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2007.06.22
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カテゴリ:特撮馬鹿

「仮面ライダー響鬼」の事情

『仮面ライダー響鬼』という風変わりな『仮面ライダー』がいた。
元々世界観に共通点がない(『クウガ』と『アギト』が微妙)『平成ライダーシリーズ』の中でも、
特に“流れ”から逸脱していた“奇妙な”『仮面ライダー』だった。
奇妙だったけどとても面白い作品だったし、
『仮面ライダー』の懐の深さを見せてくれた傑作と言っても
過言ではないと思う。
そんな『響鬼』に文芸チームの一員として参加し、
企画立ち上げから“放送開始直前”まで
番組に関わっていた著者が、その間『響鬼』に、
そして『仮面ライダー』に何が起こっていたかを、
ドキュメントでもなく内部告発でもなく、
ただ淡々と事実を綴った“奇妙な”本だ。

2004年2月、前作に当たる『仮面ライダー剣』の不調を受けて
(この時点で『剣』は5話くらいしか消化していない!)
来季は『非・仮面ライダー』で行くという事で企画はスタートした、
しかも『変身忍者 嵐』のリメイクを考えていたという。

そこがスタートなんだから『仮面ライダー』らしくないものになるのもわかる。

たちばな
作中「甘味処たちばな」のロケ地として使われた
「竹むら」
興味深いのは『非・仮面ライダー』としての企画が
だいぶ煮詰まった段階でバンダイから
「次も『仮面ライダー』で行ってくれ」と言われ、
著者は“いかにも”なプロットを作った。
しかし結局『仮面ライダー響鬼』となったのは
『非・仮面ライダー』の延長線上のモノだった。
要するに
制作者側が『非・仮面ライダー』として考えていたものが
『仮面ライダー』の冠を着けて世に出た
わけだ。
オレの記憶が確かならば『仮面ライダー響鬼』の作中には
『ライダー』という単語が一切出てきていない。
(『仮面ライダー』は、作中ではあくまで『鬼』)
その辺の“奇妙さ”はこうした制作経緯の“奇妙さ”から
出てきたのだろうか。


今までそんな経緯が(ここまで早い時期に)明らかにされた事はないので
ヒジョーにおもしろく読めた。




ちょっと脇道。
この本、つまり『響鬼』の企画は
「『仮面ライダー剣』はダメ」というところからスタートしてるんだけど
オレは『剣』も高く評価してる。
確かにスタートダッシュには失敗した。
だけど中盤に脚本家を変えて建て直しを図ってからは勢いが出た。
スタートダッシュ失敗の原因でもあった
主人公・剣崎のハンパなキャラクターを逆手に取った印象がある。

『仮面ライダー』とは何か?

人間ならざる力をもって
人間のために闘う
人間の心を持った
人間ならざる存在の苦悩の物語

・・・と、少し『仮面ライダーSPIRITS』に毒された(笑)定義をしてみると
剣崎は最終話でようやく本当の『仮面ライダー』になったわけだ。
全体のストーリーとして捉えれば良く出来た素晴らしい作品だったと言わざるを得ないと思うし、
そうした「『仮面ライダー』とは何か?」といったテーマに一つの区切りをつけたからこそ
『響鬼』を受け入れられる下地が出来たんじゃないかと思える。





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Last updated  2007.06.22 13:52:46
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