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カテゴリ:Travel (イタリア&シチリア)
遺跡エリアのとっぱずれ、ヘラ神殿からコンコルディア神殿を望む。 パレルモで堪能したのは12世紀を中心とした中世ヨーロッパ建築。アグリジェントでは、紀元前5世紀の世界に迷い込む。シラクーサに行けば、そこはバロックの時代… 四国よりも一回り大きいだけの島、シチリアの効しがたい魅力は、こうした歴史の重層性にある。 アグリジェントの遺跡エリアのそのほかの見所としては… ヘラクレス神殿、遠くから。 ヘラクレス神殿、至近距離から。現存するのは、直列に並んだ数本の柱のみ。 それに… カストール・ポルックス神殿のごく一部。 ヘラクレス神殿、コンコルディア神殿、ヘラ神殿。そして道を隔てた反対側のエリアにカストール・ポルックス神殿。失われたゼウス神殿と合わせると、少なくとも5つの大きな神殿が、わずか3キロあまりの距離に林立していたことになる。 さぞや、壮大な眺めだっただろう。 昨日書いたように、最大の規模を誇ったゼウス神殿は、修復不可能なほどバラバラに壊れている。今はわずかに、テラモーネと呼ばれる、神殿上部を飾っていた人間の形の「屋根の支え」が見られるばかり。 この「巨人」テラモーネだけで、高さ8m。遺跡エリアに横倒しに転がっているが… これはレプリカ。本物はすぐ近くにある国立考古学博物館で展示されている。 「ホントにこんなものが何体も、しかも神殿の上の方にあったのかよ」と、信じられない思いだった。 それが、今から2400年以上前だというから、なお驚く。 世界遺産にも指定されているこの地域には、もう新しくホテルを建てることはできないのだが、以前からあった邸宅をホテルに改造したホテル・ヴィラ・アテネは、遺跡エリアに至近という最上のロケーションを誇る。 泊まるなら、ゼッタイに「神殿の見える部屋」を指定しよう。他の宿泊客のコメントを読むと、「湿っぽくて眺めもよくなかった」とあったが、Mizumizuたちは、神殿ビューを指定したので、広いテラスのついた開放感抜群の部屋に泊まることができた。 なんといっても最高なのが、夜ライトアップされた神殿を、テラスはもとより、ベッドの中からも眺められること(あの部屋だけの特権だったのかも)。 ギリシア式神殿というのは、まさに建築美の1つの頂点、人類の到達した美の極致だ。いまだにパルテノン(つまりはギリシア式神殿)を模した建物が世界中で作られているのも故なしとしない。 このヴィラ・ホテル。併設のレストランも味がよく、部屋も満足できるものだったのだが、レストランの請求でまたも… ディナーのあと、支払いをしようと思ったら、「部屋付けにします」と言われて請求書をチェックしなかった(少なくとも食事を終えたすぐ後、請求書をもってきてもらって確認しておくべきだった)。 チェックアウトのときに見たら、案の定、1つしか頼んでいない水が2つになっていた。指摘すると、フロントの男の子がレストランに電話をかけて間違いを確認した(←明らかに便宜上の手続き。いつもやってることですから)。受話器を置いて、間違いだった(ワザとだけどね)ことは認めたのだが、 「たいした金額でないからいいだろう。もう請求書は印刷してしまったし」 なんて、開いた口がふさがらないような身勝手な台詞をかましてきた(呆)。 「なら、現金で戻せ」 と言うと、 「ノー」 と気後れもせずに、拒否(苦笑)。 なおも、「ちょっとだけだからいいだろう」と、ねばる兄ちゃん(これってマフィア流の社員教育か?)。 「ノー」 とこっちも負けずに拒否。そんなにちょっとだけなら、キャッシュで返しなよ、まったく。水1本でなんでここまでネバるかね。間違えた(当然ワザとだけど)のはそっちのクセに、謝罪する気などさらさらなく、まるでこっちがクレーマーのような扱い。 さんざん押し問答して、水の金額を戻した請求書を作り直した(←誰でもすぐできる作業)。 で、サインをしたあとに気づいたのだが… なんと、1人前のリゾットを2皿に分けてもらったのが、ちゃっかり2人前になってるではないか! 水だけじゃなかったのね。敵(敵だっけ?)もさるものだ。 やられました。そのリゾットは「マザーオブパール」というしゃれたネーミングで、味はとてもよかった。ただ、1人前を分けただけだったことは明らか。そう注文したし、めちゃくちゃ量が少なかったもの。 やれやれ。 イタリアのレストラン、ホテルだろうと街中だろうと、星の数が多かろうと少なかろうと、ぼるところは習慣的にぼる。もちろん、ちゃんとした商売しているところも多いが。 水1本しか頼んでないのに、「x2」なんて書いて目の前でダマすウエイターもざら。指摘すれば、たいていすぐ訂正する(今回のホテルは、ちょっと例外的にボクちゃんがネバっていたが)。料理の値段そのものをごまかす店もあり。 皆さん、くれぐれもご注意を。間違いを指摘するのは日本人には勇気がいるが、ちゃんとした商売をしている正直者のほうが損をするような風潮に、同調すべきではない。 シロッコが到来し、砂塵の街と化したアグリジェントから、ボロ電車でパレルモに戻った。 途中、乾燥した荒野の無人駅に電車が停まったとき、ホームにかつてあったのかもしれない花壇から、朽ちたような駅舎の壁のほうに向かって蔓性の植物が伸びてきていて、朝顔を小ぶりにしたような花を1つだけ咲かせていた。 地を這うようにして伸びた、細い蔓の上の小さな小さな紫の花は、信じられないほど強烈な、濃い色彩を放っていたのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.04.30 22:34:57
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