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カテゴリ:Travel (インドネシア、バリ)
<2月14日のエントリーから続く> 1ヶ月ぶりに再開します。終わってなかったバリ島の旅行ネタ。 キンタマーニ高原からウブドの町へ向かう途中で、ガイド氏に連れて行ってもらった。ヒンドゥー教寺院「ティルタ・エンプル」(拝観料:6,000ルピー、60円)。 湧き水を聖水として崇めているらしい。こうした聖水信仰は日本にもあるが、ヨーロッパのケルト民族にも見られる。フランスのシャルトル大聖堂は、ケルト人の聖水信仰の地に築かれている。 ヨーロッパに根強いアニミズム偏見はおそらく、一神教のキリスト教徒が征服し、駆逐したケルト民族がアニミズム信仰の民であったことと無縁ではないと思う。 熱帯の島らしい、緑したたる巨木とバリ・ヒンドゥーを象徴する割れ門。天気は悪かったのだが、しっとりとした霧めいた空気が、「観光の島・バリ」が元来もっていた神秘的な魅力を返って露わにしてくれるようだった。 南ヨーロッパのシチリアも花があまりにきれいだったけれど、バリ島も、花と思いっきり広がった緑の葉の取り合わせに、何度となく心を奪われた。この島の主役はやはり植物と鳥かもしれない。 バティック染め(たぶん)の民族服でゆかしく歩く土地の人々。男性も女性も長い布を腰に巻いて。その後ろ姿がたとえようもなく美しい。 大木の下にはお供え物。いわゆる巨木信仰――もちろん、日本と共通している。 女性器と男性器が対になったご神体。これもあまりに日本と同じで驚く。日本にもかつては性器をご神体として拝む神社が数多くあった。西洋化とともに、多くが隠されてしまった(野蛮だ、卑猥だと、あいつらウルサイからね)が、バリ島では、一般人が堂々と拝んでいる。 お供えものを置く人々。バリ島の人は、本当にまめにお供えをする。地面に置かれているのもあるので、よい子の観光客の皆さんは、踏まないように気をつけましょうね。 これは、現地語で「クルクル」。クルクルとは「鐘」のことだとか。日本語の擬音語はインドネシア語からきたという説もある。また、古事記の海洋神話のルーツはインドネシアにあるとも。 そういえば、沖縄料理の「チャンプルー」も、ほぼ同じ発音の同じような料理がインドネシアにある。 海伝いに文化が伝来したのは十分ありえる話だが、インドネシアと日本の間にあるフィリピンには、そうしたものがあまり残っていないというのも不思議だ。実際、フィリピンに行って日本の風俗・風習に似たものがあると感じたことはないのだが、バリ島ではビンビンに感じた。 小さな島ゆえに、原始的なものが残ったのかもしれない。 地べたにベタンと座る風習も、実は日本も昔そうだった。古い絵巻物などには、町角で地面に腰を降ろして話し込んでいる町人やら武士やらの姿が、しばしば描かれている。こういう風習が嫌われるようになったのは、いつぐらいからなのかな? やはりカネで「名誉白人」の地位を買って、それで白人と同等になったと喜んでいた時代ぐらいから? とすると、最近の若者が地べたにベタンと座ってしゃべっているのは、案外由緒正しき先祖帰りかもしれないな(笑)。 こちらがお寺のハイライト、湧き水の出る池・・・ しかぁし。 雨だったせいか、さっぱりきれいじゃない。「晴れているととてもキレイです」と、ガイド氏が残念そうにフォローする横でMizumizuが内心思っていたのは・・・ 「弁天池と変わらんじゃん!」 ということ。 これが、その弁天池。 弁天池を知らないであろう多くの日本人のために説明しておくと、それは山口県美祢郡にある別府厳島神社(←九州の名所と広島の名所をパクったとしか思えないお名前)にある湧き水の出る池のこと。 こちらのサイトをどうぞ。あらためてこのサイトを見ると・・・ティルタ・エンプルと別府厳島神社って、ソックリじゃあ、ありまへんか? 弁天池はMizumizuの実家からスグ。ティルタ・エンプルまでは、日本から飛行機に7時間半乗り、ガイドを1日90ドルで雇ってホテルからはるばる・・・ とはいえ、この沐浴が見られたのは興味深かった。湧き水の出る池のすぐ下で、体を清める人々。 「禊ぎ」の宗教的イメージとはほど遠い。どっちかというと、家族みんなでシャワー替わりに入っている・・・って空気。聖なる水のはずが、池にペッとツバ吐いてるオジさんまで。オイオイ。 オバさんが、「ほら、早く洗っちゃいなさいよ」なんつってる雰囲気。バリの人たちの信仰には深刻さがない。ここでも、体きれいにして、ついでにご利益もあったらいいな・・・とチャッカリしている感がある。 宗教行事を身内同士のイベントにしてしまう庶民のいいかげんさとしたたかさ――これも、ちょうど日本人が年始に1度だけ、家族や友人とご利益もらいに神社に初詣に出かける、そのノリに似ている。 日本人は全然信心深くないのに、あの初詣だけはなくならない(それも、キリスト教徒でもなんでもないのに、クリスマスだなんだと騒いだすぐあと)。本当に不思議な民族だ。バリ島の人々も信仰や風習をとても大切にしているのだが、どこか緩くて、適当な部分がある。それが極東の島国の住人と、変に共通しているのがおもしろい。 ガイド氏も、「私はバリ島生まれだから、ヒンドゥー教徒です」と言いながら、「でも、牛食べちゃいます」「断食は・・・おなかペコペコになるから、食べちゃいます」とのこと。 そういえば、「神さん構うな、仏さんほっとけ」と昔、そこらのオッサンが言っていたが・・・ それが一番平和で賢いかもしれない。
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最終更新日
2010.03.18 15:42:39
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