|
テーマ:タイ(3328)
カテゴリ:Travel(タイ)
タイ編の最後に、バンコクのタクシー事情について感じたことを。
空港からメータータクシーで市内に行く場合は、高速代65バーツ(215円)はメーターとは別にお客負担になる。これはキッチリその場で払おう。運転手に払わせてしまうと、あとからたとえば、「100バーツ」と言われても水掛け論になる。それと空港から市内に行く場合は50バーツの紹介手数料もかかるので注意。 ちゃんとしたホテルやレストランでタクシーに乗るのは、もっとも安心感がある。英語のできるボーイが運ちゃんに「どこどこ」とタイ語で言ってくれるし、トラブったときの連絡先もメモでわたしてくれる。 だが、一度唖然とするようなことがあった。 ワットトライミットの時価120億円ともいわれる黄金仏を見に行ったときのこと。一度、うっかり別の仏像をそれと勘違いして(詳しくは6月13日のエントリー参照)しまい、再度訪れたのだが、最初のときは運ちゃんがホテルのボーイに詳しく道を聞いていた。ワットトライミットと言っても知らなかったのだ。 2回目のときは、「ふんふん」という感じでわかっているかのようだったので、ホテルのボーイも説明はしなかった。ワットトライミットはそれなりの観光スポットだから、タクシーの運転手も知っているのかと思って乗っていた。ところが、途中から、どうもオカシイ。 「道が違う」 と連れ合いが言い出す。こちらは地図をもっていたし、2度目なので道はだいたい頭に入っている。明らかに通り過ぎて別の道を行っている。こちらが「わかっている」ことに気づいた運ちゃんは、途中で車を停め、なんと、道に立ってた一般人に(!)道を聞き始めた! 「ああいって、こういって」 と指差しで説明しようとする一般のおっさん。運ちゃんは、相当ボケらしく飲み込めない。連れ合いは地図を見せて、説明しようとする。だが、地図はまったく読めないらしく、見ようともしない。あとから聞いて知ったのだが、バンコクのタクシー運転手は、たいてい通りの名前で場所を覚えていて、自分の頭の中の道順にそって行くらしい。 理解力の乏しい運ちゃんに業を煮やしたのか、なんとそのおっさんが、タクシーの助手席に乗り込んできた! ぼーぜん まだそれほど遠くまで行っていなかったので、グルッと回って目指すワットトライミットに無事に着き、おっさんんが一緒に降りて入り口まで案内してくれた。 メーターは45バーツを指していた。自分で間違って時間をロスしたくせに、運ちゃんはその金額を要求した(おいおい!)。 「知らなかったのは、そっちだろ」 と睨みをきかせて40バーツだけ払って出た。そして、道案内をしてくれたおっさんに5バーツをお礼にあげた。 これがそうやって、ようやくたどり着いたワットトライミットの純度60%の金でできた高さ3メートルの黄金仏。純度の高さはさすがの輝きを放っていた。だが、十分に注意してほしい。現在のところこの黄金仏は、本堂(に見えるお御堂)ではなく向かって左奥の特別な場所に置かれている、ちょうど今、ワットトライミットの右に新たなランドマークとなる大寺院が建設中で、完成のあかつきには、このブッダはそのゴージャスさにふさわしい壮麗な寺院に鎮座することになるという。そうすれば、もうMizumizuのように間違えて見逃す人も減るだろう。そうそう、ワットトライミットはお寺自体は朝6時から開いているが、黄金仏の拝観は朝8時からだ。 すでに書いたように、アユタヤから帰ってきた駅で乗車拒否に会ったり、完全に安心はできないバンコクのタクシー事情。とにかく「地図を見せるのは無駄」「英語はわからない人も多い」「タイ語で書かれたものだとわりと通じる」「知らないといわれたら乗らない」が基本かな、と思う。街中ではメータータクシーはたくさん走っているので、拾うのには困らなった。 「オリエンタル・ホテル」というと、急に「100バーツ」などと吹っ掛けてくる運転手には「メーターを使え」と冷たく命令すれば、たいていメーターを押してそれきり何も言わない。