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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2014.11.09
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昨夜起こったフィギュアスケートのグランプリシリーズ中国大会での羽生選手とエン・カン選手の衝突事故。

あまりに衝撃的な映像に、You tubeにあげられた動画には、すでに70万件以上のアクセスが殺到している。

https://www.youtube.com/watch?v=75-dxXoFGLc

これほど長く選手が氷上から動けず、激しく出血しているという状況は、Mizumizuも見たことがない。そして、案の定、「周囲は棄権を薦めたが、本人の意思が固く強行出場」という、誰にとっても最悪の選択がなされ、演技中に足にさらなる負傷を負いながらも滑り切り、点数をみて号泣する羽生選手に後ろ指をさすわけにもいかず、周囲は彼の勇気を褒め称え、さらには美しき根性の物語にまで仕立てあげるという流れ。これもまた、誰にとっても最悪な展開なのだ。

はっきりと、もう一度言おう。これは「最悪の選択」「最悪の展開」だ。つい先日書いた、日本フィギュアスケート界に蔓延する選手への過剰な負荷強要と、それを美談にする商業主義。これはおかしい、行きすぎだとどこかで思いながらも、口に出せず、「さすがに五輪王者になる人は違うね」「後遺症がないといいですね」の表層的なきれいごとで傍観するだけの他人。こうした他人は、王者が深刻な怪我で舞台から退けば、さっさと忘れて次の王者に関心を寄せる。

いくら超一流のアスリートといっても、羽生選手はまだ19歳の少年なのだ。

社会的にも人間的にも経験の足りない、ましてや医学知識などなく、試合に向けて高揚・興奮状態にある若い選手の意志を優先させた結果、死亡事故につながるケースが、すでに格闘技や激しい身体的接触をともなうスポーツでは起こっている。

フィギュアスケートも男子は4回転時代に入り、トップスケーターはものすごいスピードで滑っている。その2人が衝突したら、ダメージは計り知れない。

オーサーは「脳震盪がないか慎重に検討した」と言ったようだが、それは脳震盪の危険性に対する認識が甘いのではないか。

たとえば、激しい肉体的接触を伴うラグビー界の「選手を守る」取り組みを見てみよう。

http://www.rugby-japan.jp/about/committee/safe/concussion/guideline.pdf

このガイドラインでは、「脳震盪とは何か」という基本的な定義から始まり、その危険性、対処の方法まで細かく規定している。これは選手の意志やコーチやトレーナーの意向といった感情的なものよりも上位に位置づけられる、皆が守べき規定なのだ。

今回の羽生選手にも当てはまる部分は以下。



脳振盪の見分け方

受傷後に以下の兆候、または、症状のいずれかが認められたら、そのプレーヤーは脳振盪の疑いがあるとみなされ、ただちにプレー、または、トレーニングを止めさせなければならない。

目に見える脳振盪の手がかり – プレーヤーに認められるもの

以下のうちの1つ、または、それ以上の目に見える手がかりがあれば、脳振盪の可能性がある:

• 放心状態、ぼんやりする、または、表情がうつろ
• 地面に横たわって動かない / 起き上がるのに時間がかかる
• 足元がふらつく / バランス障害または転倒/協調運動障害(失調)
• 意識消失、または、無反応
• 混乱 / プレーや起きたことを認識していない
• 頭をかかえる / つかむ
• 発作(痙攣)
• より感情的になる / ふだんよりイライラしている


1つ以上、ですよ。つまり1つでも当てはまれば、「脳震盪の疑いがあるとみなされ」「プレーは止めさせなければならない」のだ。

今回の羽生選手は明らかに、しばらく「横たわって動けず」、起き上がってもしばらくは「表情がうつろ」で、「足元がふらついて」いたではないか。

実際に脳に何が起こったかは、スケート会場で診断などできない。結果として大丈夫であったら、それでいいということではなく、「疑い」のある症状が見られたら、ただちに安静にして、専門医師の検査を受けるべきなのだ。

Mizumizuが子供のころ、母親によく言われた。「クルマにぶつかったら、たとえ自分で大丈夫と思っても、『大丈夫です』と言ってはダメ。絶対にダメ。必ず運転手と一緒にすぐに病院に行くように」。

この「人の親」なら当たり前の心構えを、フィギュアスケート界の人間も思い出してほしい。

Mizumizuは、1年のうちの数か月を北海道の札幌で過ごしていたこともあるが、凍った路上で転倒し、自分ではなんということもないと思って病院に行かずに仕事に行った人が、半日後に亡くなったという話もある。

今回の羽生選手の状態は、今おそらく検査を受けているだろうから、まだはっきりとしない。もちろん大事に至らないでいてくれることを願うが、たとえ結果が「最悪」でなくても、こうしたケースに対する指針を厳格に決めておかなければ、いずれ本当の「最悪の事故」も起こるだろう。それからでは遅すぎる。

今回の衝突事故の相手が中国選手だったということで、エン・カン選手を非難する人もいるようだが、映像を見る限り、今回はエン・カン選手が「故意に当たってきた」というぶつかりかたではない。(過去に伊藤みどりにぶつかってきたフランスの選手が、関係者の中では悪名高い、「当たってくる選手」だったことがあるのは、以前述べた。そういう選手が今はまったくいないとは、もちろん言い切れないが、今回はそうではない)。

ファンの方も、ただ単に誰が悪いかの不毛な水掛け論に参加するのではなく、ラグビー界のような取り組みをフィギュアスケート界でも取り入れるよう働きかけてほしい。

追記:なぜ「感動の美談」にすることが最悪の展開なのか。その答えになる記事が出ている(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授、内田良氏)。ご一読を。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20141109-00040588/

羽生選手の姿に「感動」の問題点
この週末(11/8-9)、スポーツ医学の中核を担う「日本臨床スポーツ医学会」の学術集会が東京で開かれている。脳震盪(のうしんとう)に関する調査研究がいくつも発表され、日本のスポーツ界において、脳震盪への対応が喫緊の課題であることを感じさせてくれる。
まさにその最中に、羽生結弦選手の事故が起きた。それは端的にいうと、(脳震盪であったとすれば)その事後対応は、多くのスポーツドクターが目を疑う光景であったといってよい。
フィギュアスケートのGPシリーズ第3戦。羽生結弦選手は、フリー演技前の練習中に中国の選手と正面衝突し、顔面からリンクに倒れていった。羽生選手は、一度は起き上がろうとしたものの起き上がることができず、リンクに仰向けになった。脳震盪の症状があったのではないかと疑われる。
なお補足までに言っておくと、「脳震盪」とは、意識消失のみを指すわけではない。頭痛、吐き気、バランスが悪い、めまい、光や音に敏感など、その症状は多岐にわたる。このことさえ、一般にはまだよく知られていない。
話を戻そう。羽生選手は、倒れてから10分後には練習に復帰した。そして、さらに本番にも登場した。本番は転倒をくり返しながらも、幸いにしてなんとか演技を終えることができた。
さて、ここで最大の問題は、その姿を、マスコミや観客、視聴者は、「感動した」「涙が出た」とたたえたことである。
羽生選手側にもさまざまな事情はあっただろう。今回はそのことは置いておくとして、この事案から、脳震盪の怖さと日本のスポーツ文化のあり方について考える必要がある。












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最終更新日  2014.11.09 21:28:35
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