで、本編の放送は中止となった。中止にしたときのテレビ局のコメントは「ご家族のお気持ちを尊重して」というものだったが、家族を思いやることのできるような人間が、こんな映像に飛びつくわけがない。テレビ局がこの怪しげなビデオを入手するのに使ったお金は100万円、200万円のレベルではない、莫大なものだったらしい。おまけにテレビ局は、「実はヒース自身が麻薬を吸引している姿は映っていなかった」ということを明らかにした。 放映できなかったのは、明らかに、訴訟沙汰になったときのリスクをテレビ局側が心配したからだと思う。予告編をこの目で見たが、そもそも「ドラッグパーティ」なのかどうかもわからない、単にヒースのそばで、鼻から何か吸引している、あるいは吸引しているフリをしているヒースではない別人が映っていて、問題のヒースの発言も、どういう流れで話したのかわからない。あとで音を入れなおした可能性もある。2年前といえば、ヒースは25、6歳。その人が「以前は(I used to)」「20年間」と言ったら4、5歳のころからマリファナを吸っていたことになる。これが「衝撃の告白」だろうか? むしろ酔っぱらいのヨタ話だ。 「窓から撮ったもの」などと言っているが、ちゃっかり隠しカメラと録音テープを仕込んでいたことからすると、何かでヒースをその場に誘い、ハメた可能性もある。ヒースが、「キミたちはどこから来たの?」と聞いているところを見ると、面識のない人間もいたということだろうし、娘が生まれたことなどを自分から話しているから、プライベートでの浅い友達関係といったところだろうか。 こんな怪しげなビデオは本人が生きていては売り物にもならない。反論されたら終わりだからだ。また、ヒースの死因がハッキリしても価値は下がる。そもそもはじめからヒースの自宅には違法ドラックはなく、警察も犯罪性のないことは示唆していた。だから、ヒースの死が違法ドラックとはなんら関係がないということが、100%証明されてしまう前に流そうとしたワケだ。なんてわかりやすい単細胞だろう。 だが、一般視聴者とヒースの広報事務所から非難されたことで、テレビ局は大枚はたいて買ったビデオもオクラ入りさせざるをえなくなった。このあたりは普通のアメリカ人の良識と事務所のすばやい動きの賜物だろう。ちなみに、同事務所にはジェイクをはじめ、ロビン・ウィリアムズ、サラ・ジェシカ・パーカーといったハリウッドのスターも所属している。彼らも一斉にテレビ局に抗議したという。ジェイクはともかく、他のスターは特にヒースとは特に親しくもないから、これだけ迅速に足並みがそろったのは、やはりジェイクが率先して働きかけた、あるいは働きかけるよう動いた可能性が高い。 しかし、アメリカメディアも本当にあざとい。ニューヨークポスト誌のAndrea Peyser というオバサンのコラムニストが、ヒースのパースでの葬儀が行われるタイミングで、ヒース・レジャーは「思慮がなく、貪欲で、自分勝手」だと書いた。何でそんなこと言ってるんだ、と思って思わず読んでしまったのだが、見事にまったく内容のない、そして根拠もない悪口コラム。今回の「いわゆる事故死」は、「美しい娘と輝かしいキャリアをもち、モテモテで、人生の目的すべてをかなえたような男(それは確かに当たってる!)が、自分ですべてをかなぐり捨て、自ら拳銃の引き金を引いたようなもの」なのだそうだ。さらに「ヒースの娘のため、ヒースの両親のため、ミシェル・ウィリアムズのためには泣いてもいい。ただ、ヒース本人のために泣いてはいけない」ときた。 すげ~、ワケわからないおせっかい(苦笑)。なんでアナタにこっちが泣く対象を決められなければいけないのだ? ふつうはやっぱり、ヒースのために泣くんじゃないの? 身を削って仕事してたんだろうな、とか、ミシェルが娘連れて出てっちゃって、寂しかったんだろうな、とか。それが普通だと思うんだが。そもそも、娘のマチルダと両親はわかるにしても、自分で出てったミシェルのために泣く人っているの? ほとんど何もわかっていない人が、悪口のための悪口を書いてるのは明らかだが、つまりは、このオバサンの目的は自分のコラムに人の興味をひきつけ、新聞を買わせる、あるいは読ませることにあるのだ。それだけだろう。こんなのをうかうか読んでしまった自分にも腹が立つ。オオニシ記者の記事と張るぐらい後味悪いや。ニューヨークポストは、内容も堀り下げも何にもない記事に目を引く見出しをつけて読ませようとする傾向がある。そんなことばかりしてるから、部数を落とすのだ。 ちなみに、この「fuc(ピー)ing」なオバサンコラムニストに対しては、すでにアメリカのテレビ番組の複数のキャスターが、「無責任」と非難している。むろん、この悪口オバサンに同調して、ヒースを悪く言う人もいないわけではない。 アメリカには、とんでもなく「fuc(ピー)ing」なことを言うヤツがいる。だが、日本と違うのは、「誰が悪く言ってるのかわかる」ということだ。日本のように、ムードに流されて誰かを「みんなで」一斉にバッシングし、その対象を擁護でもしようものなら、同じように血祭りにあげられてしまうようなことはほとんどない。一時的にそうなったとしても、反論の機会は必ず用意されるという公平さがある。「みんなそう言ってるよ~」「みんなそう思っているよね~」などと言って、違う意見の人の口をふさぐことはない。どんな意見も、それはみな「誰か(個人)が言ってる」のだ。そもそも、人間がみんな同じことを言うわけがない。 悲劇的な死を遂げた1人の若者を、新聞紙上で堂々と罵倒するようなプロのコラムニストの品性下劣さを見るにつけ、ほんの数日前、複数のメディアが伝えたジェイクの近況は胸を打つ。「ジェイクはショックからまだ立ち直れずにいます。ふだんはめちゃくちゃ陽気なヤツなのに、今回のことでボロボロになってしまったようです。ヒースと彼の結びつきは深かったですからね。ヒースのこととなると褒めてばかりで、俳優としても人間としてもいかに素晴らしいかという話ばかりしてました」(ジェイクの俳優仲間)。 以前、周囲の人は2人はとてもclose(親密)だといっていた。それがbonded(一体のように結びついていること)になった。そういわせるほど、ジェイクの様子が尋常ではないということだろう。 断っておくが、ジェイクがアッチの人かソッチの人かなんてことには、まったく興味がない。2人の間にあったものやなかったもの、2人の間に起こったことや起こらなかったことは、2人だけのもので、他人が入りこむべきではないと思っている。それは同性間だろうと異性間だろうと変わりはない。恋愛とか友愛とかいう区別もどうでもいいことだ。といって、ファンの人たちが気になるのも理解できるし、想像を広げて楽しむのも否定しない。俳優はそもそも、人々に夢を売る商売だからだ。 ヒースが亡くなってから、ジェイクはまったく表立って姿を見せないし、ステートメントも発表してない。だが周辺情報や盗み撮りされた写真から、常にヒースのそばに行っていること、ヒースのために動いていることは推察できる。そもそもこういったセレブリティの葬儀の場では、自分と故人の関係をことさらひけらかしたり、自分に注目を集めようとする人たちが多いというのに、ジェイクの行動はまさに、その対極にある。そこに確かに、"Truths we can't deny(否定できない真実)"を見る気がするのは、Mizumizuだけだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.02.11 06:09:00
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