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カテゴリ:Travel (インドネシア、バリ)
もし、バリ島初心者で滞在期間が短く、バロン・ダンスとケチェック・ダンス(ケチャ)のうちどちらか1つしか見られないというなら、ケチャック・ダンスのほうをお奨めする。もちろん、エキゾチックでいながらどこか懐かしいガムランの響きも捨てがたく、両方見るほうがベターであることは言うまでもない。 Mizumizuたちは、ケチャック・ダンスをデンパサール近郊で見た。ガイド氏によれば、バリ島で観光客相手に披露されるケチャの質は優劣が激しく、このダンス集団なら、バリ島ナンバーワン・ケチャに選ばれたこともある折り紙つきなのだという。 夕暮れ迫る舞台。雰囲気はバッチリだ。 火を灯す男性。しかし、微妙にカメラ目線なのが・・・(苦笑)。 猿に扮した上半身裸の男性が「チャッ、チャッ、チャッ」と大合唱し、その中でラーマ王子とシータ姫の舞踏劇が進行していく。 この大合唱こそ、ケチャの真髄。たいへんな迫力。男性の声の力強さと野生の生命力が周囲の空間を満たし、魂を揺さぶる。まさに必見。バリ島に来たら、絶対に見るべき。 なのだが・・・ 相変わらず(?)、ヤル気のない「猿」役さんがチラホラ。「チャッ、チャッ、チャッ」と口を動かしながら、舞台上からチラチラこっちを見ている。 「チェッ、今日は客の入りが悪いぜ」 みたいな顔つきだ(苦笑)。 これでナンバーワン・ケチャというなら、そのほかの観光スポットでやっているケチャはどんな体たらくなのだろう?? 舞踏劇の筋は、日本語の説明書きがもらえるが、簡単に言えば、悪の大王ラワナが連れ去ったシータ姫をラーマ王子が救い出し、結ばれるというもの(←いくらなんでも簡単すぎる?・笑)。 途中、例によって「猿」が大きな役割を果たす。捕らわれの身となったシータ姫のところにラーマ王子のメッセージを届けるのも白い猿、窮地に陥ったラーマ王子を救い、援軍を差し伸べるのも猿の王様スグリワ。 神に限りなく近い存在である「王子」とともに、常に猿がいるというのも、日本の記紀神話に酷似している。アマテラスの孫であるニニギが天から降臨したとき、あらかじめ待っていて先導役を果たすのが、「猿」の文字をもつ猿田彦大神。そして猿田彦大神は、今も日本各地の神社で祀られている。 記紀神話との類似性を、いきなりインドネシアの小島で見せられて、真犯人のわからない探偵物語の世界に迷い込んだような気になった。 日本ではもう隠されてしまった性器信仰、まだ日本にも概念としては残っているご神木信仰もバリ島には歴然としてある。バリ島の葬礼の儀式をテレビで見たことがあるが、それも日本の「村をねり歩く」祭事の雰囲気にあまりに似ていた。 ラーマ王子の物語が終わり、夜の帳が下りると、舞台ではサンヒャン・ジャラン・ダンスが始まる。 サンヒャンとは神聖の意味。ジャランは馬の模型で、篝火の右側にいる青年がまたがっているもののこと。 トランス状態で火の中に突入する青年。本当に裸足のまま火中に飛び込み、踊ってみせる。途中、火を口に含んでみせる信じられないパフォーマンスもあった。 舞台にいる他の人々は、「きゃ~」とばかりに飛んでくる火の粉を避けようとする。その(ややオーバーな?)ヘタレっぷりは、トランス状態の神聖な青年の勇姿を盛り上げるためなのか、本当にちょっとでも熱いのがイヤなのかわからず・・・ だが、「篝火の中に飛び込む聖なる青年」の迫力は文句なしだった。 ケチャ自体も、数人の「ヤル気のない猿役さん」がいた以外は、驚きと楽しさをもって入り込めるパフォーマンスで、他のケチャを見たことがないので、比較はできないが、「見てよかった」と十分満足できるものだった。 ケチャック・ダンスは、島に伝わる「サンヒャン」というトランス・ダンスに起源をもつが、それをラーマーヤナ物語を取り入れ、現在私たちが見ている様式に整えたのは、実は西洋人だ。 それについてはまた、次のエントリーで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.07.15 16:04:07
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