今回のファイナルで3位に食い込んだトゥクタミシェワ選手の復活には脱帽するしかない。フリップ、ルッツともクリーンにエッジの使い分けができ、ジャンプも高さのある素晴らしい質。この選手がオリンピックに出場経験がないというのは、本当に信じられない。ロシア女子の層の厚さに加えて、4年に一度の最高の舞台に、ただでさえ選手生命の短い女子がタイミングを合わせる難しさを改めて思う。
ショートでトリプルアクセルを入れることのできるトゥクタミシェワ選手。だが、3+3回転がトゥループ+トゥループというのは、どうしても今の世界トップの女子の中では見劣りする。ショートでトゥループ+トゥループを跳んで勝てたのはソチまでだ。今世界一を目指すなら、ショートに3ルッツ(もしくは3フリップ)からの3回転連続が欲しい。
ファイナルのフリーでは、トゥクタミシェワ選手は3ルッツ+3トゥループを見事に決めて高い加点を得ている。グランプリシリーズでは失敗もあったから、決められる確率からいうと3トゥループ+3トゥループのほうが高いのだろうということが察せられる。
事実、ファイナルのフリーの3ルッツ+3トゥループ、最後に片足にのってから跳び上がるまでがやや長い。慎重に跳びにいっているなという印象。単独の3ルッツだと、あっという間に跳んでしまう。高さのあるジャンプの質といい、エッジの明確さといい、思わず、「う~ん、素晴らしい」と唸ってしまう。
紀平選手のファイナルのフリーの3ルッツ+3トゥループは、最後に片足にのってから跳び上がるまでが非常に速く、加点がつくのもうなずけるジャンプだ。ただ、セカンドの3トゥループの回転が少しだけ不安といえば不安。グランプリシリーズで回転不足を取られたこともあったように思う。
今回のトゥクタミシェワ選手のグランプリシリーズでの目標は、復活の足掛かりをつかむことだったと思うから、ショートは従来どおり、3トゥループ+3トゥループで確実にいったのだろうけれども、世界トップを目指せるということがはっきりした以上、やはりショートには3ルッツ+3トゥループを入れて欲しい。
実際、ファイナルのプロトコルを見ると、フリーで決めた3ルッツ+3トゥループには、高い加点もついており、決めれば3トゥループ+3トゥループより点数が稼げることは実証済みだ。
ワールドで是非、トゥクタミシェワ選手の3ルッツ+3トゥループを見たいと思う。そうなれば、闘いはますます面白くなる。
…と思ったら、肺炎で入院というニュースが飛び込んできた。ロシアの国内大会を間近に控えたこの時期に。
残念、あまりに残念としか・・・・・・