特に暴力的な運転手には会わなかったが、中にはクスリ漬けのマトモでない運転手もいるらしい。 全体的な印象としては、タクシーはとても安く助かった。市内ならだいたい遠くても80バーツぐらいで行くし、どんな近場でも50バーツ要求してくるトゥクトゥクよりリーズナブル。 交通のマナーも比較的いいように思う。少なくとも中国や韓国のようなデタラメな怖さはない。運転手にはちゃんと譲り合いの精神があり、レンタカーでも運転できそうな気がする。そういった秩序は日本人には心地よい。 だが、どうしても感じざるをえないのは、タイという国の観光が、いかにセックス産業に頼っているかという現実。夜は盛り場と化すエリアにたむろしてる白人観光客の多さには気分が悪くなった。名所・旧跡には日本人が多いのだが、普通の観光客が来る場所には案外白人は少ないのだ。少しはアジアの文化にも興味をもったらどうなんだろう? タイ人の人身売買について、アメリカの人権団体は日本をやたら非難する。もちろん「バナナ(外見は黄色でも一皮向けば白い)」と言われて嫌われている日本人のおっさんも、基本的には同じ穴のムジナなのだろうけど、他国を非難するより前に、明らかに買春目的でタイに大挙して押し寄せてる自国民をちっとは諌めろよ、と思ってしまった。しゃべってる英語を聞けばわかるが、たいたいアメリカ英語かオーストラリア英語だ。悪評高いドイツ人はそれほどいなかったように思う。児童買春とか、もっと目的がハッキリしているアンダーグラウンド地帯にこっそり行っているのかもしれないが。 アジアでは日本と同じく、一度も欧米列強の植民地になったことのないタイが、今や植民地気分で官能を解放しに来る先進国の外国人の餌食になってる姿は哀れだ。犠牲になっているとも知らずに犠牲になるのは、何も知らない、貧しい一般の若い(ときには幼い)男の子や女の子。これが寛容さで知られる「微笑みの国」のもう1つの顔なのだ。もちろん「買う」ほうが悪いのは間違いないが、国全体がこんな状態だというのは、それを黙認し、暗黙の奨励を行っている権力が必ずいるはず。おそらく、セックスがらみの観光でタイに落ちるお金は膨大なのだろう。加えて鉄道沿線に延々と続く、水も電気もガスもないであろうバラック地帯に明らかな凄まじい貧困。たった1週間、ほとんど夜の街に出なくても「わかってしまう」ところが空恐ろしい。 オリエンタル・ホテルのロビーでも、明らかに商売のネエちゃんとイチャついているゲルマン系のお兄さんがいた。タイではマナー違反のはずだし、そもそもこの兄さん、自国の一流ホテルのロビーでそんな行為に及ぶだろうか? ホテルにはバーもあり、そこならおあつらえ向きに暗いのに、バーなんかに行ったら3000円はかかるから、タダのロビーで済ませているのだ。うっかり2~3杯飲んだら、ネエちゃんより高くなる。 そんなお兄さんに従順に尽くすネエちゃん。首筋を愛撫したり、やさしく手を握ったり、親密に見せようと必死なのがよくわかる。どうやったって対等な恋人同士には見えないのに。「唐行きさん」は日本ではすでに遠い過去だが、アジアではまだ現在進行中の現実だ。強い国家とその国民が、弱い国家とその国民を蹂躙する。そして、弱い者は苛烈に鞭を振るわれれば振るわれるほど、尻尾を振って媚びることを覚える。かつでは銃だったのが、札束に変わっただけで、人間は今も昔も何も変わっていない。 オリエンタル・バンコクの請求書にもタイの植民地ぶりを感じた。請求書は当然バーツで金額が記載されているのだが、宿泊費が1日ごとに微妙に変わるのだ。なぜかと思ったら、ドルで宿泊費を設定していて、その日の為替レートによってバーツに換算して請求するから。1週間の滞在で、一番安い日と一番高い日で日本円に換算すると200円ほどの差があった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.10.09 16:56:36
[Travel(タイ)] カテゴリの最新記事
|