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♪アトリエえんどうまめ 今季洋の日記。

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2014.02.02
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けさ、TVの日曜美術館で、猪熊弦一郎が取り上げられているのを見て、ひさびさに、元気がドワーッとチャージされて満タンになる感覚を、覚えました。

そうだそうだ。良い芸術は、触れると、たましいとたましいがつながって、良質なエネルギーチャージが、起きるんだっけ、と、ここ最近は、忘れていたことを、思い出すことができました。



それで、過去の記憶の中から、猪熊弦一郎さんとゆかりのあることが、浮上してきて。それをこうして、書いてみたくなりました。



30代の私は、猪熊弦一郎や脇田和や船越保武などにあこがれて、新制作という公募展に絵を出品していたのですが、当時は「厳選の新制作」と言われていたくらいに、入選するのがとても難しい会派でした。

そのころのわたしは、主婦として生活していましたが、子どもたちを保育園に預け、昼間は仕事をして、夜のわずかな時間で、絵の制作をしていたので、睡眠時間は毎日4時間くらいだったと思います。

でも、念願かなって、ようやく4年目にして、新制作初入選を果たすことができました。



そうしたら、しばらくして、新制作から、猪熊弦一郎の「何かの」パーティーをするので、という招待状が、届きました。

「何かの」というのは、ちょっとよく覚えていません。

ひょっとしたら、「祝90歳の」だったかもしれません。

時代的にもバブルの頃で、招待状もとても立派なものだったように覚えています。

わたしはとっても緊張して、「ど、どうしよう」と、思いました。

まわりが、超華やかな時代の時だけに、何を着て行って良いかがわからなくて、出席を断念してしまいました。

そうしたら、そのパーティーのあとで、檀ふみさんが、新聞のコラムに「そのパーティーに出席して、素晴らしかった」と感想を書かれていたのを、目にしたのですが。

わたしが、びっくりしたのは、猪熊弦一郎は、出席者全員に、そろいのはっぴを配ったのだそうです!

なんて、すてきな、ことなんだろう!そう思いました。

みんなが、はっぴを着て、パーティーに参加したら、何を着ているなんて、気にしないで、みんながひとつになって、楽しむことが、できるのです!

わたしは、猪熊弦一郎の、心配りのやさしさに、触れたように思えました。



だけど、わたしは、猪熊弦一郎本人に会うことは、一度もないまま、まもなく猪熊弦一郎は、亡くなります。

連絡が来たので、青山でやったお葬式には、出席しました。



その次の年、新制作はまた落選してしまいました。

失意のどん底みたいな状態で、新制作展の会場を見て歩いていたら、猪熊弦一郎コーナーができていて、生前の絵が何枚か展示されていました。

そこに一歩、足を踏み入れたら、ほんとうに、声が聞こえたのです。

「そんなに、がっかりしては、いけませんねぇ。もっとしゃんとして、胸を張って!」

自分の内側の空間に、猪熊弦一郎の声は、はっきりと大きく響いていました。

とても不思議な体験でした。



けさのテレビで、猪熊弦一郎が制作している最中の映像も流れていましたが、根底の生命力が、何の引っかかりもなく、ダイレクトに画面の上にあふれ出て行く様を、見ることができて、とてもうれしかったです。

それにしても、マチスに「君の絵は、うますぎる。」と言われたひとことで、それまでの築いた絵を壊し、ゼロから再生させて、自分オリジナルな絵画にたどり着くあたりの、スケールの大きさは、すごいです。





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Last updated  2018.08.05 16:37:10
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