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2018年グランプリファイナル、女子シングルフリーの視聴率は22.6%だったらしい。生放送ではなく、すでに浅田真央以来の快挙とテレビニュースでさかんに宣伝されていたことも、この高視聴率に一役買っただろう。 やはり自国の選手が強ければ、皆「じゃあ、見てみようか」となる。羽生選手の欠場で視聴率ガタ落ちを心配した関係者は、胸をなでおろしたに違いない。 しかし、ファイナルのリンクの壁を見ていて、Mizumizuは一種の失望を感じた。並んでいるスポンサー名は日本企業だらけ。在日系が純粋な日本企業といえるかどうかという視点はあるだろうが、とりあえず日本国に本社をおく日本企業以外は、フランスの化粧品メ―カーの名前が2つばかり見えるだけだ。 https://skatecanada.ca/2018-isu-grand-prix-of-figure-skating-final/ ここにスポンサー名があるが、ISUのオフィシャルパートナーは、 アコム、バンダイ、キヤノン、シチズン、ジャパネット、木下グループ、コーセー、マルハン、Guinot(ギノー)、Mary Cohr(マリーコール)。 日本企業をスポンサーに引き込んだ関係者の努力には敬意を払うし、多くの日本企業がフィギュアスケートをサポートしてくれるのはありがたい話だが、あまりにも他国企業のサポートがないではないか。 この事実が、日本以外でのフィギュアスケート人気の凋落を物語っているように思う。 今回だって、紀平選手が活躍し、結果として勝ったから視聴率がのびたが、優勝がロシア女子だったら、22.6%なんて数字には届かなかっただろうし、視聴率が悪ければ、スポンサーも次第に離れていく。 フィギュアスケートの華、女子シングルで日本女子選手がファイナルに3人も入ったのは、確かに素晴らしいが、他はロシアだけ。北米もロシア以外のヨーロッパもゼロというのは、それだけこれらの国々で、人々がフィギュアに興味を示さなくなっていることの証しのように思う。 そりゃ、そうだろう。 こんなあからさまな採点を何年も続けていれば、ファンは離れていく。日本には浅田選手引退後、羽生結弦という不世出のスターがいたから人気は保たれたが、女子のほうには世界トップを自力で狙えるような選手はいなかった。 このファイナルで、シニアに上がったばかりの紀平選手が素晴らしい演技をしても、やや微妙だった連続ジャンプで回転不足を取られたり(よくある話だ)、GOEで思ったほど加点がつかなかったり(よくある話だ)、演技構成点が思ったほどののびず(よくある話だ)、「やはり、まだ子供っぽいですねぇ」「ザギトワ選手は若いけれど、大人の雰囲気があります」などと後付けのつじつま合わせを聞くハメになっていたら、人々はテレビの試合を見なかっただろうし、優勝を受けてのメディアの熱狂もなかった。 紀平選手は、確かに素晴らしい才能があり、素晴らしい演技をしたが、それだけで点は出ないことは、この競技を見ているファンならもうとっくに知っている。「流れ」が紀平選手に来た、という言い方が一番穏当だろうが、うまいこと段取り通りにいった、という穿った見方もできる。 紀平選手には、このまま流れにのっていってほしいし、連盟もそれをサポートしてほしい。 だが、それとは別に、日本企業以外にほとんど公式スポンサーが付かない競技って何だろう、と思わずにはいられない。紀平選手が出たことで、日本での視聴率はひとまず安泰だろう。紀平VSザギトワでメディアが過剰なまでに煽り、視聴率アゲに走ることは目に見えているし、自国に強い選手がいれば、人々の注目も集まる。 だが、この先は? 明らかにスター選手頼みのフィギュアスケート人気は、いつまで続くのだろう? メディアは今、「すでに浅田真央をしのぐ紀平」などと、盛り上げるのに必死だが、日本女子シングル史上最高の人気を誇った浅田真央をいちいち引き合いに出し、「彼女よりスゴイ」などというストーリーにもっていって衆目を集めようとするのは明らかに逆効果で、かえって紀平選手の「アンチ」を増やすだけだ。 個人がそれぞれ自由に意見を発信できるネット社会の今、個人はマスメディアの思うようには動かない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.12.15 16:38:27
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