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カテゴリ:Travel(タイ)
ホテル「オリエンタル・バンコク」の夜のロビーは一種幻想的な雰囲気。
弦楽四重奏の調べ、睡蓮を浮かべた噴水の涼やかな水の流れ、人々のざわめき。そして、時にはこんな幻想的な人も登場する。 一体この、ヴェネチア風に仮装した人々は何だったんだろう。最初はてっきりホテルの出し物かと思っていたのだが、噴水にダラッ~と腰を落としてさっぱり動かなかった。ということはゲスト? よくわからない。たまたま入ってきた日本人の宿泊客がギョッとして足をとめていたっけ。 ロビーから川に面したテラスに向かう。見あげれば庭のヤシの木がライトアップされている。 テラスを通り抜けて、ホテル内の船着場へ。 「レストランへ」 そう言えば事足りる。向こう岸のテラス・リム・ナームへ運んでくれる船を待つ。 チャオプラヤー川を渡る。湿った熱帯の空気に、川面をわたる風がいつも心地よい。 レストランに着くと、建物内でタイ舞踊を見ながらのセットメニューか、テラス席でのアラカルトかと聞かれる。いつもテラスを選んでいた。 川沿いの席が一番開放感があるのだが、奥のベランダ席もしっとりと落ち着く。エキゾチックな植物に囲まれた暗めの庭を見ながらくつろぐ。 木々の向こうに見えている、屋根をかたどったネオンは渡し船。 席に着くと、ほとんどMizumizuたち専属になったイケメンの若いウエイター君が、 「Welcome back. Thank you」 と満面の笑顔で椅子を引いてくれる。彼は、アルコールを好まないMizumizuたちの嗜好をすぐに飲み込んでくれた。 「スパークリング・ウォーター?」 指を鳴らしながらカッコつける。まるで「ここはボクがウエイター役を演じている舞台」とでも言っているよう。日本のウエイターもこのぐらい楽しげに、そして少しナルシスティックに仕事できないものかな(できないだろうな・笑)。 必ず出てくるタロイモのチップス。芋の種類はときどき変わる。これにつける辛いソースがすでに、タイ料理の奥深さを教えてくれる お食事はカレー(Mizumizuの好み)と海老が入った一品(連れ合いの好み)が中心になった。 最高に気に入ったグリーンカレー。甘くて辛くて酸っぱい。複雑な味のハーモニー。日本では味わったことのない洗練された味だった。具材の多さにも驚き。タイ料理って、本当に一皿に驚くほどたくさんの材料を使う。タイの宮廷料理の長く華やかな伝統を垣間見る気がした。 こちらは海老を使ったヌードル。スープの深い味わいにこれまたノックアウト。海老はぷりぷりで新鮮そのもの。 また別の日のメニューはレッドカレーとスリッパロブスター(セミエビ)。右の筒はモチ米。タイ米がさらさらしているせいか、もちもちのモチ米とタイカレーを合わせるのが案外好きだったりする。でも、タイではカレーとモチ米は一緒に食べないそう(日本人って変な食べ方をするな~、と思われただろう・笑)。カレーには普通のタイ米が自動的についてくるので、この日はご飯づくしになってしまった。 セミエビってこんなに甘くておいしかったっけ。日本で食べる大味のロブスターとは大違い。レッドカレーは思ったほど辛くなく、上品な味わい。 またある日のメニュー。イエローカレーと鶏肉入りココナッツスープ。イエローカレーはまったりとした食感で非常に甘かった。ウエイターによると子供向けだとか。ココナッツスープは見た目は白いけれど、基本的にトムヤムクン。ココナッツで少し口当たりがやわらかくなっている。辛みと酸味の幸福なマリアージュ。そこにほんの少し甘味が隠れている。まったくタイ料理ってのは、すごい。ヨーロッパの料理にはこんな大胆に、対極的な味わいを融合させるテクニックはないんじゃないか。 朝のブッフェからデザートが山のように出るので、1日の甘味許容量を朝食ですでに超えてしまい、夕食ではほとんどデザートまで行き着けなかった。一度だけ頼んだモチ米で作ったお団子入りココナッツ。タピオカココナッツを上等にしたようなもの…… なのだが、強烈に甘く、しかもなぜか塩味も感じる。さらっとしたココナッツの汁ともちもちしたお団子の食感も新鮮。タイ風の冷やし汁粉といったところか。 ゆったりと食事し、また屋形船に乗って帰ってくると、夜遅いロビーは、すでに人影もまばら。エレベーターボーイの流麗な所作に導かれて、部屋のある階へ。 注:外部から食べに来るなら、ロビーのコンシェルジェで「テラス・リム・ナーム」と言って予約してもらえばいいと思う。行きかたは、ロビーからテラスに抜けていく。途中で「どちらへ?」聞かれたら「ボート?」と言えば広いテラスのレストラン(ここも)を横切って船着き場へ案内してくれる。「テラス・リム・ナーム」が予約でいっぱいのときは「ザ・ヴェランダ」でも、また味の違うタイ料理(と各国料理)が味わえる。「ザ・ヴェランダ」はロビーからテラスに抜けるとすぐ。船に乗る必要もない。ちなみに、グリーンカレーの味は、「ザ・ヴェランダ」より「テラス・リム・ナーム」のが上。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.06.29 16:38:33
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