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ヴィルフランシュにあるホテル・ウェルカムは、ジャン・コクトーの常宿として有名。 位置関係は、このヴィルフランシュの地図で左上の印がバス停(ニースとマントンの間)、海沿いにホテルがあり、右端が鉄道駅。 ホテルの全景。ジャン・コクトーは向かって左端にある22号室と23号室を常宿にしていた。 予約時に「ジャン・コクトーの大ファンなので」と押しまくり、23号室を手配してくれるように頼んだ(22号室のほうが広いので高くなる)。 フランスという国は、とにかく最後の最後までハッキリしたことを言わない。ホテルの部屋指定さえ。「押さえるように全力を尽くす」とメールで返事が来た。希望がないならその時点で押さえて、あとからリクエストがきても先約ありで断ればいいことなのに・・・ 部屋指定でここまでもったいぶる理由がわからない。わからないが、たぶん、何かの手配ミスでダブルブッキングなどしてしまった場合に備えて、そういう言い方をしているのではないかと思う。 とまれ・・・ ホテルに着いて、再度確認すると、無事23号室が手配されていた。 ホテルのエントランスには、ホテルゆかりの文化人・著名人の名前を浮き彫りにしたオブジェが立っている。コクトーの名前のすぐうえに、オスカー・ワイルドの名があるのは・・・(苦笑)。 入り口にはジャン・コクトー風のモザイクタイル。 フランシーヌとデルミットと一緒に写ったコクトー晩年の写真。 こちらはピカソとコクトー。 ホテルが唯一所有しているという、コクトーのオリジナルドローイング。 他はすべて複製の類いということだ。バーのこの照明もコクトー作品の模写。 エレベーターの絵は、近くのサンピエール礼拝堂のコクトーの壁画を模写したもの。 エレベーターの扉の絵柄は各階、全部違っている。 闘牛士とか・・・ 竪琴と一緒に描かれているので、これはオルフェ? ちょい、情けない・・・ ここまで徹底的にパクって、権利関係はどうなっているんだろう? いくらコクトーが常宿にしていたホテルとはいえ、ここまでやっていいんだろうか?? 23号室は、レモンイエローで統一された清々しい空間だった。内装はずいぶんと新しい。リニューアルしたばかりではないだろうか。 渦巻き型のギボシに、コクトーの筆跡を真似た文字、それにコクトーのポスター。 大きな窓を開けると、すぐそばに海。一瞬、潮騒のさざめきが聞こえ、すぐにそれは、目の前の車道を走るクルマのエンジン音にかき消された。 ベッドは大きい。というか、部屋が狭い。 ベッドサイドの照明は、コクトーのマークの星形。本当に、徹底的にコクトー風のインテリアにしている。 ホテルの説明書きの紙の扉も、ホテル所蔵のコクトーのオリジナルドローイングのコピー。 ジャン・コクトーには「公式」の部屋と「非公式」の部屋があった。狭い23号室が「非公式」の部屋で、実際にはこちらに宿泊。広い「公式」の部屋22号室は、警察の手入れがあったときのためのもの。 つまり・・・23号室でアヘンを吸い、警察の調査が入るときは、何もない22号室に彼らを迎入れた、というわけ。 たまたま22号室も空いているということで、中を見せてくれた。
こちらのインテリアは赤で統一されており、「美女と野獣」の写真が飾ってあった。 角部屋なので23号室より広く、二方にベランダがある。だが、内装は真新しく、コクトーが泊まっていた時代をイメージすることは不可能だった。 ホテルのスタッフは非常に感じがよく、シェーブル・ドールとは雲泥の差だった。あとでわかったのだが、このホテル、アンケートがあって客が従業員の評価をするシステムになっている。 以前もリヨンで、妙にウエイターやウエトレスが感じのよいレストランだと思ったら、あとからアンケートが回ってきて、なるほど、と謎が解けたことがある。 つまり、感じの悪い態度を取れば、チクられる可能性があるというわけ。こういうシステムのもとだと、フランス人もわりあい感じよく働く。 フロントのお兄さんが、コクトーとホテルの逸話を話してくれた。「コクトーは、ラディゲを失って絶望していたんだ。とても彼を愛していたからね。このホテルに来たのは、そんなときだ。ここでは誰もコクトーを知らなくて、彼に構わなかった。それでコクトーは、自由にここでものを書くことができたんだよ」。 当時はきっと、もっとずっと質素なホテルだったんだろう。クルマも通らなかっただろうし、バカンス客もこんなにいなかっただろう。 それでも、コクトーの部屋からは今も、海の響きに混じって、働く漁師たちの声がすぐ下から聞こえてくる。網を直し、舟を出し、やがて魚を積んで戻ってくる。釣った魚はすぐにその場で売られる。 こんなにも海と生活の匂いを近くに感じられるホテルも珍しい。どんどん観光地化の進むコートダジュールではもう、ここぐらいしかないかもしれない。 朝食は11ユーロ。海のすぐ近くのホテルのバーで。値段のわりに美味しいといえる。これもコートダジュールでは珍しいかもしれない。
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